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ご免侍 六章 馬に蹴られて(二十三話/二十五話)

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あらすじ 
 ご免侍の一馬かずまは、琴音ことねを助ける。大烏おおがらす城に連れてゆく約束をした。一馬は、琴音ことね月華げっかの事が気になる。一馬達は西国の旅先で山賊の権三郎ごんさぶろうと出会う。彼を捕らえた一馬は……


二十三

 雄呂血丸おろちまるが、同田貫どうだぬきを襲撃者に振り下ろす。

 ガンッと音がすると、、同田貫どうだぬきが折れる。

「なんと」
「そんなやわい刀、折れて当然」

 鉄貫てっかんで、同田貫どうだぬきを受けるとそのままねじる。日本刀は刃先が薄い。金属同士がぶつかり合えば刃がこぼれる。しかし鉄貫てっかんの場合は、硬度が違うのか食い込んだ刃をねじって折ってしまう。

「えぃっ」

 一馬がすきをついて鬼おろしで腕を切りつけるが、刃先が触れるまえに襲撃者が体を横にして体捌たいさばきでかわした。

(これは刀同士の戦いとは違う)

 重い刀を使わないだけで、こんな早く動けるのかと改めて感じながらも攻められない。こんな時こそせんなのだが、目で見て反応するまえに相手の攻撃が終わってしまう。剣筋がないため読み切れない。

 下手をすると一馬の方がせんで、攻撃を受けてしまう。

(刀とは違う、足も狙えない)

 襲撃者は足技も使うため、一馬の太ももを何度か蹴られた。そのためか、しびれがあり動きが悪い。

 バンッと破裂音がする。

 ふいに火縄の臭いがして鉄砲だとわかる。巨大な発射音がすると白い煙が室内に巻き上がる。権三郎ごんさぶろうが縄をとかれて火縄銃を撃ったが、銃身に鉄貫てっかんが食い込んでいる。

「なんだこれは」

 権三郎ごんさぶろうが、腰を抜かしている。襲撃者は火縄の臭いを感じると鉄砲めがけて鉄貫てっかんを投げたのだろう。

「うるさいのぉ……」

 白い煙が晴れると、藤原一龍斎ふじわらいちりゅうさいが立っていた。襲撃者が、ぐるりとふりむいて名乗りを上げる。

散華衆さんげしゅう四鬼しき金鬼こがねおに

#ご免侍
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