やちよん

月に1度は書き溜めたエッセイを3〜5本載せています。ときどき呟いたりもして。誤字脱字そ…

やちよん

月に1度は書き溜めたエッセイを3〜5本載せています。ときどき呟いたりもして。誤字脱字その他気になる箇所がありましたら、その時は気軽に教えていただけると助かります。アカウント作成日:23/9/4最終更新日:24/5/9

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固定された記事

【エッセイ】べったりさん

 ミィはべったりさん。元々は野良猫で、事実、出会った当初は少なからず警戒があって、緊張を解くべく、わざと無関心を装い、恐怖心を煽らないようしゃがみ込み体勢を低く…

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【エッセイ】寝不足

 半年前に載せたエッセイでも軽く問題に取り上げましたが長いこと寝不足に悩まされています。十分な睡眠時間を確保し、処方された睡眠薬を服用していても中途覚醒の頻度が…

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【エッセイ】無事を確かめて安心する

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7日前
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結構探したつもりなんですがレモンジェットのフリー素材が見つからない! ので、代わりにオランジェット。これのレモン版を暫くしたら作りたいんです。

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3週間前
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月一じゃなくて月二の更新なっててすみません(ヽ´ω`) 箒の写真は実際に曾祖父が作ったものです、レモンの話に使ってる写真はオランジェットです……

やちよん
3週間前
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【エッセイ】レモンジェット

 レモンの木は大食いである。もっと具体的に言えば、年に四、五回、適度に間隔を空けながら肥料を施す必要があるのだが、要求の多さに比例して果実が実ってくれるため愛情…

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3週間前
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【エッセイ】箒

 曾祖父は器用な人だった。自分が覚えてる範囲では暇さえあれば木材を彫刻刀で削って短い木屑から順に、円を描くように棒の先端に接着剤でつけて、菊の花を思わせる作品を…

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3週間前
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【エッセイ】体内に旬を取り込んでいく

 目が覚めて部屋のカーテンを開く。視線を窓の外にやると、昨夜、テレビで見た予報の通り、大粒の雨が勢いよく降っており、庭の草木は艶やかで軒先の田んぼの水面は無数の…

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1か月前
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【エッセイ】音楽

 よく聴く音楽はthe brilliant greenやSCANDALなどで、携帯型プレーヤーにイヤホンを挿して、通勤中ずっと流しっ放しです。共通点をあげるとすれば、重低音の凄い演奏と魅…

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1か月前
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【エッセイ】都会人

 マンゴーフラペチーノのトールサイズをお願いしてもいいですか、と、口に出してから、おい、いつもの安くて美味しいコーヒーは一体どうしたんだよ、と内心ほくそ笑む。去…

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1か月前
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【エッセイ】餃子

 平日の昼に餃子を包む。皮の外側の端には人差し指で小皿に注いだ水を塗りつけ、ニラやキャベツ、ネギなどを混ぜた野菜たっぷりのタネを乗せ、空気を逃しつつ、しっかりと…

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 ブラック。ネイビーにチャコールグレイ。この系統と同じ、もしくは似たような色合いの服が部屋のクローゼットの大半を埋め尽くしてる。生地の厚みや、袖の長さがそれぞれ…

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【エッセイ】クリスロード商店街(Ⅱ)

 そういえばポパイの歌も聴こえなくなった。独特のリズムで「ポパーイポパーイ!」と明るく連呼する曲が、確か、インターネットカフェの店先のスピーカーからガンガン流れ…

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【エッセイ】クリスロード商店街(Ⅰ)

 クリスロード商店街を歩くと店の入れ替わる速度に驚く。二、三年前フルーツサンド専門店がオープンし行列が出来るほど人気で賑わっていたところが、いつの間にやら和の雰…

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2か月前
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【エッセイ】寄り道

 用事があって仙台へ足を運ぶとなるとその帰りは欠かさず開催中のイベントを覗いたり新たに立ち並んだらしきカフェや雑貨屋に向かうなど寄り道の連続で、軽いリフレッシュ…

やちよん
2か月前
20
【エッセイ】べったりさん

【エッセイ】べったりさん

 ミィはべったりさん。元々は野良猫で、事実、出会った当初は少なからず警戒があって、緊張を解くべく、わざと無関心を装い、恐怖心を煽らないようしゃがみ込み体勢を低くし、敵意のなさをアピールせねば絶対に近づいて来ない。さらに告白すると、自分の中での猫って、つーん、とした自由気ままで、自ら孤独を好む一匹狼のイメージが強く、そんな先入観が空回りしたからか、同居する段に入り、人の身体に凭れて眠ろうとする素振り

