追悼Steve Albini

Steve Albini(スティーヴ・アルビニ)が亡くなった。

スタジオの中で心臓発作で亡くなったと聞いて、

まさに彼に相応しいと感じたのは僕だけではないはずだ。

アルビニのバンド活動と録音したアルバムはアンダーグラウンドから世界を変えた。

ニルヴァーナ インユーテロ
ピクシーズ サーファーローザ
PJハーヴェイ リッドオブミー
ブリーダーズ pod

あたりが有名どころか。

特にニルヴァーナのカート・コバーンはアルビニの大ファンで、アルビニがライブで叩き壊したギターの欠片を持ち帰っていたほど崇拝していたようだ。

カートはピクシーズのサーファーローザを聴き、自分達のアルバムのドラムサウンドもこういう音にしたい、とバンドメンバーにも言っていたらしい。

アルビニの録音するドラムサウンドは独特だった。

いや、他の音源のドラムサウンドが煌びやか過ぎる、ウソのサウンドと言ったほうが正しいのかもしれない。

実際にロックバンドのライブに行った人ならわかると思うが、ストリーミングやCDで聴ける音源のドラムは過剰に迫力があり過ぎる。

本当のドラムを叩いてあんな音は出ない。

加工され過ぎなのである。

対して、アルビニの録音するドラムの音は目の前でドラマーが叩いている音そのものだ。

ギターの音も独特だった。

歪んだディストーションサウンドも、アコースティックギターの響きもごく自然な、リアルな音で録音されている。

ピクシーズのWhere Is My Mind? のアコギの音を聴けばわかるが、

目の前で弾いてるギターってこういう音だよね!という音だ。

録音した音源だけでなく、有名無名バンドを分け隔てなく接した精神も彼の美学だった。

大抵のプロデューサーはお金を対価として長期間のレコーディングに年単位で時間をかけるが、アルビニはそんなことはしなかった。

ニルヴァーナのインユーテロもベーシックトラック、ドラム、ベース、リズムギターは2日で録音し終わり、ヴォーカルとハーモニー、ギターソロなどのオーバーダビングも含めて5日しかからなかったようだ。

多くのバンドを録音できるわけだ。

長々と書いてきたが、やはり彼の録音に触れて欲しい。

できればサーファーローザのCDをラジカセで聴いて欲しいが、

現代の住宅事情や音源の入手方法を考えると難しいので

ストリーミングでも良いだろう。

今バンドをやっている人、過去にバンドをやった事がある人、これからバンドをやろうとしている人、全ての音楽好きに彼の録音した音源を聴いて欲しい。

彼に録音してもらいたくなると思う。

僕もその一人だった。

いつかアルビニに録音してもらって音源を作るんだ!

と思っていたが

叶わぬ夢になってしまった。

ありがとう、アルビニ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?