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烙印融合搭載狡猾ループ軸蟲惑魔【Season-9ダイヤ1達成】

本稿では、遊戯王マスターデュエル9月環境において最高ランクのダイヤ1を達成した蟲惑魔デッキについて解説する。

本稿に記載のないカード解説については総説記事②(https://note.com/xtraptrix/n/nb5b5d548b7d0)を参照されたい。

金満で謙虚な壺の制限化にともなってデッキ全体を支配する確率に変化があり、総説記事を大幅改訂する必要があることは理解しているものの、筆者の多忙につき改訂作業が滞っていることは先にお詫び申し上げたい。



構築

  • 《エフェクト・ヴェーラー》、《三戦の才》は環境を鑑みて調整しやすい

  • 墓地罠処理は《妖精伝姫-シラユキ》に一任し、ローズドラゴンセットやエリアルセットは不採用とした



デッキ全体の解説

狡猾ループの維持には狡猾DLの解除、すなわち墓地に溜まった罠をなんらかの方法で処理(除外する、デッキに戻す、墓地からセットする等)する必要があることは他記事でも述べた通りである。
今回のデッキは、その墓地罠処理の仕事をシラユキに担ってもらうタイプになっている。

シラユキ自体の優秀さ(個別のカードの解説で長々と述べている)と引き換え、従来型のシラユキタイプの課題としては、シラユキ自体へのアクセシビリティの低さが挙げられる。
具体的には、《おろかな埋葬》や《のどかな埋葬》、《ユニオン・キャリアー》等、蟲惑魔とのシナジーの薄さや蟲惑魔の展開力の低さに目をつぶった形で採用するしかなかった。

今回、その課題に対して、任意の光属性をデッキから墓地に送りつつ融合を行うことのできる《烙印融合》を採用することでその解決を図った。
同カード最大の特徴は「融合」通常魔法であり、《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》の効果によってデッキから効果を適用可能である点である。
これはすなわち、効果モンスター2体さえ揃えばシラユキをデッキ(または手札)から墓地に送ることができることを意味し、従来型にはなかった圧倒的アクセシビリティを実現している。

結果的に《烙印融合》から融合召喚される《氷剣竜ミラジェイド》は対象をとらないフリーチェーンの除外による除去を有し、《烙印融合》採用の副産物として非対象非破壊という狡猾軸に不足しがちな除去を補うことが可能な点でも噛み合っている。

さらに、《氷剣竜ミラジェイド》はEXデッキから《灰燼竜バスタード》を墓地に送ることができ、蟲惑魔のベストパートナーたるドラグマ要素にアクセスすることまで叶えることができる。



個別のカードの解説(総説記事差分のみ)


【モンスター】

妖精伝姫-シラユキ

何度でも・何枚でも・フリーチェーンで墓地の罠を除外できる、全カードプール中で最も墓地罠処理に秀でているカードの1枚。また、蟲惑魔に召喚権を使う前に妨害を踏んだり、ランク4のX素材となったりできる点など、本デッキと噛み合う点は非常に多い。裏側守備標示にする効果によりフリーチェーンでの妨害や破壊耐性の無効化をもこなし、特に苦手なミドラーシュや未来龍皇、サンドラ融合体など、破壊耐性と制圧効果を同時に消すことができる点も心強い。

アタッカーとしても優秀なATK1850を有し、シラユキ攻撃→狡猾でシラユキを破壊→(セラ効果で蟲惑魔リクルート→)シラユキ蘇生→シラユキ再攻撃という形で、最後の一押しあるいはダメージレースの高速化が可能。

手札誘発に対する《墓穴の指名者》ケアとしても優秀で、墓穴の対象になった手札誘発をシラユキのコストとして除外することで、そのカードの効果を無効化させずに通すこともできる。

