【音づくり解説①】歪み編Ⅰ

こんしるべ。
スぺ丸ことフジツバメことえんどうです。
後輩が音作りnoteを書いていたので触発されて書きたくなりました。

noteの構想を練っていたら3月ライブが終わっていた。
とても素晴らしいライブでした。
僕にはできないなと思う演奏がたくさんあって(技術的なこともだけど、パフォーマンスとか表情とか音に込める情熱とか愛とか友情とか努力とか勝利とか霊圧とか小宇宙(コスモ)とか)、「社会に出たくね~~~」って気持ちになりました。

さてこの度の音作りnote、全6~7回くらいになるかなと思います。
長すぎです。暇な人以外見ないでください。
一応ギターにもベースにも使えるような話を書くつもりです。
ただし、あくまで個人の感想です。これが正解なんじゃ!!とは思っていません。あしからず。

今回は「歪み編Ⅰ」。ⅠということはⅡもあります。多分。誰得?

(細かい話をすると、僕は歪みとプリアンプの区別をしていません。というよりあんまりわかりません。奏者視点やってることは似てるかなと思うので気にせず行きましょう。)

何のために歪ませるの?

さて、我々人類は、なぜエレキギター・エレキベースを歪ませなければならないのだろうか。これを解明すべく、我々はアマゾンの奥地へと向かった…

いえ、向かわなくても大丈夫です。
理由は単純。「かっこよくてきもちいいから」。
じゃあ、何でかっこよくてきもちいいのか。
これを解明すべく、一緒にアマゾンの奥地へ行きましょう。

1.音が太くなる

まずはこれです。なんかボワッとして迫力が出ますよね。
ただこれ、主観では「輪郭をぼやかしてるから」、な気がしてます。
輪郭のくっきりした音は音の全容を知覚できます。
輪郭をぼやかすことで線を太くして、音の全容を把握しずらくして、「自分の耳では把握しきれないほどのダイナミックなものがそこにある!」と思わせにかかるわけです。
水性ペンで書いた線に水を垂らすようなイメージですね。

実はこの性質、ベースだと邪魔だったりします。
音楽の土台としてリズムやコード感を提示したいのに、輪郭ぼやけると存在感薄まるんですよね。
でも、やっぱり歪ませた迫力は欲しいし…
ということで、ベーシストはよく「歪ませた音」と「クリーンな音」をブレンドする、という技を使います。

・歪みエフェクターの電気回路図的に既にブレンドされる設計のペダル
・歪みエフェクターに「blend」のツマミがあってコントロールできるペダル
・A音とB音で2種類の回路に分け、ブレンドできるペダル(ブレンダーという)
などで対策可能です。

2.音に個性をつける

ぶっちゃけると、クリーンな音って個性が作りにくいような気がしています。
そりゃもちろん楽器とかアンプとか奏者とか弾き方によって音色が変わるのは当然なんですが。
「歪み」というパラメーターが一つ増えることでさらに個性的な音作りが可能になります。
さらにその中でも歪みの量、目の粗さ、影響する音域など…キャラクターは無限大です。(このあたりの話は「歪みⅡ」で。)
他の要素より変化がわかりやすいし。

3.音を伸ばす

個人的にはこれが一番重要。
ギターやベースって「撥弦楽器」という分類なんです。琴とか琵琶とか三味線とかも。
弦をはじいて音を出すわけです。アコギ弾くとわかると思うんですけど、必然的に発音の瞬間から音量は減衰します。

ただ僕、バイオリン弾きなんですね。
バイオリンとかチェロとかああいうのって「擦弦楽器」と言いまして。
「弓」とよばれる右手に持った木の棒(これホントに英語で"bow"っていうんです)で弦を擦る。ちなみに弓にくっついてるあの白いのは馬のしっぽの毛です。モンゴル産。たまにシベリア産とか。イタリア産が高級。
そうすると、いつまでも無限に同じ音が出せるんです。減衰させるもさせないも奏者次第。

さて余談が過ぎました。
「じゃーん」と言ったときに、音が伸びてないと(個人的には)不安になるわけですね。
そもそも音が持続しないとメロディとして成立しないことすらある。

その点、歪ませると音がぼやけて減衰を感じにくい。
音が前後で繋がって聞こえるようになり、演奏している際に音の空白を感じにくくなる。
音が伸びてくれていると音楽的にうれしいわけです。

ちなみに名前は伏せますが某BIG MUFFというエフェクターは歪み量の調節を行うツマミを"Sustain"(持続)と表記していますね。

歪み・ボリュームにまつわる3要素

さて、ここからは実践的なお話です。
次の画像をご覧ください。

その辺に落ちてた紙に1分で書いた
(エフェクターA,B,Cはすべてオーバードライブ・ディストーション・ファズ・ブースター・プリアンプ等の「歪みと音量を調整するぺダル」とします。)

簡単な絵を書きました。
楽器がフライングVなことも、指板幅が広すぎなことも一旦無視してください。
数字を①、②、③とふりました。
個人的にはこの3つの要素をコントロールすることが音作りに重要になってくると感じています。
順番に解説します。

