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外資系 IT 企業の 1on1

1on1 は誰のもの?

1on1 に関する書籍や記事は多く出ているので、いまさら 1on1 に関する内容は新鮮味はないかもしれませんが、これだけ日本でも 1on1 を実施することが当たり前になってきた今でも、1on1 のやり方というのは確立されているとは言い難いのではと感じており、私の考え方を述べさせて頂ければと思います。

私が以前勤めていたマイクロソフトでは、1997 年に入社した時点ですでに 1on1 の制度があり、当たり前の文化として確立されていました。しかし、入社以来多くの上司との 1on1 を実施しましたが、そのやり方はその上司次第で属人化しているという状況でした。
10 年ほど前から私も上司という役割を担うようになり、「どのような 1on1 を実施するべきなのか」、「本来あるべき 1on1 の姿というのはどのようなものなのか」と考えるようになりました。そこで、過去自分が経験した 1on1 の中で、どの上司との 1on1 が自分にとって良い経験であったのか思い出すことにしました。
そこで、思い出された良い経験のほとんどは、米国本社から日本に出向で来ていた外国人の上司との 1on1 でした。そのやり方は、下記 3 点に集約されることがわかりました。(やはり米国は 1on1 先進国なんですね。)

1. 1on1 で議論する内容は、通常業務の報告・相談ではなく、私自信のキャリアに関すること
2. 1on1 は上司のための時間ではなく、私 (部下) のための時間である
3.
直接的なアドバイスよりも、私自信が何を考えているのか (深層心理) を、引き出してくれるコーチングの手法

それから、私の 1on1 は、部下のための時間であることを大原則とし、主にキャリア開発に関するコーチングの場とすることにしたのです。

コーチングとティーチング

しれっと、「コーチングすることにしたのです。」とか書きましたが、これは本当に難しいメソッドです。色々な本を読んで学びましたが、私にとってラッキーだったのが、会社がパーソナルコーチをアサインしてくれて、コーチングの手法を学ぶ機会を与えてくれたことです。

上司というものは、どうしても過去の自分の成功体験から、「こうしたら良いのでは?」、「自分の時はこうだった・・・」などというお話をしがちですし、勿論私も答えを焦って、ティーチングをしてしまうことは未だにあります。でも、部下の成長が第一であるという意識を強く持つことで、適切なキャリア開発に関するコーチングが徐々にできるようになってきました。

自分のコーチング手法の最たるやり方は、1on1 の途中で席を外してしまうというものです。
「あなたが目指す次のキャリアステップ (例えばマネージャーに昇進したいとか) を実現するために、あなたに不足している1つだけのピース (課題) があるとしたら何だと思いますか?」
という質問をして、5分間席を外すのです。その5分間で、部下は自分自身で内省し、自分自身の成長課題を自ら見つけ出し、それを言語化して解像度を自ら高めることができるのです。あとは5分後に戻ってきた私と、その課題解決に関する具体的な手法・アクションを議論し、解決の時間軸を合意するというプロセスを踏めば良いわけです。「あなたの課題は、これだから、こうしたら良いのです。」などと上から目線で言われる (ティーチングされる) よりも、自分自身で課題を見出すことが、その後の課題解決アクションへ取り組む姿勢の本気度に断然の違いが生まれることは想像に難くないと思います。

キャリア開発の議論の仕方とは?

この記事では、私自身の経験から 1on1 のあるべき姿、やり方について述べさせていただきました。次の記事では、キャリア開発に関する部下との 1on1 の中での具体的な議論方法や、キャリア開発論について述べたいと思います。お楽しみに。(つづく...)

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