「墓地に送ることができたら極めて優秀」というカードであるが、従来蟲惑魔デッキにおいては、特にシナジーのない《おろかな埋葬》、通常罠だがやや使いづらい《のどかな埋葬》、展開力がある程度必要な《ユニオンキャリアー》など、構築を歪ませる形でしかシラユキを活躍させることができなかった。今回、《烙印融合》の採用により、蟲惑魔デッキに不足しがちなモンスター側での妨害と前線に立つエースを確保しつつシラユキを墓地に送ることが可能となった。さらに、《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》により任意の効果モンスター2体さえ並べばデッキから烙印融合を落とし、シラユキを墓地に落とすことさえ可能になった。


アルバスの落胤

○○竜シリーズの融合素材。召喚すれば相手の場のモンスターを対象にとらず融合素材にするという形で除去可能で、後攻時に召喚権を使って捲りにいく場面もある。闇Lv4、守備力0というステータスがSWにとって非常に噛み合いが良いものの、除外すると烙印融合が機能停止するため、ルべリオン融合召喚時の効果でアルバスをデッキに戻した後に除外要員としたい。


屋敷わらし

主にデスピアの《赫の烙印》を止めるための、環境意識の採用。相手先攻時に構えられた赫はこちらのターンに使用され、《ガーディアン・キマイラ》を融合召喚してこちらの盤面を致命的に荒らしつつ、圧倒的なリソース差を作られてしまうため、対デスピア時のマストカウンターである。
本デッキは赫を止める屋敷わらし、キマイラから伏せを守る天獄、それらをサーチする《スモール・ワールド》(SW)、キマイラ発動後からでも捲れる三戦を採用し、赫を強く意識している。特に、自分のターンの開始時にSWから屋敷をサーチし、赫を牽制しつつ捲りにいく動きは何度も行った。



【魔法】

烙印融合

誓約効果こそあるが、シラユキとアルバスを素材としてアルビオンをデッキ融合可能。アルビオンの効果でミラジェイドを融合召喚する際、自身を融合素材とすることもできるが、墓地にセラやパニッシュメント経由で墓地に落としたEXモンスター等がいれば、アルビオンを場に残したまま融合召喚が可能。その場合の総攻撃力はアルビオン+ミラジェイド+蘇生したシラユキで7350であり、セラ1体でゲームエンドできる水準となる。ヴェルテや天獄などアクセス手段も多く、禁止されない限り投入したいほどのパワーカード。《おろかな埋葬》との主な差異は次の通り。

・アルバスを採用する必要がある
・手札のシラユキも墓地に送ることが可能
・ヴェルテからアクセス可能
・誓約効果がある
・大幅な打点増強に直結する
・シラユキを墓地に送る以外の役割がある
・EX枠を消費する


三戦の才

発動条件こそあるが、本デッキに求められる3種の性能を発揮できる。

①2枚ドロー
トリオンやエクレシア等に妨害を受け、罠が0枚になってしまう状況はそれなりに発生する。このドロー効果を使えば無理やり罠を探しにいき、被妨害時のお茶濁しができる。本デッキは手札増強手段が少ないうえ、罠デッキゆえ手札枚数が妨害数に直結しやすいため非常に嬉しい効果。

②非対象コントロール奪取
非対象・非破壊の捲り手段という、本デッキが求める性能そのもの。奪ったモンスターはアナコンダのリンク素材として活用したい。相手のミラジェイドを奪う場合、仮に自爆特攻でも「相手によって破壊された」を無視して安全に処理できるほか、効果未使用なら効果にタダ乗りし、モンスター除外+ドラグマ関連へのアクセスという離れ業も可能。

③ピーピングハンデス(デッキバウンス)
3つの効果の中で唯一カードアドバンテージが±0になってしまう効果。ただし、数値化の難しい「情報アドバンテージ」を得ることができ、相手の初動やキーカード、羽根帚(ライスト)をハンデスしつつ、こちらが使う妨害の撃ちどころを最適化することに繋がる。特に先攻時、こちらの妨害数が十分と判断される場合は積極的に発動したい。