要素①「中身」

①と書いたピンク色の部分は、音の中身、内容を決める部分です。
この部分で音のキャラクターを決めます。
・エフェクターAのインプット・アウトプット
・エフェクターBのインプット・アウトプット
・エフェクターCのインプット

までです。場合によっては楽器のボリュームノブもここに入ります。

「インプット」と言ってるものは、ペダルによって"Input"、"Gain"、"Drive"、"Sustain"などという名前で表記されるツマミでコントロールできます。
例えばエフェクターAで上記のようなツマミを回すと、楽器→エフェクターAへの音の供給量を操作できるわけです。

「アウトプット」と呼んでるのは、ペダルによって"Output"、"Volume"などと表記されるツマミでコントロールできます。
例えばエフェクターAで上記のようなツマミを回すと、エフェクターA→エフェクターBへの音の供給量を操作できます。

さて、ここでこんな意見が聞こえてきます。
「じゃあエフェクターCのインプットだけあれば①はクリアしてるじゃん」
はい、半分正解です。

Cのインプットのキャラクター単体で満足してるならそれでOKだと思います。
ただ、曲中で音質を変えたり、1曲目と2曲目で全然違うキャラクターが欲しい!となることがほとんどです。そのためのAとBです。

ちなみにクリーンの時はCだけONにするとかよくやります。あとは逆にBとCをOFFにしてAだけON、とかね。

さらにこんな声も聞こえてきます。
「AのアウトプットとBのインプットってどっちもA→Bの音の供給量調整するってこと?役割同じなん?」
はい、半分正解です。

Aのアウトプット操作とBのインプット操作はほとんどやってることは同じです。
が、個人的には使い分けがあります。
「Bのインプット操作はBのクセや個性によって音質が変化しがち」
「Aのアウトプット操作はBのキャラクターを維持したまま歪み量だけ変わる」

歪みⅡで解説するつもりなのですが、インプット操作した際に、インプットのツマミが少ないときと多いときで音質まで変わってしまうペダルというのが存在します。

というか主観でいうと、ほぼすべてのペダルは、インプット操作をした際にフラットにインプット操作をしてくれるわけではなく、何らかの形で音のキャラクターを変化させてしまいます。

「うわーこの歪み好きなんだけど、Gain上げるとビミョー!」みたいなのはちょいちょいあります。そのためにペダルAで平均的に歪みだけを強化するようにしておきます。

あとはペダルBのインプット少なめの音を使うときとインプット多めの音を使うときで曲中使い分けなくちゃいけない、とかですかね。

要素②「立体感」

②の緑の部分は音の立体感、迫力を操作する部分です。
・エフェクターCのアウトプット
・アンプのインプット

がこれに該当します。

アンプのインプットはアンプによって"Input"、"Gain"、"Level"などと表記されます。エフェクターC→アンプへの音の供給量を操作します。

ただし、ジャズコーラス、通称「ジャズコ」など一部のアンプではこのアンプインプットの操作ができません。
したがってエフェクターCに位置する、②操作のペダルが必須レベルです。

そして注意点として、エフェクターCをOFFにすると、②に該当するのはエフェクターBのアウトプットになる点。常にアンプの直前のアウトプットのコントロールで②を判断します。BもCもOFFならAのアウトプットが②となります。

この②が小さすぎると音が平面的でぺらぺらになり浮き出てきません。しかし逆にこれが大きすぎると立体的すぎて音が聴き取りにくくなったり、演奏で扱いずらい、コントロールが難しい音になってしまいます。
ピノキオの鼻みたいなイメージ。やりすぎはよくないね。
でもナンバガコピーしたときはめっちゃ上げました。

アンプ直結、通称「アン直」では①が操作できず②だけ扱える運用です。キャラクターは楽器任せ、迫力だけで勝負の男気溢れるセッティングです。

ただこれ、楽器がマジでいい楽器かつアンプがマジでいいアンプじゃないと音のキャラクターがしょぼくなるし、みんな大好きジャガジャーンな歪みサウンドとはちょっと雰囲気違う感じになるので、僕はあんまり好きじゃなかったりします。弾くのも聴くのもね。
アベフトシのギターを生で聴けていれば違った感想になるのかなあ。

要素③「音量」

③はアンプのアウトプットのみ。ただの音量。ボリュームです。

ただし、次回解説する予定なのですが、バンド内で聞こえないからといって闇雲にボリュームを上げればよい、というわけでもなかったりします。
まあでもきちんと上げておくに越したことはないね。

余談ですが、「音ちっちゃいな」と思っても客席できくとそんなことなかった、みたいなことはよくあります。
アンプの前にいるとよくわからんのですよね。客の耳の位置とか、アンプの向きとか、色々関係するみたいです。
バンドの音量バランスを見るときは一度舞台から降りて客目線できいてみると良いのかもしれません。知らんけど。

次回予告

ということで歪み編Ⅰでした。
次回はイコライザー編Ⅰの予定です。
ⅠということはⅡも(略)
更新日は未定です。気が向いたら。
ではでは~

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