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「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」を読んで

 私は、著者のラジオのヘビーリスナーだ。
正直に言うと毎週欠かさずではないが、聴く時間をなるべく作り聴いている。radikoの登場には心から感謝している。
 ラジオのファンであり続け、聴く理由を考えてみると、「二人の話で笑いたい」がすぐに思い浮かんだが、もっと深く自分の気持ちを掘り下げてみると、著者の話を聴いて「あー、分かるわ」「うーん、なるほどなぁ」を求めているのではないかと思った。もちろん毎回それを求めているのではない。何回かに1回の放送、時々でいいのだ。
 「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」を読み進めると、心の中で、ラジオを聴いている時にある、心がピクっとする感じが何度もあった。

 意識的にまた無意識に誰かや何かと競争している、毎日、世の中、東京。
それとは違う世界を見てみたい、と向かったキューバ。
お父様への素直な気持ち、向き合いたい、出したい感情。
 私も、いつも誰かと競争しているのではないか?!自分と誰かと比べて優越感や劣等感を感じているのではないか?!それは必要な事なのか?!
本を閉じて、しばらく考えてしまった。
 私は「血の通った関係」を何人の人と築けてる?!いや人数ではないよね、中身でしょ。これからの人生、それを大事にしたいな、と思わせてくれたこの言葉。

 草原での乗馬の事が私の印象に残ったモンゴル。
「集団で必要とされている実感を得る機会は減ったのは世の中が便利になったからではないだろうか。」
なるほど!と強く思った後に、それなら、もっと便利になっていくこれからの世の中で、どうやって生きていけば実感を得られるのだろうか、と真剣に考えてしまった。答えはちゃんと見つからないまま読み進めると、
「金やフォロワー数のような数字に表されるようなものではない揺るぎない心の居場所」
私の心臓が熱くなるような言葉が書いてあった。
私もそれを見つけて強く生きたい。

 まさかの日本人ばかりの団体ツアーで、溶け込めないと思っていた著者の変化に私の心がほっこりと暖かくなったアイスランド。
人は人の心を動かせるのである。

 私は著者と同世代で30代後半の頃、休みが取れると旅行に出た。
ただ単に楽しみたかったのはもちろんある。
それに加えて、「現実逃避」って言葉が当てはまってしまうのかもしれないけど、東京での日常とは違う自分になりたかった、いわゆる日本での常識が常識じゃない世界を見たかった。そうしないと、狭い世界で生きるのが当たり前の人間になってそれがいつしか自分の中で「普通」になってしまう事を避けたかったからだ。
 そんな私の気持ちと、なんとなく似てるかなぁ、と思いながら読んだ本だった。そして、一人の個人旅行を好んでいたが、団体ツアーも良いのかも?!とも思った。

 人は人や何かと繋がりたいと思っている。今の世の中、さまざまなツールがあるが「血の通った関係」に出逢えることは、簡単なようで難しいのだと思う。でも、自分次第なんだ、間違いなく。

#読書の秋2020
#表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬
 

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