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七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句)

第293回 世界は永遠のブランコ(モンテーニュ)

Le monde n’est qu’une branloire perenne: Toutes choses y branlent sans cesse, la terre, les rochers du Caucase, les pyramides d’Egypte: et du branle public, et du leur.
(世界は永遠のブランコに他ならない。そこでは、すべてが絶えず動いている。大地、カフカスの岩山、エジプトのピラミッド、どれも世界と自己自身の運動により、揺れ動いている)
 
 フランスの思想家、モンテーニュ(Michel de Montaigne, 1533~1592)の『随想録(Les Essais )』第3巻2章「後悔について」から。事物を記録するときの心構えとして、対象の静止状態ではなく時々刻々の推移を描くことを挙げている。
 モンテーニュは、ボルドー近くのモンテーニュ城で、貴族に成りあがった富裕な家系に生まれた。物心がついたときから家庭教師にラテン語を習う。そのため長じてからも、何かの拍子に思わずラテン語が口から飛び出した。
 成年に達すると法官になり、ボルドーの高等法院に勤める。37歳で父の死により相続したモンテーニュ城に帰り、『随想録』を書き始めた。『随想録』の初版は1580年に刊行され、生涯にわたり加筆された。この著作はモラリスト文学の基礎を築き、デカルトやパスカルに多大な影響を与えた。
 


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