【音づくり解説②】イコライザー編Ⅰ

こんしるべ。
スペ丸ことフジツバメことえんどうです。

前回に引き続き音作り解説です。

今回はイコライザー編Ⅰ

ギター・ベースの人はもちろん、ボーカルやドラムの方にもちょっと参考になるかなという内容です。

暇人以外はブラウザバック。

イコライザー7段階

イコライザー"equalizer"というと、名前から直接的に考えて「音を均質化するのかな」という気がしてしまいますが、そっちの使い方はイコライザー編Ⅱで話そうかと思います。

今回は「周波数ごとに音量変えるマン」だと考えてください。
もっとわかりやすくいうと、「音を成分ごとに調整しようぜ」って話です。

さて、ではまずこちらをご覧ください。

その辺にあった紙に30秒で書いた
(たぶん9mmのバンドスコア)

これは僕の考える「音の成分7区分」です。

レコーディングエンジニアとかライブPAとかのプロフェッショナルだとこれが10や20くらい区分けして捉えていると思うのですが、僕は耳がバカなので均等割すると7つくらいになるかなーと思ったりしています。

皆さんも自分が腑に落ちる分割の仕方を見つけてみるのがベストだと思います。

が、そう言ってしまうと元も子もないので、今回は参考として僕の主観をつらつら書いていきますね。

(とはいっても「5.5」とか「6.2」とか言っちゃうこともあるのでバッチリ7段階ではないのですが…)
では帯域ごとに順番に僕の主観を解説していきます。

1.めっちゃ低域

一番低い帯域は耳で聞く、というより身体がブルブル震えるような感じの成分です。
CDやストリーミングの音源とか某Zから始まってXで終わるライブハウスだとあんまり感じ取れません。
K'sとか、プロのライブ行ったときに全身で感じる振動、勢い、迫力。
そんな感じの帯域です。
基本的に僕ら奏者側でコントロールすることはちょっと厳しくて、PAさんの腕前とかアンプの大きさとか会場のスピーカーの性能とかに任せきりになってしまいがちな成分だと思います。

2.低域

このあたりから楽器隊がコントロールする部分になります。
ベースとかドラムのバスドラとかの存在感を司っている感じ。
まだ音程要素は少ないですが、バンドサウンドを重厚にするために不可欠な成分です。
ベースアンプで"BASS"とか"LOW"とか書いてあるツマミをいじると操作できるかも。

ただし、この帯域で複数人が重なりすぎるとアンサンブルがぐちゃぐちゃになる気がしています。
せいぜいバスドラ+もう一人くらいのイメージ。

僕はベースを持った時は積極的に出して、ギターを持った時はあまり出さないようにしています。
が、バンドによってはベースはこの成分を出さないでギターが担うことも十分考えられます。ギターロックしたい人、ファズ踏みたいギタリストを抱えているバンドは一考の余地あり。

3.中低域

このあたりから音程の要素が入り始めます。
基本はこの帯域はベースが担うことになると思われます。
特にベースの音程を聴かせたい場合は重要になる部分です。
アジカンのベース弾くときはここをかなり重要視しています。

逆に、ベースがバキバキにピック弾きしてリズム作る側に回るとか、スラップしまくって飛び道具的なことしてる場合は出さない選択肢もありです。

ただギターが出すにしてはモコモコしてしまう気がするので難しいところですね。
強いて言えば4人組バンドでバッキングが出すのは選択肢としてアリな気もします。

ドラムでいうとフロアタムの音程聴かせるあたりの成分かな。

4.中域

ザ・音程のところです。
メロディを担うギターメロの部分とか、あとボーカルが聴かせたい帯域です。
基本的にメロディは音程ありきの概念なので、その時々でメロディを聴かせたい人が握りたい成分です。

ギタリストがギターソロでミッドブースターを踏むのはこのためなんだろうなーと思っています。

ドラムでいうとハイ・ロータムの音程がこのあたり?かな?

5.中高域

個人的にはこの帯域周辺に命を懸けて音作りをしています。(あくまで個人の感想です。)

いかにメロディの4の帯域を邪魔せず、5の帯域を充足できるか音楽の満足度が違ってくると思っています。(あくまで個人の感想です。)

たぶん、普通にJ-POPやJ-ROCKを作るとこの帯域がお留守になりがちなので、大抵は打ち込みやシンセサイザー、オーケストラやストリングスでこの帯域を埋めようと躍起になっているのだろうと推測しています。(あくまで個人の感想です。)

このためにアレンジにオーケストラとかストリングスとか使ったくせに「吹奏楽に理解がある」「クラシックがわかっている」という面をする人々が一番苦手です。
(
あくまで個人の感想です。)

言葉では説明するのが難しいので音源を一つ。

はい、くるりです。
個人的な意見ですが、殊この帯域の扱いにおいてくるりを超えるアーティストはいないと思っています。(あくまで個人の感想です。)

この曲のギター。
ボーカルよりは高音域な感じできちんと浮いて聞こえてくるけど、ボーカルを邪魔するわけでもなく、キンキンするわけでもなく、「ジュワ」っとした旨味のある音。
最高っすね。マジ。

6.高域

高域です。
ジャキジャキしたギターとか、時にブリブリのベースとかが担うことが多いです。
出しすぎると耳に痛くなりますが、バンドで埋もれないためにはこの帯域を勇気を持って出すことが大事な気がする。

エルレのリードギター弾くときのギターメロディやギターソロはこの帯域をブーストして目立たせてました。
あと実はミッシェルのベース弾くときはかなりこの帯域ブリっと出しました。基本楽器隊がドラム、ベース、ギター一人ずつしかいないのと、ギタリストとボーカルには3~5.5くらいの帯域で暴れさせたいので、ベースが前出んとなーという気持ちでしたね。

