見出し画像

先生が大学を離れるとき。『ぼくたちの英語』黒田龍之助


大好きな黒田龍之助先生の本。
なぜか、ふと、1年に1度くらい限って読みたくなって手に取ります。大体忙しいときかもしれない。身体の中に、なにかビタミンやら栄養が足りなくなると、それが食べたくなるんだっていうけど、それなら黒田龍之助さんの本が読みたくなるときは、何か、頭の中や気持ちの中に何かが足りなくなるとき? かな??

本の内容は、期待通りだったけど、どこかの感想にあったように、もう少しプライベートな同僚関係(?)を省いて、英語的エピソードのみに濃縮してもらったほうが読みやすかったかなあと思わないでもない。

それを考えると、やっぱり大学を離れて、学生が集う研究室を持たなくなってしまったことが反映しているのかも。学生と距離を置くタイプといいながら、結構登場する二人の学生たちにしても、それ以外にしても、黒田先生は結構ウェットな関係のように読めるから。

で、個人的に今回の本よりももっと興味深かったのは、この本の出版を記念した講演会の記録です。

どっかの古い映画のタイトルみたいなタイトルから想像した内容とは違って、クールで熱い黒田龍之助先生の言語学習や大学に対する姿勢がよく分かって、とてもおもしろかったです。私にとって、内容は全然、異常な愛情ではなかったけれど、でも大学にいれば、黒田龍之助先生のような人は異常とみなされるかも。いやいや、異常どころかそれ以前の・・・・(以下自粛)

大学はいろんなタイプの学者さんがいないと活性化しないのに、今の文科省は学生さんも学者さんも、そして大学もすべて自分たちの言うことを聞くように「型」にハメようとしているみたい。多様性こそ、生物の生き残りの最良の戦略。それは選択と集中ではなく、世の中の流れの8割以上を占める偶然の中で、チャンスをものにできる視野の広さや余裕が必要なのに。

ともあれ、これからも黒田さんの本を読んでいきたいなと思いました。NHKのロシア語講座でもお見かけするような先生の講演会。いってみたいなあ。事前に知っていたら本を持参して、サインしてもらったのになあ。


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?