見出し画像

小説「わたなべなつのおにたいじ」①

 「んわぁっ!」

 また『あの夢』だ。私は襲ってくるカギヅメの生えた大きな手から身を避けようとして、ベッドから落ち、目が覚めた。

 『あの夢』を見始めて、どれくらいになるだろう?

 いつも同じ、真っ黒の地面の土手に真っ赤な空。その空を背景に、葉のない針金のように細い木何本か、影を落としている。

 遠くの方に、小さい男の子の姿が見える。男の子は手振りを交えて、一生懸命にこちらに何かを叫んでいるようだが、その声は私には届かない。近付こうとしてどんなに走っても、男の子との距離は縮まらない。

 そして唐突に、ボロボロの着物をまとった大男が目の前に現れる。

 男の姿は影になっていて、こちらからは炯々と光る大きな赤い目と、手に生えた銀色に光る鋭いカギヅメしか見ることができない。

 ふいに、大男の手がこちらに伸びてくる。その手は眼前を覆い尽くすほど大きくなり、私の身体を鷲掴みにしようとする。

 私はそれを必死に避けようとして、土手から転がり落ちたところで目が覚める。

 「夢は現実の経験を脳が整理している時に見るもの」

 と、誰かが言っていたが、あんな怖い経験などしたことがない。似たような「誰かに襲われる」などという事件に巻き込まれた記憶もない。それに、夢に出てくる男の子にも、あの大男のことも、まったく心当たりがない。何かの暗示なのかも知れない、と夢占いのサイトを調べてみたりもしたが、こんな恐ろしい夢はどこにも記載がない。

 なので、もう気にしないことにはしたのだが、それにしても最近見る回数が増えてきたような気もする。できることなら、もっと楽しい夢を見たいものだ。

 「なーつー! 遅刻するわよー!」

 その時、階下から母親が自分を呼ぶ声が聞こえた。ハッとして時計を見ると、針は7時50分を指していた。急がないと、遅刻する。

 私の名前は渡辺那津。どこにでもいるような、普通の高校生だ。この春から、私立平安高校の二年生としての生活が始まった。地元では進学校としてそれなりに名前が通った男女共学の高校だ。

 正直に言うと、中学での私の成績ではかなりの高望みな挑戦になったのだが、秀才の幼馴染、安倍清明に頼み込んで受験勉強に付き合ってもらい、どうにかこうにか合格することができたのだ。実は、進級も結構ギリで、清明にはその時もかなり助けてもらった。

 私がそこまでして平安高校にこだわった理由はただ一つ。

 「愛のため」

 とは言っても、私が一方的に恋焦がれているだけのイッコ上の先輩、「大江田統司さま」を追い掛けたい一心から。自分でもヨコシマな考えだと思わないこともないけれど、結果的に合格したわけだし、悪いことではない。はず。

 急いで制服に着替え、髪の毛を梳かして後ろで結ぶ。前髪がちょっと跳ねているけど、直している時間はない。登校用のリュックを掴み、バタバタと階下に降りる。

 「おはよう!」

 ダイニングでコーヒーを飲んでいる母に声を掛ける。母は、私が小さい頃に父が死んでから、大学で人文学の講師として働き、女手一つで私を育てくれた。十代の頃に一回りも年上の父と結婚して私を産んでいるから、まだ30代の女ざかりで、娘の私が見てもキレイだと思うのだが、今まで浮いた話は一つも聞いたことがない。一度そのことについて母と話したことがある。母は笑って、「あなたに手が掛かるから」などと言っていたが、まだ父のことが忘れらないらしい。父の記憶は私にはないが、よほど素敵な恋をしたに違いない。

 「朝ごはんは?」

 「いらない。コーヒーだけ。」

 これがいつもの会話。低血圧気味の母の朝は、驚くほど素っ気ない。だから、こっちも無理に話そうとしないようにしている。何の拍子に母の小言スイッチが入るか分からないから、気を付けているのだ。小言のネタならいくらでも思い当たるフシはある。

