現代の呪いはネットに放たれる
匿名掲示板とか、ヤフトピのコメント欄を見るたびに思う。
現代の呪術とか、呪いとかって、ネットの書き込みですよね。と。
古の時代は、人形の紙とかに書いたり、丑三つ時の五寸釘で打ち付けたりしていたとかなんとか言いますが。
今は、丑三つ時にキーボードに打ち付けたり、タブレット画面に打ち付けたりする時代なのでしょう。
本来ならば人の内側でくすぶっている「悪意とか嫉妬とか念の塊」がネット空間に解き放たれている。
と、最近、小説『ぼくのメジャースプーン 』(辻村深月)とか、漫画『八雲立つ』とか呪いや呪術に関連する小説を読みながら、思ってしまいました。
ネットの誹謗中傷の、
「怖がらない人にはあまり効かないけど、繊細な人には死に至るほど効いてしまう」
っていうのも、呪いっぽい。
蛇の道は蛇というか、悪意のある人はひとの悪意に敏感なので、ごくたまにピンポイントで、
「普通の人の中にも少しはある、悪いところ。歪なところ」
を突いてくる意見があったりして、本当にやっかいな呪いだと思う。
例えば、とある幼馴染の著名人が理不尽な誹謗中傷されたので、今では会うこともない方だけど、なんとなく応援したくて中傷を見つけたらコツコツXの「報告ボタン」を推していたら(ニュースになったタイトルで検索して探したりもした)、40すぎの人間に向かって、
「ていうかこいつ、中3の頃、隣の家の幼馴染と喧嘩して階段から突き落として警察沙汰になりかけたよな」
て書かれていたり。(フェイクあります)
仮にその幼馴染が私だとして、
「は? 確かにあの時は大喧嘩でクソ野郎と思ったけど、今のこの人はセクハラ告発しているわけでその問題になんも関係ないし! ていうか私本人はまったく気にしてないし、でも、今相手にそう連絡するわけにもいかないし気にしたらどうしよう。ていうか書き込んだ奴、お前誰だよ!!!」
とゾッとしたり。
で、そんな「黒歴史」を織り交ぜて理不尽な誹謗中傷され続けたら、もう頭がおかしくなっちゃうよね。
と心から思いました。
ライターの私も、ペンネームで個人情報は出していませんが、時にヤフトピなんかに私の書いたものに対する、自覚のある文章の欠点を(自分に酔ってるように一文が長い。謳い上げているっぽく「いいこといったった」感がうざい、とか)ピンポイントに突いてくるコメントがついていたり。
それ自体は不愉快ですがその通りなのですが、プラスアルファ、「絶対日常に不満のある自意識過剰のクソババアが書いた」とか「ただの悪口」が盛られているので、ダメージが増幅する。後半だけなら当たらないのに、前半の「心当たりがあること」の矢に巻きつけることで、中傷も掠ってしまう。
ほんと、ネットの書き込みって現代の呪いだ。
そんな書き込みに、ひとつひとつ、
「ああ、この人は本当は自称新聞記者の無職の人、この人は暇でゲーム中毒の中学2年生、この人は君の好きな小説家のファンだったけど最近の文章が気に入らなかった大学生」
とか、ペルソナを作ってくれる「開示請求師」のような「呪いを解く呪術師さん」がいたら、救われる人もいるんじゃないかな。
なにかの漫画で、呪術師の名前を唱えると、解ける呪いとかあったような……。
ほんと、神社にも行かず、自宅で手軽に呪える怖い時代ですね。
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