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妻子が実家に帰ると伝えた時の反応の違い。日本、アメリカ、フィンランド


会社員のあなたには配偶者と小さい子供がいるとする。その家族が自分を残し、用事で二週間ほど向こうの実家に帰ることになった。そのことを同僚に伝えた時、どんな反応があるだろうか?

これまで日系企業、米国系企業、フィンランド企業と異なる企業文化の中で働いてきた自分が、相手の第一声をシミュレーションしてみるとこうなる。

🇯🇵「おーそっか!じゃあ時間できるんだからさ、飲み行こうか!」

「飲み」の部分はBBQでもゴルフでもカラオケでも、何に置き換えてもいい。実際にこういう誘いを経験した方は多いだろう。続いてアメリカ系。

🇺🇸「そうなの!?一緒に行けないの?おおーん、それはとても寂しいでしょう?早く帰ってくるといいわね」

おおーんのところは、Awww と息を吐かずに声を出す、例のアレである。きっと同僚は唇をすぼめて頭を振ってくれるはずだ。

果たして、フィンランドではこうなるのだ。

🇫🇮「ふーん、悪くないね。ひとりの時間、最高だね、楽しんでね」

…お、おうそうだね、楽しむことにするよ…。これは実際に僕が最近体験し、驚いたことだった。今月、妻と子供だけ一時帰国(妻の歯の治療)することになり、私だけ何週間か単身でヘルシンキに残ることになったのだ。

最初はフィンランドでも米国的な反応が返ってくると思っていた。ファミリーケアへの理解が十分にある国という印象が強いからだ。

でも実際は、家庭持ちの人を含め、ほとんどのフィンランド人たちが上記のように答えた!これは何だか、ひらめきの瞬間だった。

集団の中の日本人、家族ありきのアメリカ人、個人としてのフィンランド人

日本では一般的に、個人は会社という集団の一部であるという意識が優先する。会社は家族と同等か時にそれ以上の位置づけになり、個人はその下に位置する。

またアメリカでは、個人はカップルや家族の構成要素だという意識が強い気がする。会社のイベントにもパートナー同伴で、とか上司の家で「ホーム」パーティを、とか。

両者とも例外はいくらでも存在するが。

その点、フィンランド人は「自分」という個人を最優先するのかもしれない。思い返すと腑に落ちる点が多い。

例えば、会社で初めてのオフサイト(合宿イベント)に行った時も、ワイワイお酒を飲むグループがいる横で、一人で本を読む人、カラオケで盛り上がる部屋の中で、ただ壁際で聴く専門の人、ひたすらサウナに行く人、ふらっと散歩に出る人… など、個々人が自由に過ごしているのを見かけた。日系と米系の組織で過ごしてきた自分としては「えっ?会社のイベントなのに、そんなに単独行動していいの?」と驚いたのだった。同時に、自分らしく振る舞える、とても心地良い感覚を覚えた。

会社のランチ時間に「特に予定ないけど、今日は一人で食べるわ!」と断わる人がいるのも新鮮だ。もちろん本人に悪気はなく、次の日は一緒にレストランで食べたりする。

“Me time” にこだわる

夫でも妻でも、父でも母でも、スポーツや趣味など自分の時間を確保するルーティンを持っている人が同僚には多い。

自分の役割よりも、自分自身を優先している。自分が幸せでないと他の人にもいい影響がないからだと思う。言うは易しだが、これは本人の努力と家族や周りの理解がないとできない。

セルフケアがあってはじめてファミリーケアができる。ということで、しばらく冬のヘルシンキでひとりの時間を楽しもうと思う。そして、家族が日本から戻ってきたら、妻には積極的に Me time を取ってもらうことにしよう。


*写真は凍った海の上で。この日は海の上を2時間くらい歩いて遠くのカフェに行ってきました。

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