【罠】

無限泡影

無効化手段のかなり限られる手札誘発で、その手段として環境で見かけるのは《抹殺の指名者》やせいぜい《月の書》だけであろう。類似した役割の《エフェクト・ヴェーラー》と比較して、相手メインフェイズ以外でも(自分のターンでも)発動することができ、妨害ではなく捲りのためのカードしても使用可能。
本デッキにおいて、通常罠であることはメリット(セラ効果の誘発が可能)にもデメリット(狡猾DLの原因)にもなり、運用が非常に難しい。私は「狡猾ループがうまくいかないこと」よりも「通常罠が手札に1枚もないこと」の方が深刻な状況であると考え、このカードの採用に至った。



【EX】

捕食植物ヴェルテ・アナコンダ

デッキ融合の烙印融合をデッキから適用することができる。ティオ+エクレシア初動でエクレシアに妨害を貰った場合など、0妨害になりそうな場合にこのカードをリンク召喚し、ミラジェイドを融合召喚することで上質な妨害とドラグマへのアクセスが可能となる。効果モンスター2体からシラユキをデッキから落とすことができるため、かなり容易に狡猾DL解除に向かうことができる。
植物族なのでクロスローズ効果の発動コストやクラリアのリンク素材として使用可能であり、ヴェルテの効果が無効化された場合にも利用価値がある。


覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴンーオーバーロード

《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》に重ねてX召喚できる。レベル4が2体並べば効果無効等を挟まれる余地なく3000打点を出せるという点が肝要で、《召喚獣メルカバー》や《相剣大師-赤霄》を一方的に戦闘破壊できたり、《フルール・ド・バロネス》と相打ちに持ち込むことができたりといった優位性がある。このカードのX素材数は、ダリべの効果未使用なら3枚、使用後なら1枚となり、それぞれ4素材アーゼウス、2素材アーゼウスになることができる。


ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン

高打点や破壊耐性持ちを戦闘で突破することができる。戦闘面が強力である一方で効果使用後はX素材が0枚になるため、アーゼウスになれる優位性がないように一見思われるが、オーバーロードを重ねてX召喚できるため、2素材アーゼウスをX召喚することができる。


No.101 S・H・ArkKnight

戦闘・効果破壊耐性を有し、自爆特攻からアーゼウスに繋ぐこともできる。非破壊除去もこなし、特に相手のミラジェイドを安全に処理できる点が優秀。


No.82 ハートランドラコ

攻撃力2000のダイレクトアタッカー。終盤の詰め役として優秀で、仮に盤面の突破が不可能でも墓穴ホール+ハートランドラコで4000ライフはとれる可能性がある。また、盤面に依らず戦闘を行えるという点から、アーゼウスをX召喚しやすい。


烙印竜アルビオン

アルバス+光属性(特にシラユキ)を融合素材とする。特殊召喚時効果で手札・場・墓地を素材としてミラジェイドやバスタード等を融合召喚可能で、自身を融合素材とすることも可能。

他に採用の検討できる光属性モンスター
《EM五虹の魔術師》:墓地→Pゾーン、セット強要とトリオンの相性〇
《スターダスト・シンクロン》:《スターライト・ロード》サーチ可能


神炎竜ルベリオン

アルバス+闇属性を融合素材とする。融合召喚時に手札を1枚捨て、墓地や除外ゾーンのモンスターをデッキに戻しながら融合ができる。この効果により墓地のセラやヌトスをEXデッキに戻して再利用したり、アルバスをスモールワールドの経由カードにしたりといったリソース回復の側面が強い。また、1枚採用するだけでアルバス召喚時の融合効果が使いやすくなる。しかし、デッキから積極的に墓地に送りたい闇属性モンスターはおらず、融合に手札コストを要求することから、使用頻度は低い。


灰燼竜バスタード

天底、パニッシュメント、ミラジェイドの効果で落とし、墓地効果によってドラグマ要素にアクセスする役割がある。実は強力な耐性と高打点を有し、前線に立たせても強力。


氷剣竜ミラジェイド

アルバス+融合・S・X・リンクを融合素材とし、基本的にはアルビオンの効果かアナコンダ経由の烙印融合の効果で融合召喚することになる。EXのアルバス融合竜をコストに、フリチェで対象を取らないモンスター除外する効果まで搭載している。

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