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【エッセイ】クリスロード商店街(Ⅱ)

 そういえばポパイの歌も聴こえなくなった。独特のリズムで「ポパーイポパーイ!」と明るく連呼する曲が、確か、インターネットカフェの店先のスピーカーからガンガン流れその時点で既に強烈なのにもかかわらずドーム型の天井が音を反響させるため、一度でも通りがかると頭から離れにくく、そして、連られるように何故か口ずさみたくなる商店街の名物だった。中毒性を持っていた。事情を知る由もない私は、移転か、あるいは、時代のニーズに合わずに潰れちゃったんだろう、と察すると、行きつけでなくとも残念で無性に寂しくなるのだが、それだけあって当たり前の存在と認識していたんだとそこで改めてわかる。どんなに大規模なお店でも突如として閉めることもあって見知った建物が軒並みシャッターを下ろす光景はあまり慣れませんが、その分、ちらほら残るカフェチェーン店に安心感を感じますし、新しくオープンしたところに対する期待値は過剰なまでに大きい。