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やる気のない人はいない?

先日インターネットの相談サイトを見ていて、「やる気のない新人社員をどう扱ったらよいのか分からない」という記事が目に留まりました。
 
私は会社員人生の中で何度か組織の責任を負う機会を頂きましたが、未だかつて、「この人はやる気が無くてどう接したら良いのか分からない」という経験がありません。私が極めて運のよい人物だったのか、あるいは勤めた会社が例外なく優秀な人材しかいないスーパー集団だったのでしょうか。
 
課題を抱えている人は必ずいます。家族や生活、健康上の課題等を抱えていて、能力がじゅうぶんに発揮できない。そのようなときは、その課題を解決するための後押しをしてあげるか、課題の苦しみを和らげながら働ける配慮をしてあげるかを考えるのが上司としての責任で、「課題が何もないのにやる気が無くてどう扱ったらよいのか分からない」という人物に出会ったことがありません。
 
私の組織ではありませんが、近い部署でこんな出来事を目にすることがありました。
 
担当20名ほどの社内サービス組織で、上長には減点主義で当たりの厳しい人物がいました。この上長は「部下たちの能力が低くて困っている」と嘆いておりました。
 
私はサービスを受ける側の部署の責任者でしたが、受けるサービスの質が目立って低下していました。担当は例の上長から厳しく叱られているようです。私は、担当人物が家族の課題を抱えていることを知っていました。
 
厳しい上長が人事異動で交代し、私が昔から知っているとても柔和な先輩が担当になりました。「社内顧客」である私に挨拶に来ました。前の上長とは全くトーンが異なり、こんなことを私に話します。
 
「彼はとっても頑張り屋だよ。家族の心配があって自由にならないことが時々あるのだが、必要な時はその無理も押してやってもらうことがあって、申し訳なく思っている。」
 
社内顧客視点から見た彼のパフォーマンスはガラリと良くなりました。
 
昔、私の母がこのように言っていたのを思い出します。
 
「子どもを可愛い、可愛い、と思っていればその子は可愛く育つ。そのようなものなのだよ。」

観察したように、思った通りの姿になる。
 
理系の私から言わせれば、粒子の状態は観測者が観測することによって状態が決定する、そのような量子力学的原則のお話しでした。

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