7.めっちゃ高域

最後はめっちゃ高域。
ここは音程はほぼなく、シンバルの響きとか、ボーカルの子音とかが担うところな感じです。
マーシャルの"presence"でもいじれますが、結局シンバルにかき消されて何が何だかわかんなくなります。ギタリスト・ベーシストとしてはちょっと干渉しずらい帯域です。

補足

ちなみにちょっと補足。
帯域の1とか7とかはギタリスト・ベーシストがコントロールすることが難しい、と申し上げましたが、ちょっとだけ干渉する術があります。
というかむしろ干渉すればなんとなく「いい音感」が出せる気がする。

それは、前回申し上げた「音作り要素①②③」のうち、②を出すこと。

②はこの1とか7の帯域をコントロールすることのできる数少ない手法だと思っています。
ここを出すことで立体感のある音になる、というわけですね。知らんけど。

ただし、②のコントロールは「1の帯域を出して7は控えめに~」みたいな微細な操作はできなくて、個人的には1~7までをまんべんなく、全体を総括して扱うもんだと思っています。
逆に、①は2~6の帯域を微細にコントロールする部分って感じです。

意識すること

さて、上記のような知識があったとて、
何をどうすりゃええの?」
という声も聞こえてきそうです。

ここからは次回も含めて音作りのために意識するポイントについて少しずつ述べていきます。
というか第1回からここまでは下ごしらえみたいなもので、ここからが音作り解説、みたいな感じのつもりです。

〇音楽を聴くとき

音楽を聴くときに意識するのは、さっきくるりの例も挙げましたが、「今聞いている音楽において、どのパートがどの帯域を担っていて、どういう効果を生み出しているか」を聴くことです。

「この曲はベースが2.3くらいの帯域にいるなー」とか、

「ボーカルが4.7くらいのところにいて高めなんだなー、代わりに~のパートが4の帯域をになっているなー」とか。

こういうを聴けると音楽を味わうのがもっとおもろくなるんじゃないかなと思います。
多分。知らんけど。

そしてできることなら「このバンドはこの帯域が~~~な感じが特徴なんだな」と自分で解説できるようになると素晴らしいですね。

僕がバンドサウンドについて「バキバキ」「ビシビシ」「ジャリジャリ」「ビチビチ」「ムキムキ」「ジュワジュワ」などと擬態語を言っているときは、大抵なにかしらの形でイコライザ―的な特徴の違いをボキャ貧なりに区別して伝えようとしているときです。そっとしておいてください。

ちなみにこういう聴き方をしているとナンバーガールがいかにヤバいかを実感します。バリヤバい。なんであれがかっこいい音楽として成立しているのか…

〇演奏するとき

演奏において上述の話がかかわるのが、やっぱり音作りの時ですね。

まず、アンプのツマミや持っているエフェクターのツマミがどの帯域に作用するものなのかを、自分なりに言及できるようになることです。

「このアンプの"BASS"は1.8くらいを持ち上げるんだな」とか、

「このエフェクターの"Treble"ツマミは6.1ぐらいのところに影響するなー」とかそんな感じ。

別に正しく言い当てたり、他人と同じ意見にならなくてもOK。
そもそも僕と同じの1~7の数字でなくたっていいわけです。

「"たぬきさん帯域"が持ち上がった!」

「このエフェクターは"ジョン万次郎帯域"がうるさくなりがちだ!」

とかそんな感じ。ごめんなさいふざけました。

私は、バン練のときは自分が狙った帯域を出せているか他の人の出す帯域との兼ね合いはどうかスカスカの帯域はないか逆に音が渋滞してしまっていることはないか聴かせたい音が聴かせられているか、ということを意識して曲の合わせをしています。音楽やるからには信じるべきは耳だね。

正直な話、演奏できるようにするのは個人でできる、というか個人でやらなきゃいけない範囲です。(自戒の念も込めつつ。)

合わせでの複数人の練習は全体の音量・音質のバランスをみたり、曲のテンポや構成を確認したり、タイミングの共通認識を作る場です。

そして主観ですが音楽の本質はこっちです。(あくまで個人の感想ですが。)

私は、音楽はまず全体像、完成図があって、そこから個人個人の演奏技術や音作り等必要な要素が導き出されるものだと考えています。(あくまで個人の感想です。)

練習の積み重ねや、みんなの努力の結晶、複数個人の思想の集合体ではなく、最初に全体があって、その要素として個が導きだされます。音楽は演繹ではありません。(あくまで個人の感想です。)

目標として志向すべきは全体像、完成図の方であって、「みんなのために頑張った自分」「血の滲む努力をした個人」「血と汗と涙の結晶」は全体に対して優先しません。(あくまで個人の感想です。)

中学や高校の時、個人練をするという名目で、ありとある教室を占拠し、誰にどう合わせたくて、どんな完成形を目指しているのかもわからないへっぽこな音で、メトロノームの無機質な音だけを頼りに、音階練習やら基礎練習を永遠にしていた、部活に情熱と青春と時間を捧げていた彼ら彼女らは、今頃何をして、何を見て、何を聞いて、何を感じて生きているのでしょうね。
(あくまで個人の感想です。)

脱線しました。というか思想が入りました。

まあちょっと「帯域」を意識するだけで、聴くのも演奏するのも面白くなるんじゃない?というオススメでした。参考までに。

次回予告

ということでイコライザー編Ⅰでした。
次回は歪みⅡの予定です。
更新日は未定です。
おつしるべ~~~

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