ryouji_ishizuka

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貨幣は動かない          Money doesn't move.

「貨幣は動かない」とモズラーは言っています。 私もかねてより、そのように考えていました。なぜ、貨幣は動かないとあえて言わなければならないのか、そのことについて説明します。 まず、話の前提として、ここでいう「貨幣」は、さしあたりは銀行預金の口座、つまり預金通貨を前提とします。多くのひとは、紙幣や硬貨のような手渡しできる通貨(手交貨幣)を貨幣の典型と考えるかもしれませんが、上記の動画でもモズラーが言っているように、現在では、殆どの取引は紙幣や硬貨のような現金ではなく、預金通貨で

    • 渡辺恭彦著『廣松渉の思想』合評会レジュメAug/4/2018石塚良次

      Ⅰ 本書の意義 Ⅰ-1 廣松渉に内在し廣松を超えようという志。 Ⅰ-2 その際、物象化世界に内存在する人々が、どのようにして物象化を超え出ることができるのか、が廣松のテーマだったと理解し、それを軸に廣松思想を解明せんとした。 Ⅰ-3 廣松の著作(のみならず政治活動なども)を詳細に追うことにより、彼の思想形成過程に即して、上記の課題を果たそうとしている。 Ⅰ-4 そのような意味において、従来例をみない著作となった。  廣松も解釈の対象になった、古典になった(岩波文庫入り)

      • 物象化論の継承的拡張と現代資本主義(注1)――   石塚良次

        1はじめに――「モノからコトへ」  廣松渉の著書『哲学入門一歩前』の副題である「モノからコトへ」という命題が、近年、とりわけマーケッティングなどの領域で頻繁に使われるようになっています。たとえば、財務省が2015年に出した報告書『財務局調査による「個人消費の動向」』(注2)などでも、消費動向として「モノ消費からコト消費へ」という流れがあることが指摘されています。また総務省の報告書『「コトづくり」の動向とICT連携に関する 実態調査研究』(注3)でも、廣松の名前をあげて「モノ

        • 渡辺恭彦著『廣松渉の思想』を読む  2018、Aug.4th 石塚良次

          《本稿は、渡辺恭彦『廣松渉の思想』合評会 (2018年8月4日(土) 13-17時 @阪南大学あべのハルカスキャンパス、主催:〈近代と統治〉研究会・進化経済学会「制度と統治」部会)で配布した報告原稿である。ただし、いたずらに長大となったため、これを読み上げることはせず、当日の口頭報告はこれとは別のレジュメに基づいた簡潔なものとなった。ノートへの再録に際して、若干の補修を行っている。 なお、本文中の「著者」は渡辺恭彦氏をさし、「評者」は石塚をさす。引用箇所のページ番号は、ことわ

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