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七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句)

第307回 知恵を得るために(ホラティウス)

sapere aude.
(知恵を得るために勇気を持て)
 
 古代ローマの詩人、ホラティウス(Horatius, BC65~BC8)の『書簡集』から。<正しい生活を生きる時間を先延ばししてはいけない、今すぐに学問に心を向けよ>という文脈のなかで述べている。
 この語句は2千年を超えて生き延びた。カントは1784年に発表した『啓蒙とは何か』で引用している。カントは、<すべての人が自らの理性を尊重するならば、世界はより良いものになる>と訴えた。
 そして今、〝新実在論〟を唱える現代ドイツの哲学者、マルクス・ガブリエル(Markus Gabriel, 1980~)は、再びこの語句に脚光を当てる。ガブリエルは、人々に<現実を知らない>と信じさせる反啓蒙活動家に立ち向かい、自らの知る能力を疑ってはいけないと主張する。そして、今こそ本当の事実を見つけ出すために、人類全体の力を合わせる必要があると論じる。

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