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【エッセイ】アルバイト

【エッセイ】アルバイト

 人生初アルバイトは回転寿司チェーン店でした。年季の入った木造二階建てで、平日は通っていた専門学校の授業が終わった後の夕方から閉店ギリギリまで、土日はまずずっと働きっぱなし。店長が電車の運行情報を逐一チェックしてくれて、天気が悪いと、早めに帰らせてもらえたり、テスト前には勉強に専念できるよう半月休みをいただくなど融通が効く環境で働けていたため特別苦にはならなかった。私の担当はホールで、慣れていくに

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【エッセイ】寝不足

【エッセイ】寝不足

 半年前に載せたエッセイでも軽く問題に取り上げましたが長いこと寝不足に悩まされています。十分な睡眠時間を確保し、処方された睡眠薬を服用していても中途覚醒の頻度があまりにも多く、従って疲労が取れないままに、朝を迎えて、まるでコンクリートの塊を背負ってるが如く身体が重い状態で起きる。この慢性化した日々が続けば心の健康リスクに直結してると素人でもわかるぐらい、何処かのタイミングで精神的にガタが来る。無論

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【エッセイ】無事を確かめて安心する

【エッセイ】無事を確かめて安心する

 追跡サービスがありがたい。ゴールデンウィークなどの連休や年末年始に入れば到着日が延びるだろうと覚悟していても、通販で頼んだ家具の輸送状況が気になって仕方なく、配送中に何らかのアクシデントが発生した場合にはどうしよう、と悪い事態を想像しては嘆きたくなる。人によっては大袈裟な発言に感じられるかもしれませんが、そんな心配性とせっかちが混在する私にとって、この時代に生きててよかったと思えるのがまさにこの

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結構探したつもりなんですがレモンジェットのフリー素材が見つからない! ので、代わりにオランジェット。これのレモン版を暫くしたら作りたいんです。

月一じゃなくて月二の更新なっててすみません(ヽ´ω`) 箒の写真は実際に曾祖父が作ったものです、レモンの話に使ってる写真はオランジェットです……

【エッセイ】レモンジェット

【エッセイ】レモンジェット

 レモンの木は大食いである。もっと具体的に言えば、年に四、五回、適度に間隔を空けながら肥料を施す必要があるのだが、要求の多さに比例して果実が実ってくれるため愛情を注いだだけ、育て甲斐が大きい。最初こそ鉢植えで、家の縁側で栽培するつもりだった。しかし著しい根詰まりに悠長には構えていられなくなり、結局、庭に移した。性質上温暖な気候に適していても寒さには弱く、厳寒期を迎えたときには枯れるか不安で成り行き

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【エッセイ】箒

【エッセイ】箒

 曾祖父は器用な人だった。自分が覚えてる範囲では暇さえあれば木材を彫刻刀で削って短い木屑から順に、円を描くように棒の先端に接着剤でつけて、菊の花を思わせる作品を仕上げたりするなどと、並々ならぬ熱意と技術を持って制作活動に取り組んでいた。
 箒も例外ではないのだろう。てっきり、家族の誰かがホームセンターで買ったとばかり勘違いし、長らく掃除に使っていたが、実は手作り、とは、亡くなって十〇年経った後でよ

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【エッセイ】体内に旬を取り込んでいく

【エッセイ】体内に旬を取り込んでいく

 目が覚めて部屋のカーテンを開く。視線を窓の外にやると、昨夜、テレビで見た予報の通り、大粒の雨が勢いよく降っており、庭の草木は艶やかで軒先の田んぼの水面は無数の輪を描いては消え、を、幾度となく繰り返してる。無性に引き篭もって本を読みたくなる。 小川洋子著「はじめての文学」(出版・文藝春秋)を戸棚から抜いて早速机の上に広げる。出会いは職場の昼休みにふと立ち寄った図書館で、今日と同じ、空が薄暗い雲に覆