 カップに半分ほどのコーヒーに、同じ量の冷たいミルク。砂糖はなし。それを一気に飲み干して、私の栄養補給は完了。

 「いってきます!」

 ここはいつもの元気で、家を出る。

 学校までは走って15分くらい。ペースをいつもより少し上げれば、「彼」の登校時間に間に合うはず。

 リュックのハーネスをきつくして、2~3回膝を曲げ伸ばしてから走り出した。辺りの景色がみるみる後ろへ流れていく感覚、気持ちいい!

 私は、頭は良くないけど、運動能力には自信がある。小さい頃からそうだった。でも部活動とかには全然興味がない。「もったいない」って言われることもたくさんあるけど、単に体を動かすことが好きなのであって特定のスポーツが好きなわけじゃないし、いろいろ細かいルールが決められている中で体を動かすのって、趣味じゃない。

 信号待ちしている同じ学校の子たちを横目に、少し先の歩道橋を渡る。結果的に信号を渡った子たちの方が早く道路を渡れたけど、すぐに抜かして大通りから右に曲がって路地に入る。いた!

 校門まで50mくらいのところで、女生徒の集団に囲まれた中心に、頭一つ分抜き出た長身の「大江田さま」を見つけて、私は急停止する。ここから昇降口まで、私は少し距離を置いて彼の後ろ姿眺めながら登校するのだ。

 「おはよ」

 声の方向を見ると、すぐ隣に清明がいた。

 「なんだ、キヨアキか。おはよ。」

 「なんだ、はないだろ。今日も走って来たのか?」

 「まあね。今日は結構ギリだったから、眼福タイム少ないの。」

 『だから邪魔しないでね』という意味を込めて、あえて顔を見ないでそういったんだけど、清明はそんなこと気にしない。そういうとこ、直した方がいいよ、きっと。

 「15分ほぼダッシュで汗ひとつかかないのか。相変わらずデタラメな体してるよな。」

 「デタラメって何よ、人を化け物みたいに言わないでくれる?」

 私はカチンとして、清明の方に向き直るとそう言った。

 清明は、頭はすごくいいけど、体はひ弱で運動はまるでダメ。別に病弱っていうわけでもないのに、いつも青白い顔で具合が悪そうに見える。身長も160cmあるかないかくらいで、私より10cm以上低い。

 「別に化け物呼ばわりはしてねーよ。で、未だにアイツが好きなのか?」

 清明が前を行く大江田さまにあごをしゃくるようにして尋ねてくる。

 「キヨアキごときが、『アイツ』呼ばわりとかしないでよね!」

 「・・・まあ、どうでもいいんだけど。お前なら物怖じしないで告白とかしそうなのに、今回は全然なのな。」

 「バカねぇ。それがまたいいんじゃない。『恋に恋するなんとやら』って言うでしょ!それに、葉隠にも『至上の恋は忍ぶ恋』って書いてあるじゃない。」

 「・・・そういうの、お前らしくないから。・・・それはいいんだけど、ヒロマサが帰ってくるらしいぞ。」

 大胡博正。清明と私の幼馴染の一人。平凡な家庭で育った私たちと違い、両親ともに高名な音楽家で、本人も小さい時からフルートとバイオリンで頭角を現して「天才少年」として世間を騒がせた。外国のなんとかっていう「すごい大会」でも史上最年少グランプリを獲得して、そのまま留学しちゃったという経歴の持ち主。幼少期になんで仲良く遊んでいたのか不思議なくらい、私たちとは共通点がない。私はそれっきりになっちゃってたけど、清明とは連絡を取り合ってたようで、たまに話題に上っていた。

 「そうなんだ?なんで?」

 「向こうでやることはみんな終わったんだって。音楽大学卒業してんのに日本の高校に通う気でいるらしい。ここ(平安高校)のことも結構聞かれたから、もしかしたらウチに来る気なのかもな。」

