和美

全般性不安障害、双極性障害、その他色々抱えて日々は綱渡り。INFJ型。

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狐の嫁入り《短編小説》

「あれ、狐の嫁入りだよ」 おばあちゃんはそう言って、慌てて縁側の釣竿に干してあった布団を取り込んだ。 「狐の嫁入り?」私はその言葉に、とても惹かれた。 狐がこの天気雨の中、お嫁入りする姿を想像して、ドキドキしたのだ。 「おばあちゃん、今外に狐のお嫁さんが歩いてるの?」 おばあちゃんは笑いながら「諺なんだよ、天気雨の」そう言って、布団を畳に敷き、少し雨に濡れた部分をタオルで叩きながら拭いていた。 私はそんなおばあちゃんを見ながら「じゃあ、狐のお嫁さんは居ないの?」そう聞く

    • 姉妹《短編小説》

      シャボン玉とんだ 屋根までとんだ 屋根までとんで 壊れて消えた 風 風吹くな シャボン玉飛ばそう 私の耳に入る澄んだ声はまだ幼さが残り、時々私の目の前を 透明な丸い玉が飛んできた。 私は不思議な物に好奇心が抑えられずに、思わず口を開けて… パクっ。 「こら!玲!ダメ!お口に入れちゃダメ!」 まだふっくら柔らかい手のひらが、私の口許を触る。 私は大人しくされるがままにしている。 「紫織。どしたの?」ママの声に、紫織は今の事を話した。 ママは「あらあら。でも紫織、口許

      • 片翼《詩》

        見えた君の背中には 血に染まり汚れた片翼 千切られた片翼の痕が痛々しい… 私のこの手は無力だから 君に施せる術が何も無い 私の言葉には魂がないから 君の胸に響く音を届けられない 雑音ばかりの街中でたった独り立つ君 孤独に疲れないかい? 悲しみに潰されないかい? どうやって過去を越えて来たんだ? 君が教えてくれた苦悩 今も私の胸に刻まれてる 君は優しい… 片翼の…

        • leave a will《エッセイ》

          私が最期に手にしたいのは何だろう。 好きなんだから、こっち振り向いてと髪を振り乱し、なり振り構わず恥を晒す様な女には絶対になりたくない。 愛が手に入らないのは相手のせいじゃない。 自分自身の問題。 そこに気付けない人は、一生成長しないんだろうな、と思う。 私は自分自身を深く知りたいタイプ。 何で私はこんな人間なんだろう、どうしてここが理解出来ないんだろう…そう疑問が湧くと調べずにいられない。 時々余計な事まで掘り下げて、気持ちが落ちてしまうけれど、分からないよりも分か

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        狐の嫁入り《短編小説》

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        • 短編小説・小説
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          33本

        記事

          愛という記憶《短編小説》

          信号待ちをしている時、結構周りの人を観察したり、自分の中に入っていたり。 今日もそんな感じで、青に変わるのを待っていた。 ふと視界の端に引っ掛かる人が居た。 私の向かい側に立っている20代半ば位の男性。 一度気になりだしたら、何故かその彼から目が離せなくなった。 陽射しはどんどん高くなり、気温表は33度を表示している。 日傘をさしていても、こめかみを伝う汗。 信号が青に変わる。 私は一歩足を踏み出したが、結局渡らなかった。 彼が周りをキョロキョロ見ながら、私に近付いて

          愛という記憶《短編小説》

          木片《詩》

          望まれた命でも 思った通りに動けない人形なら 心優しい人以外 きっとただの木片として扱う 作り出した事が間違いだと あったはずの心という 一番肝心なモノすら奪われ ただの操り人形と化する 辛み苦しみ打ち明ける事すら 唇が固く閉ざされ 何も話せなくなり 作り笑いと愛想笑いだけが得意の 良い時だけの自慢の人形 醜い時にはそのままを吐かれ 私はどんどん自分が消えていく 半透明の私は 意地の悪い人には見える 今日も私の身体と心は半分死んだ 人形のまま

          木片《詩》

          セピア《短編小説》

          「今日は奈留がずっと食べたいって言ってた、スイーツのお店行くよ」 朝起きて、まだぼんやりしてる頭。 低血圧だから、尚更直ぐには起き上がれない。 しばらくベッドでウトウトしていると、瑠偉が来て覗き込んできた。 「無理そう?無理なら、俺が奈留の為に作るよ」 いつもの優しい瞳に癒され、やっぱり辛い身体の事を伝えた。 瑠偉は本当に嫌な顔も態度も取らない。 私の体調を優先してくれる。 けどきっと、急な誘いは珍しいから、瑠偉なりに何か考えがあったのかな?と少し後悔した。 瑠偉は「

