見出し画像

蟲惑魔目線;MD9月環境考察

本稿では、遊戯王マスターデュエルにおいて、2022/8/31に施行される新リミットレギュレーションにて規制強化/緩和されるカードを確認しつつ、環境全体の動きや蟲惑魔デッキ目線での戦い方および構築の変化について考察する。

9/11追記
烙印融合の登場で完全に勢力図が塗り替わったので、細かいメタの遷移に関する記述は無視していただきたい。


◆禁止

真竜皇V.F.D.

電脳堺の最強制圧カード。禁止化により電脳堺デッキのシェアが多少減少すると考えられるが、電脳堺の終着点がVFDではなくなるだけで、電脳堺デッキ自体が致命的な弱体化を受けたとは考えづらい。
電脳堺テーマ自体の誘発耐性と手数の多さ、テーマ内に存在する青龍や朱雀の優秀さ、勇者ギミックとの親和性の高さから、今後も電脳堺デッキは環境に存在し続けると考えられる。
一方で、VFDが着地点であるハリラドンデッキはコンセプトが崩壊する。


蟲惑魔目線

むしろ、狡猾等の罠で破壊できる分、蟲惑魔としてはVFDは対処しやすい部類であった。リソース残しながら朱雀でアドバンテージを稼ぎ続けられる方がよっぽど辛い。
電脳堺自体は狡猾の通りは良い対面なので、相手の仙々効果を利用して狡猾DLを回避しつつ戦っていきたい。
☆電脳堺の特殊召喚効果発動時、それにチェーンして対象にとられた電脳堺モンスターを狡猾で破壊すれば、特殊召喚自体を無効化できる。



王宮の勅命

使用デッキはエルドリッチや真竜、メタビート系。相手に使われてそこまで辛いカードではなく、むしろ自分が使えなくなるのが厳しい。
今回の改訂はエルドリッチデッキのシェアを激減させる(少なくともパワーは激減させる)ように感じられた。

勅命禁止
→いわずもがな

抹殺制限
→エルドリッチデッキに対してほとんど効果の無いカードがあらゆるデッキから1-2枚減ることになる

金謙制限
→エルドリッチデッキの強さの本質は永続罠にあるが、その永続罠へのアクセスが非常に細くなる

スキドレ準制限
→エルドリッチの強さの根源のひとつが減るうえ、金謙制限に伴ってアクセス手段が乏しくなる


蟲惑魔目線
勇者ギミック、謎の地図や未知の風を消せるカードを失った。
後攻初手バック破壊に対抗するカードとしては魔封じが残されているが、先に置かれている謎&未知、墓地から装備されるドラゴバックに対抗できないため、魔封じではパワー不足感が否めない。
ただし、前述の通りエルドリッチデッキは減少すると考えられるため、バック破壊カードの採用枚数が減少する方向に環境が動くことは期待できる。



虚無空間

ふわんだりぃずの制圧カード兼被妨害時のお茶濁しカードが禁止に。金謙や抹殺の規制強化も鑑みるとふわんの立場は若干厳しくなった。
ハリラドンや相剣デッキの上振れ妨害札としても活躍していた。


蟲惑魔目線

獣王アルファ始動で捲りにいく際に邪魔なカードではあったので、それが消えるのは嬉しいか。



DーHERO ディバインガイ

フュージョンデステニーの制限化とあわせて、気軽な(シナジー面を無視した)デスフェニ出張が難しくなった。


蟲惑魔目線

召喚権も伏せも消してくるデスフェニが辛かったので素直に嬉しい。デスフェニの蘇生を防ぐために活躍していた次元障壁は抜けるかもしれない。



No.75 惑乱のゴシップ・シャドー

いわゆる5素材ロンゴミアントとよばれる、ゲームを否定したカードへの規制とみられる。
現状、ロンゴミアントを使う幻影デッキは少なく、多くが勇者型に移行していたため、環境への影響は軽微とみられる。
レベル3軸の展開系デッキでは初動が上振れた際にこのカードで誘発ケアを行うこともあったが、不可能になった。


蟲惑魔目線

特に影響なし。



◆制限

抹殺の指名者

手札誘発対策の巨頭であり、先攻有利環境を極端にしていた元凶のひとつ。展開系デッキ全般、特に展開が一本道であり特定のカードが止められたら厳しいデッキ(ハリラドン含む)は弱体化を受けることになる。

増Gは勇者ギミックでは対処できないことから、増Gを止められるカードがデッキ内から減ることになるため、増Gを撃たれた後に展開の妥協点を作りつつ妨害を用意できるデッキでないと勝率を稼ぎづらくなると考えられる。
また、泡影を止めるカードが極端に少なくなり、泡影の信用度が高まるのは間違いない。


