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『父に一緒に死のうと言われた時の話』

中学生

私は中学生の時いじめられていた。

学校も不登校気味になっていた。

家でも壁をずっと眺め屍のようになっていた。

そんな私は両親に相談する事もなかった。

もはや生きる希望がなさすぎて、悩みもなかった。

いつ死んでもいいと思っていた。

父の手紙

父は無口な人で私とあまり喋る事はない。

そんな父は私になにかあると枕元に手紙を置いていく。

そこには、いつも父の思いと心配が綴られている。

私もそうだが、人に口で伝える事が難しい。

母に伝える時は文章で気持ちを伝えている。

そういう所は父と似ているのかもしれない。

珍しい父の姿

ある日父が、部屋に来た事がある。

それだけで私はびっくりした。

その日は忘れられない。

父が初めて私の前で泣いた日。

父は涙脆く映画やドラマで泣くことは多い。

そうではなく、私の前で自分の事を話、泣いた事に驚いた。

まず、父が自分の事を話す事も珍しい。

父の苦悩

話した内容は父は片親で父親がいなかったので、父親というものがわからないというものだった。

私がいじめに悩み、屍のように生きる姿にどうしてあげたらいいのか悩んでたらしい。

それを母に相談できずに、私に相談してきてしまう所が父らしい。

そこで私はまず、面白いなと思った。

極端すぎる父の考え

私も0か100で考えてしまうが、父は普段相談をしないのですごく突拍子で困る。

部屋にきた父の結論は、苦しく死にたいのなら父が私を殺してその後自分も死ぬというものだった。

どうしたらそんな考えになるのかとびっくりした。

父なりに色々考えたのだろう。

私は嬉しかったが、同時にすごく悲しくなった。

自分が情けなかった。

いつも強い父をこんなにも弱い姿にさせてしまったこと。

父が私を殺そうとするまでに悩み苦しめてしまったこと。

あの日から少し私は父の事がよくわからなくなった。

でも好きな気持ちは変わらない。

私を大切にしてくれている事はとてもよくわかるから。

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