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【エッセイ】音楽

【エッセイ】音楽

 よく聴く音楽はthe brilliant greenやSCANDALなどで、携帯型プレーヤーにイヤホンを挿して、通勤中ずっと流しっ放しです。共通点をあげるとすれば、重低音の凄い演奏と魅力的な女性ボーカルのカッコいい歌声の組み合わせ。バンド特有の熱量が伝わるだけでなく、一部の歌詞からは、心の空白、やるせなさが滲み出ててそれがいい意味でぐさっと刺さる。長期に渡って繰り返しかけてるやつほど特別飽きずに

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【エッセイ】都会人

【エッセイ】都会人

 マンゴーフラペチーノのトールサイズをお願いしてもいいですか、と、口に出してから、おい、いつもの安くて美味しいコーヒーは一体どうしたんだよ、と内心ほくそ笑む。去年、誕生日にいただいた五〇〇円分のドリンクチケット。使用期限がだいぶ近付いてきたので喫茶店に寄り、店員に読み取って貰おうとしてQRコードが表示されたスマホ画面を翳し、その後、不足した代金を支払った。列の最後尾で、レジ上に設置されたメニューボ

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【エッセイ】餃子

【エッセイ】餃子

 平日の昼に餃子を包む。皮の外側の端には人差し指で小皿に注いだ水を塗りつけ、ニラやキャベツ、ネギなどを混ぜた野菜たっぷりのタネを乗せ、空気を逃しつつ、しっかりと半分に折りたたむ。餡を沢山入れたいがためにひだは寄せずにただ閉じるだけ。
 母と妹、三人が集まって台所のテーブルを囲み、黙々と作業を繰り返していったのだがいざやり始めれば、妙に張り切って、いつ終わるのかも全く予想のつかない目標の五〇個に達す

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【エッセイ】服

【エッセイ】服

 ブラック。ネイビーにチャコールグレイ。この系統と同じ、もしくは似たような色合いの服が部屋のクローゼットの大半を埋め尽くしてる。生地の厚みや、袖の長さがそれぞれ若干異なるぐらいしか目立った違いはなく、全て無地だ。私はファッションに対して興味が薄いのだろう、季節の訪れに先んじて通販で頼もうとする際、無難なベーシックカラーは流行に左右されにくく、年相応の落ち着いた雰囲気を出せて場所を選ばずに着こなせる

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【エッセイ】クリスロード商店街(Ⅱ)

【エッセイ】クリスロード商店街(Ⅱ)

 そういえばポパイの歌も聴こえなくなった。独特のリズムで「ポパーイポパーイ!」と明るく連呼する曲が、確か、インターネットカフェの店先のスピーカーからガンガン流れその時点で既に強烈なのにもかかわらずドーム型の天井が音を反響させるため、一度でも通りがかると頭から離れにくく、そして、連られるように何故か口ずさみたくなる商店街の名物だった。中毒性を持っていた。事情を知る由もない私は、移転か、あるいは、時代

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【エッセイ】クリスロード商店街(Ⅰ)

【エッセイ】クリスロード商店街(Ⅰ)

 クリスロード商店街を歩くと店の入れ替わる速度に驚く。二、三年前フルーツサンド専門店がオープンし行列が出来るほど人気で賑わっていたところが、いつの間にやら和の雰囲気を感じさせる外観へと様変わりしてて違う看板が立っていたので衝撃を受けた。
 こういうことは割と頻繁にある。私がいつもお世話になっている美容室と同じ商業ビルに入ってるステーキ屋。見かけてからは高校時代の部活動の先輩後輩を誘い、一緒に食べに

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【エッセイ】寄り道

【エッセイ】寄り道

 用事があって仙台へ足を運ぶとなるとその帰りは欠かさず開催中のイベントを覗いたり新たに立ち並んだらしきカフェや雑貨屋に向かうなど寄り道の連続で、軽いリフレッシュのつもりで買い物を満喫してる。私の場合、基本的に出掛ける際は電車に頼るため、事前に自動券売機の前で往復分のお金をICカードにチャージしたうえで乗るのだが、これがかなりの額。定期券を持ってたらまた違うんでしょうけれどもさっさと家へ戻るだけじゃ

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