蟲惑魔目線

誘発が重くない蟲惑魔にはそもそもあまり採用されないため、構築への影響は無い。
誘発が通れば捲りやすくなるため、後攻に弱い蟲惑魔にとっては非常に追い風。
また、環境全体で泡影の採用が増えたとしても、展開起点のセラには泡影が効かないため、蟲惑魔に対する影響はそこまで大きくない。(ただし、罠の採用を絞っている狡猾ループ軸はトリオンに泡影を撃たれた結果0妨害になる危険性が高まった。)



金満で謙虚な壺

様々なデッキの初動安定化に寄与している。環境デッキにも影響を受けるものが多く、特にふわんだりぃずはこれまで以上に事故が付きまとうデッキになると考えられる。


蟲惑魔目線
蟲惑魔は強い初動がトリオンのみ、多少マシな初動がランカのみと、初動が非常に細いデッキであっただけにこの規制は非常に痛手。
パンクラや獣王アルファ等で後攻時の捲り性能を補っていた構築においても、それらをそもそも手札に加えづらくなってしまった。
スモール・ワールド等でなんとか初動の安定性を確保したいところ。



プランキッズ・ミュー

抹殺制限とあわせて、プランキッズデッキには厳しい規制となった。特に、プランキッズの2ターン目の動きが非常に窮屈になり、先攻展開を返されたら脆いデッキになってしまうと考えられる。


蟲惑魔目線

元々ロアゴン以外はそこまで苦手なデッキではなかったが、プランキッズのシェア率は減少すると思われる。



フュージョン・デステニー

とりあえずデスフェニ採用ということにはならなくなり、ディバイン禁止とあわせて、採用率は下がると考えられる。ただし、アナコンダは現役であり、依然として環境で見かけるカードにはなると思われる。
素引きフューデスが発生しづらくなり、増Gを撃たれた後にフューデス撃ってターンエンドという強力に増Gを受け流せる動きは発生しづらくなったため、これまで以上に増Gが黒く輝く環境になると考えられる。


蟲惑魔目線

苦手のデスフェニが減少するのは非常に大きいが、また代わりの怪物が出てくるだけともいえるか。
とりあえず、蟲惑魔にデスフェニを出張させる恩恵はかなり弱くなったと考えられる。



◆準制限

オルターガイスト・マルチフェイカー

1枚が2枚になるからといってオルターガイストデッキのシェアが顕著に伸びるとは考えづらい。
オルター使いは喜ぶし、悲しむ他のプレイヤーはほとんどいないし、こういう改訂が増えてほしいと個人的には感じる。


蟲惑魔目線
特に影響なし



転生炎獣ガゼル

1枚が2枚になるからといって転生炎獣デッキのシェアが顕著に伸びるとは考えづらい。
もともと転生炎獣デッキ内にはこのカードにアクセスする手段が多く、転生炎獣の初動がまたさらに安定する程度の強化であり、転生炎獣の最大出力が上がるわけではない。


蟲惑魔目線
特に影響なし



スキルドレイン

エルドリッチデッキの強みのひとつ。前述の通り、同デッキのシェアは減少すると考えられる


蟲惑魔目線
セラを出した後ならまだしも、先攻スキドレは対抗手段が非常に限られていたため、これは朗報である。
また、エルドが減って環境デッキにおける罠型デッキに対するメタが弱くなると考えられるので、二重で追い風である。
スモールワールド採用型におけるパンクラは、その採用理由のひとつであるスキドレ処理という仕事が減る形になるので、他のモンスターがその枠にとってかわるかもしれない。



炎舞-「天キ」

十二獣や鉄獣を使うデッキに対するマイルドな規制であり、安定化の低下は免れない。ただし、元々安定感の高い両デッキを手放すような動機にはなりづらいか。


蟲惑魔目線
蟲惑魔デッキにとっては対抗デッキだけが弱体化するため、プラスの方向に影響はあるが、影響が見えづらい。



◆無制限

深淵の暗殺者

誰も使っていない。


蟲惑魔目線
全く影響なし。



蟲惑魔目線;新環境における要注意カード

蟲惑魔ギミック内で対処できず、なおかつ手札誘発や罠で処理しづらいカードを紹介する。また、その対策カードや対策方法についても考察する。

アークネメシス・プロートス

私は、新環境においては「天威勇者デッキ」がトップシェアになると考えている。
そして、その天威勇者の最終盤面あるいは妥協展開の中で登場するのがこのカードである。

このカードは破壊耐性を持っているというだけで若干嫌な予感がしてくるが、天獄やフルルドリスでの突破を許さない守備力3000を有しており、出てきた後の対処が難しい。
さらにはチェーンブロックを作らずに特殊召喚され、墓穴ホールを撃つこともできないため、出てくる前に対策するのも難しい。