 「へー。物好きねぇ。わざわざ勉強するまでもないのに。」

 「んー、そこらへんが俺たち凡人とは違うとこなんじゃないの?」

 「そんなものなのかな。」

 「そんなもんなんだよ、きっと。」

 結局、今日はほとんど『眼福タイム』を無駄にして教室に入る。私は自分の窓際の一番後ろの席に着いた。ここからだと、校庭を挟んで街の様子がよく見える。

 その時、「あの視線」を感じて私は校門に視線を移す。

 最近、ものすごく誰かに見られている気がするのだが、辺りを見回しても思い当たるような人はいない。今日も、視線を感じる方向をつぶさに凝視してみたが、それらしい人影はなかった。

※       ※

 校門の門柱に、素早く隠れた一人の男がいた。春物のコートの前を上まできっちりと閉め、襟を立てている。その表情は被っているソフト帽の陰に隠れてみることができない。

 男は、そのままの姿勢で1分ほどそこに佇んでいたが、やがて門柱を離れ、大通りの方向へ姿を消した。

※         ※

 私はその日、午前中に1回、午後に2回の居眠りを指摘され、各教科担当にかわるがわるに指導を受けた後、放課後に写経30枚(1回10枚)の懲罰的課題を課されてしまった。

 教室で一人写経を続けていると、委員会終わりの清明が教室に顔を出す。

 「なんだ、まだ終わってないのか。」

 そう言いながら、清明は前の席に後ろ向きに座ると、写経の何枚かを手に取った。

 「何よ。邪魔しに来たなら帰ってよ。」

 「少し手伝ってやるよ。それにしても、相変わらずマネするのも難しいくらい汚い字だな。」

 「何なのよ!手伝うの?バカにして終わり?」

 ほんとはすごくありがたいと思ってるんだけど、清明相手だとなんか突っ張っちゃうのがクセみたいになってる。直さないといけないと思いつつ、なかなか難しい。

 「このペースだとあと2、3時間は掛かるぜ?ミッキーⅮでどうだ?」

 清明が写経をヒラヒラさせながらニヤニヤとこちらの出方を探ってくる。頭に来るけど背に腹は代えられない。

 「600円までのセットでどう?今月苦しいの。」

 「乗った。」

 そういうと、清明は黙々と写経を始める。実は、清明には過去にも課題や提出物を格安でお願いしたことがある。なので、今では私ですら見分けが難しいくらい、私の筆跡を真似て文字を書くことができるのだ。

 「それにしても、一日に3回も授業中に居眠りするなんて、もはや特技の域だよな。」

 「仕方ないでしょ。御日様はポカポカだし、変な夢のせいで寝不足気味なのよ。」

 「あの、大きい手に掴まれそうになる夢か?」

 「そうそう。最近しょっちゅう見るのよ。」

 「ふぅん・・・。やっぱり何かの暗示なのかな?」

 「さぁ?思い当たるフシはないけどね。」

 私たちは、そんな会話をしながら手を動かし続けて、7時少し前に写経を終わらせることができた。初夏とはいえ、辺りは薄暗くなり始める時間だった。

 「終わったー!パパっと出してくるから下駄箱のところで待ってて。」

 私は清明にそう告げると、教室棟から職員室のある本棟へと向かう。実習棟の方は部活帰りの生徒たちで賑わってる時間だが、教室棟は打って変わってシーンと静まりかえっていた。教室棟と本棟を結ぶ渡り廊下のところで、私はギョッとして立ち止まった。廊下に誰かが壁の方を向いて立っている。長いボサボサの髪に、昔の蓑のような、藁を束ねて作った丈の短い服。隆々とした太ももの頑丈そうな脚が見える。よく見ると、壁に小さな男の子がうずくまっているのが見えた。必死に逃げようとしているようだが、どこかケガをしているようで、その動きはぎこちなかった。

