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本のハイライトは人それぞれーその2 古賀史健『取材・執筆・推敲ー書く人の教科書』

こんにちは。
本を読んで印象に残る一文って人それぞれですよね。

作者が伝えたいことと自分のアンテナが微妙に違うときがある。
本題とは関係ない脇道の文で釘付けになってしまう。
そんなことがありませんか?

今日は
古賀史健『取材・執筆・推敲ー書く人の教科書』
を紹介します。

ライターの視座を上げる一書

『取材・執筆・推敲ー書く人の教科書』はいわゆるノウハウ本ではない、ライター向けの本です。
「教科書」と副題がついているように、筆者が「もしもぼくがライターの学校をつくるとしたら、こんな教科書がほしい」という思いで書かれた内容になっています。

とってもボリュームがあって本を手に取った時「うっ」となるかもしれませんが、とても読みやすく、2日くらいあれば読み終わるかと思います。

”ライターとはただ文章を書く人のことをいうのではなく、コンテンツを作る人”という著者の主張はとても納得しました。
そういう意味でインタビューをするライターも、SEO記事を書くライターも、みな取材をしてコンテンツをつくる取材ライターなのだ、とのことでした(あってるかな?)。

この本はライターとしての視座を高めてくれる本だと思います。

心に残った一文


ライターとしてとても大事なことを学びましたが、実はそれ以上に心に残ったのが次の一文でした。

対象を好きになりすぎると、自説に都合のいい資料ばかり集めがちになる。「自分と同じ立場の意見」や「自分を援護射撃してくれる意見」には真摯に耳を傾け、おおいにうなずき、よりよいものを探そうとする。
一方、自説に都合の悪い意見はどうだろうか。耳の痛い反論はどうだろうか。恋愛状態(好きになりすぎて盲目になった状態)におちいったライターは、これを無視してします。しかも困ったことに、敵陣で語られる「一番支離滅裂な反対意見」に飛びついてします。
つまり、「この考えに反対する人たちはいる」「しかし彼らは、こんなにもデタラメな主張をする、デタラメな人たちだ」「ゆえに聞く耳など持たなくていいのだ」として、すべての反論を「デタラメな暴論」に押し込めてしまう。もっと鋭く、もっと的確で核心を突いた、理路整然とした反対意見を探そうとする人は、なかなかいない。一般に「チェリー・ピッキング」と呼ばれる誤謬だ。

古賀史健『取材・執筆・推敲』p.149-150

どうやら、私は聞いたことない概念を見つけるのが好きみたい。
チェリーピッキング。

チェリーピッキングは、本人が自覚していないからやっかいだ。
だからこそ、自分が怯むような反対意見も直視しよう、と著者は述べています。

たしかに、これは生活の中でもよくやっているなと思います。自分の意見や価値観と違う人に対しての批判とか。極端な事例をあげて「やっぱりおかしい」とか、自分たちの正義を主張しがち。

相手の反論を受け止めることで自分の考えや価値観、大切にしていることなどブラッシュアップしていきたいものです。


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