          セピア《短編小説》

          マウント《詩》

          マウント《詩》

          ゲルニカと忘れられない味《エッセイ》

          まただ……こんな時間に、お腹が空いた。 当たり前だ。 夕飯をマトモに食べれていないから。 相変わらず続く、3時間置きの腹痛。 激痛。吐き気。 痛み止めは効かない。 けれども、気休めに飲んではいる。 夕飯と言っても、手で剥けるオレンジ2個とチョコパイ。 終わり。 それって、おやつ…。 そして、夜の安定剤と痛み止めを飲んで眠ったが、激痛で目が覚め、そして今空腹。 我慢の時…。 ふと過ぎったのは、昔よく行っていたスーパーの中にある、喫茶店だ。 軽食もあり、子供達も親に連れ

          ゲルニカと忘れられない味《エッセイ》

          分からない事を笑えますか《エッセイ》

          勘違いや、分からないで戸惑っている人。 初めての事で手違いがあったんじゃないかと、焦り不安になっている人を見たら、笑えますか? それとも、その方が何に困り不安がっているか、手を差し伸べますか? 誰だって何かを始める時は初心者です。 0からのスタートです。 説明を先にされていたとしても、再度の説明が必要な方は世の中には居ます。 実際私がそうです。 興味関心ないこと、難しい事は何度も聞きます。 もちろんメモします。 けれど、そのメモすら役に立たない時もあるんです。 コイツ

          分からない事を笑えますか《エッセイ》

          お楽しみは明日《詩》

          給料日 初めての自分の口座 胸高鳴らせ 暗証番号押す 一ヶ月分の自分の努力 …………………… 何度見ても振り込まれてない 残高は0 何で… どうして 握り締める給料明細 ただでさえ安い賃金で働いてる 舐めんなよ…… 舐めんなよ…? 二度目はねぇ 明日が楽しみだな…

          お楽しみは明日《詩》

          無能《詩》

          何も無い所から 何かを生み出せる その才能 努力して手に入る物ではなく 持って生まれたもの 掌に落ちた涙 綺麗事 私も何も知らない だから理解されない 愛し方すら分からない だから愛されない 明日が今日終わっても 私には何も感じない 無感情 凍りついた涙は砕け 手首に薄い線を引く 何も感じない 痛みも何も だから私に明日は来ない 『サヨナラ』

          無能《詩》

          再生

          菅田将暉 ロングホープフィリア

          前だけ見て歩けなんて綺麗事だって 君を見て気付いたよ 時に躓き 時に下向き 遠回りして 不器用ながら 君の思いだけは曲げないで 悔しい日も必ずあるけど 笑える日も必ずあるから そうやって 回り道しながらでも 確実に進んでる背中 逞しいよ

          菅田将暉 ロングホープフィリア

          再生

          独り《詩》

          私は愛されるべき人間じゃない 私は誰かを愛する資格もない 暗い幼少期 怯えながら親の顔色窺って イジメの事すら言えず 気付いてくれた兄 兄だけが味方だった こんな出来損ないの妹 恥ずかしくなかったかな 私はどこでも馴染めない 普通、協調性 分からない 嫌なものは嫌 嫌いな人は嫌い 白黒つけなきゃ気持ち悪い それが私の悪い所 それが私の欠点 だから生きづらいんだよ だから精神疾患になるんだよ 発達障害のグレーでも黒に近いんでしょ? 見下され貶される バカにされ

          独り《詩》

          マイペースに…《エッセイ》

          昨夜から今朝方に掛けて、少し色々あり周りにご迷惑をお掛けしてしまいました。 まだ体調もメンタルもボロボロですが、マイペースにnoteを続けて行きたいな…と思います。 短編小説は、本当にいつまた書けるか分からないですが、もしまた書いていた時は、お時間があれば立ち寄って下さったら嬉しいです。 そして名前を『Kazu』から『和』にしました。 本名の和美から一字だけ取りました。 私、自分の名前が嫌いなんです。 『美』と言う漢字が、自分には相応しくないから。 いつも漢字を聞かれる

          マイペースに…《エッセイ》

          散りゆく運命《詩》

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