 「誰っ!」

 私が叫ぶと、立っている男がこちらを振り向いた。その男は、俗にいう「鬼の面」を被った男だった。男は私に気が付くと、両腕を広げて腰を落とし、こちらに飛び掛かってくるような仕草を見せる。その両腕は異様に長く見えたが、それは男の爪が非常に長かったからだった。果物ナイフくらいの大きさは優にありそうな、鋭利な鉤爪が指の数だけ生えていた。

 「いかんっ!逃げろっ、娘!」

 男の子が叫ぶのと、男が飛び掛かってくるのがほぼ同時だった。

 私は瞬間的に後ろに飛び退くと、私が元いた位置に激しい金属音を立てて鉤爪が打ち込まれた。

 男は意外そうに私を見て首を傾げると、さらに飛び掛かろうと下半身に溜めを作った。

 その時、男がガクッ、と膝を付く。うずくまっていた男の子が後ろから体当たりをしたらしい。男の子はそのまま膝を付いた男の肩を踏み台にして、さらに飛ぶと、私に背を向け、男に立ちはだかるように着地した。

 「逃げろと言うに!」

 そう言った男の子は、5,6歳に見え、紫色の、昔の子供が着ていたような服を着ていた。左腕からは血を流していて、よく見ると、肩から背中に掛けて深い傷を負っているようだった。服のその部分は無残に切り裂かれ、色がどす黒く変わっている。

 「ケガしてるじゃない!あの男にやられたの⁉」

 「ど、どうしたっ!」

 私が叫ぶのと、清明が渡り廊下に出てきて叫ぶのが重なった。その時、空間がぐにゃっと歪んで、周囲の雰囲気が一変する。

 いわゆる、ネガポジが反転したような感じだが、白黒ではなく、色調が全体的に暗くなった、くすんだ色味に変わる。

 「し、しまった!鬼界に引きずり込まれた!」

 男の子が周囲を見回し、一層警戒の姿勢を固くする。

 「な、なんだよ!どうなってんだ⁉」

 清明はパニックを起こしそうになっている。カバンを胸に抱きしめ、しゃがみ込んで落着きなく辺りを見回す。

 鬼面の男は、ゆっくりと立ち上がると、勝ち誇ったように「ゲッゲッゲッ!」と高笑いをしながら、こちらに近付いてきた。

 「仕方ない!娘!刀は使えるか?」

 男の子が振り返りもせずに私に聞いてきた。

 「刀?刀って、あの刀⁉ 使えるわけないでしょ、そんなもの!」

 私も少しパニックになりかけているみたいだった。声が上ずっているのが自分でもわかる。

 「心得はなくとも、振り回すくらいのことはできるであろ?とにかく、ヤツの身体の、どこでもいいから傷を付けるのじゃ!ゆくぞっ!」

 そう言うと、男の子は見る見るうちに一振りの短刀に姿を変え、ガチャンと音を立てて私の前に転がった。

 それを見た鬼面の男は、高笑いを止め、同時に歩みを止めた。この刀を警戒しているようだというのは、すぐにわかった。

 私は緩慢とも思える動作で、目の前に落ちている刀を手に取ると、同じようにゆっくりと、刀を鞘から引き抜く。刀身が露わになるたびに、全体から白いオーラが放たれ、そのオーラに鬼面の男は怯んでいるようだ。私が完全に刀身を抜きはらった時、右手に電気が走ったような衝撃を受ける。右手の甲に目を落とすと、そこには赤い蚯蚓腫れが浮かび上がっている。

  私は左手の鞘を口に咥え、短刀を両手で持ち、胸の前で構える。左手にも電気が走る。

 こうなったら、自分が戦うしかない。急激にアドレナリンが分泌され、動悸が激しくなると同時に、その動悸に合わせて頭に鈍痛が走った。

 鬼面の男は、鉤爪をカチカチと鳴らしながら、こちらの出方を探るように、左に回り込みながら少しずつ、少しずつ、距離を詰めて来ていた。私はそれに合わせ、切っ先を鬼面の男に向け続ける。

