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たった15分のお出かけ


『よし!みんな行くぞ!』
父ちゃんの一声で
わけもわからないまま
私と2人の息子は
慌てて車に乗り込み

雨上がりの夜
出かけた

真っ暗な夜道を
言われるがまま私はハンドルを握る

ほんの少し走ると

『ここからはハイビームはダメ。ゆっくり静かに走って、そこ。そこに車を停めて。』

車を降り
しばらく歩くと
目の前にフワフワ〜と
沢山の黄色が飛んでいた

写真には、ひとつしか光は映らなかったが実際はこのくらいいた


『うわぁーー蛍!!綺麗ーー』
『すげーーいっぱいいるーー』
と私たちが騒いでいると

『シーーー静かに。』
『な、すげ〜んだよ。とっておきの場所じゃね?』
と父ちゃんは
とっても嬉しそうに
少しはしゃいでいる

スマホのライトで照らそうとした
次男に
『おい何やってんだよ』
『もうーー!ライトつけんなよ』
『そうだよ蛍が逃げるじゃん』
と3人でダメ出しすると

『えーーダメなん?オレ知らねーー。って言うか、もしかしてオレ蛍初めてみたかも』って

そうかぁーそうだった
蛍の里みたいなところに連れて行ったのは小さすぎて覚えてないんだ

と言うことは
家族で蛍を見たのはそれ以来ってことになる

差し出したらふわっと次男の手にとまった

この街にも
まだこんな場所が残っていたことがなんだか嬉しかった

次男もとっても嬉しそう

一匹のホタルをみんなの手でそっと囲う


蛍って

こんなに光るんだ
なんかよく考えると神秘的で
凄いなーって

ズームで撮ってみた
蛍の光

バイバイ
ありがとうーー蛍


たった15分だったけど

みんなで見た
蛍飛び交う
この雨上がりの夜空を

私は忘れないだろう

キラキラとひかり輝くネオンに
心躍ることもあれば

暗闇の中
ほんの僅かに輝く小さな光に
心安らぐこともある

今日は父ちゃんに感謝だ


とっておきの場所を
ありがとう

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