『No surrender』epiosode.16 『sky of hope』

理想を思い浮かべる時、人は多幸感に包まれる。あの頃は全てが叶う気がしていた。

ネオンライトの街で、主役を飾るつもりだった。メンズナックルに特集を組まれて、浮かれる俺がいる予定だった。

大学に全てを賭けようと考えていた。

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俺は、イオンの露店で華やぐシルバーアクセサリーに魅了されていた。

豪華絢爛に並ぶその様子は、俺の心を駆り立てた。光るシルバーは、とても魅力的で全てを買い占めたくなった。

シルバーアクセサリーの隣には、異様な財布が置いてあった。それがクロコダイル。明らかに異彩を放っていて、男心をくすぐる最高の厳格さを持っていた。

"その"ブランドが心の底から好きだった。どれも格好良くて、センスが光っていた。

(早く大学に入学して、ギラギラのアクセサリーに包まれたい)

俺はずっと妄想していた。髪の毛は伸ばし、金色に染めるつもりだった。

メンズナックルに出てくるお兄さんのような格好をしたくて、堪らなかった。

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俺は高校を卒業した。担任の先生に勧められた英語系の大学に進学することにした。

元々は悪魔と同じ大学になるところだった。でも担任の先生に勧められて良かった。

英語は得意だったから、余裕で合格できた。俺は京都の外国語大学に進学を決めた。

解放の刹那を少しだけ味わった。
これからは自由に暮らせると思った。

楽しみもあったが、心の病気は治せていなかった。そしてそれは、後々に大金を捨てる行為へと繋がった。

俺は確実に焦りすぎていた。
もっと方法はあったはずなのに…。
当時は逃れたい現実があって、
なにもかもを捨ててしまったんだ。
追い討ちをかけるように心は荒んでゆく。もう限界だったんだ。

春のあたたかな日差しに包まれて、朗らかな笑顔を浮かべる3月の俺は、「なんとかなる」と陽気に構えていた…。

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