  ふいに、鬼面の男が歩みを止めた。距離は、お互いに一歩踏み込めば相手に届くまでに縮まっていた。ここからは、我慢比べだ。先に動いた方が、おそらく負ける。

 どれほどにらみ合いが続いたのか、はっきりとはわからない。ほんの数秒のような気もするし、30分以上、そのままだったような気もする。私は全身に汗をかいていた。背中も、お腹にも、汗が滲み出し、流れているのは感触でわかる。ここまでは、自分でも驚くほどに冷静に事態が進んでいる。すぐ近くに清明がいるはずだが、目の前の鬼面の男が全てだった。それ以外には、何もない。

 その時、額を流れた汗が、右目に入った。顔を振って汗を振り払おうとした刹那、鬼面の男が宙に舞った。両手の爪を振り上げて。

 どう動いたのか、私は覚えていない。後から清明から聞いたところによると、私はその瞬間に前に転がるようにしながら、鬼面の男の脚を払ったのだ、ということだった。

 気が付くと、鬼面の男は空中で左脚を膝から両断され、悲鳴を上げながら地面に叩きつけられていた。しばらく転げ回って苦しんでいたが、やがて全身を黒い霧のようなものに変え、蒸発するように消えていった。

 数舜後、周囲が元の色調に戻った。ハッとして我に返ると、茫然としている清明が視界に入ってきた。未だに目を白黒させている。私の手から刀は消えており、両手の甲の蚯蚓腫れも、どんどん薄くなっていっているようだ。

 「な、なんだったんだよ・・・今の・・・。」

 清明が口をパクパクさせるようにしながら、たどたどしく語を発した。

 私は激しく肩で息をしながら、清明に近付く。と、清明が腰を抜かしたまま後ずさる。

 「よ、寄るなっ!こっちに来るな!」

 激しく混乱している清明をなだめるようにしながら、私は清明の目の前にちょこんと座った。

 「もう、大丈夫だと思うよ。」

 「お、お前!刀で人を切ってたぞ!ど、どういうことだよ⁉」

 「私にもわかんないよ!廊下に出たらあの男と小さい男の子がいて、男の子がケガしてて、そしたら男が襲い掛かって来て・・・。わたし、清明、守らなきゃって!」

 私は途中から激しく泣き出していた。目の前の出来事にショックを受け、アドレナリンの分泌で感情がおかしくなっていたのもある。でもそれ以上に、その様子を見ていた清明に露骨に拒否されたのが、効いたんだと思う。

 泣きじゃくる私を見て、清明も冷静さを取り戻したみたいだった。

 「ご、ごめん!もう泣くなよ・・・。俺も・・・パニクっちゃって・・・。」

 「おーい、どうした?」

 その時、渡り廊下の向こうから、教師が近付いてきた。

 「なんだ、お前らこんなとこで。喧嘩でもしたのか?」

 半ば放心状態で廊下に座り込む二人を見下ろすようにして、教師が腕組みをしていた。時間も時間だし、写経の様子を見に来る途中だったようだ。

「すみません、俺、ちょっとひどいこと言っちゃって・・・。」

清明が立ち上がりながら、教師に言い繕う。

「ごめんなさい、私も生理近くて感情おかしくなってて・・・。」

私も話を合わせて立ち上がる。

「そっかー、そういうこともあるよな?青春だもんな!よしよし、今日はもう遅いから帰れ。写経は明日提出でいいから。なっ!」

何を勘違いしたのか分からないが、とりあえずこの場は誤魔化せたようだ。それで気付いたが、さっきあの鬼面の男を切った時に飛び散った血や、鉤爪で付けた廊下の傷は消えていた。それ以上に、あの刀に変わった男の子は、どこに行ったのだろう?

「わたなべなつのおにたいじ」①
了。


 

 


 


 


 


 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?