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オススメ本『ウランバーナの森』/お盆には過去とどっぷり向き合おう

お盆に読みたい本『ウランバーナの森』(奥田英朗/2000年)
夏の軽井沢、家族と別荘で滞在中のイギリス人ミュージシャン・ジョン(ジョン=レノンがモデル)が、あの世に去った人々と向き合い和解するファンタジー。
過去に囚われては現実を生きていけないけれど、やはり過去にはひきづられてしまいがち。だからこそ、お盆の4日間だけ、集中して過去と向き合ってみる。それは昔の人が編み出した知恵なのかもしれませんね。

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「変えられない過去を後悔するのでもなく、まだ見ぬ未来を思い煩うのでもなく、今ここに集中する。この時、この場所で、目の前にいる人に全神経を集中する。」
そんなことを大学時代の恩師が言っていた。(その先生は恩師なんて呼ばれることは嫌がるだろうけれども)いまの自分の基本的な価値観はそこからブレてはいない。
禅の思想でもあるし、ミヒャエル・エンデが『モモ』で説いていた工業化以前の人間的な時間感覚というものとも通じる。

日頃、今に集中するために、ごくごくたまに、過去のことや未来のことをどっぷり考える時間があるといいと思う。それがお盆というわけだ。
死んだ人だけじゃなく、自分がこれまで関わってきた人たち。好きだった人とか、好きになってくれた人とか、憧れた人とか、迷惑かけてしまった人とか。思い出したくもない過去も含めてたくさん。
いざ、過去を掘り起こし始めると、どれだけたくさんの人の存在を、今の自分は忘れているのかってはたと気が付き、驚く。人間って変わるものだなぁと。とはいえ、意識の上では忘れている人も含めて、経験の総体が今の自分を形作っているものでもあり、過去を受け入れられる時、今の自分を自分で認めてあげることができるようになるのだと思う。


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