落とし穴では対処しづらいため基本的にはバウンスや除外、効果無効にしてから破壊等、蟲惑魔のギミック内では用意できない処理方法を要求される。

ギミック外カードへのアクセスは天獄から可能なので、天獄を絡めて処理したい…ところではあるが、プロートスには宣言した属性のモンスターを特殊召喚できなくする効果があり、プロートス自身の闇属性は非常に宣言しやすいデザインになっている。
すなわち、天獄を特殊召喚して解決札にアクセスするという動きも難しくなっている。

先攻で地属性が宣言されづらいのはせめてもの救いであるが、後攻で出てきたプロートスを破壊できずに蟲惑魔を一掃されるという事態も当然起こりうる。
蟲惑魔を囮にして相手の地属性宣言を誘導し、天獄から解決カードを持ってくることも想定しておきたい。


有効な対策カード

エクレシア
フルルドリスとあわせて効果を無効にし、狡猾等で破壊する隙を作る

獣王アルファ
一旦盤面から退かすことができる。特殊召喚に必要な墓地リソースをパニッシュメント+エリアルによって飛ばすことができれば再着地は防ぐことができる。

迷い風
恒久的な無効化。

破壊以外の除去が可能なフリーチェーンの通常罠
強制脱出装置やバージェストマ・ディノミスクス、鳳翼の爆風等。バウンスしてもその場しのぎ的になることが多いが、一応処理はできる。ちなみに、除外しても天威龍-アーダラに回収されてしまう。


超雷龍ーサンダー・ドラゴン

ハリラドン展開の最後に出てくるモンスター。稀に素引きしたネメシス・コリドーから直接出てくる。

スモールワールドや金謙、トリオン等の効果によるサーチを封じてくるため、引いたカードで戦うしかないが、蟲惑魔デッキで引くカードの多くは破壊耐性を有するこのカードを突破できない。
天獄の効果が阻害されないのは救いか。

そもそもハリラドン展開を最後まで通したら負け濃厚であり、そのうえ対策カードを採用しても素引きしなければ機能しないため、超雷龍対策にデッキ枠を大きく割く必要はないかもしれない。


有効な対策カード(?)

獣王アルファ、迷い風、破壊以外の除去が可能なフリーチェーンの通常罠



検討中の構築

勇者やふわんだりぃずに対してほとんど有効ではない狡猾以外の落とし穴は引き続き採用せず、狡猾ループを主軸にした型で臨みたい。
まだ数学的に最適化された構築ではないが、9月から使いたいと考えている構築について以下に記す。

各カードの詳細な採用理由や使い方は詳説記事(https://note.com/xtraptrix/n/nb5b5d548b7d0)を参照されたい。
※一部新規採用カードは記載なし


8月にダイヤ1を達成した蟲惑魔

 ↓

9月から試したい構築


☆主な変更点

ティオ→ランカへの変更と追加(2枚)

ティオを3枚使うゲームはそこまで多くないことに加え、初動としてはランカの方が強いこと、スモールワールド(以下SW)のために手札のモンスターを増やすカードが欲しかったことから、試験的に変更。
ただし2ターン目以降に引いたとき最も強い蟲惑魔はティオであり、早々に3枚に戻す可能性もある。


増Gの増量(2枚→3枚)

新環境では増Gの通りがよいと考えられ、増Gを止めるカードが少ないことも後押し。


SWの増量(2枚→3枚)

金謙の減少により損なわれた分の初動安定性を少しでも取り返すねらい。


ブレイクスルー・スキルの採用(1枚)

ふわんだりぃずを強めに意識した採用。相手ターンに召喚されたふわんの効果を止め、返しの自分のターンに召喚されたふわんの効果を止めるという形で2度活躍できる。
環境に対して刺さりの良い幽鬼うさぎやトークンコレクター、ランカでサーチしたティオをエクレシアにSW変換できるようにするロンギヌス、無難な灰流うららなどの手札誘発の採用も考えられる。


鳳翼の爆風の採用(1枚)

相手のカードをデッキトップにバウンスできるフリーチェーンの通常罠。破壊以外の除去に加え、相手のドローロックが可能。
パニッシュメント使用後、自分の展開が鈍くなっている間に相手に状況を解決されることもあり、除去&遅延性能のある通常罠を探していたところこのカードに出会った。パニッシュ+天獄で始動する際に活用できることを期待している。

ディノミスクスと立ち位置が似ており、このカードは墓地から特殊召喚できない点、手札を捨てるのが効果ではなくコストである(エリアル効果を誘発できない、無効化されても手札は消費する)点で劣るが、前述のユニークな性能に期待して試験的採用。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?