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NIPTでターナー症候群陽性(高リスク)になり羊水検査を受けた話

稽留流産、そして不育症

結婚してすぐは、子どもが欲しいと強く願っていたと記憶しています。

でも、授からずに、そのまま月日が過ぎていき、ああ私たちは不妊なんだと気づくまで、そう時間は掛かりませんでした。

そんな中で、1度目の妊娠。嬉しかった。でも、心拍確認から数週間後、突然赤ちゃんの心臓が止まってしまって。稽留流産でした。流産手術は、心と身体に大きな負担を残しました。

そして、2年後にまた、妊娠。不安な気持ちで過ごしていましたが、12週を前にまた赤ちゃんの心臓は止まり、2度目の稽留流産手術を受けました。

不育症でした。不妊治療を受ける、という選択肢もありました。でも、受けませんでした。

もう、私自身が、強く子どもを望めなくなっていたからです。「もう妊娠したくない…」と泣きながら夫に言った日のことを、よく覚えています。

考えてみれば、子どもがいない生活の中で、子どもがいたらなぁと強く願う瞬間が、ほとんどないと思いました。

お互いにフルタイムの仕事を頑張ってお金を貯め、美味しいものを食べ、旅行に行く、そんな夫婦二人の生活は、十分に幸せ。

夫婦2人で支え合って暮らし、結婚して7年が過ぎました。

37歳で妊娠が発覚

そんな頃に、妊娠が発覚したのです。私は37才になっていました。

妊娠は、嬉しい気持ちよりも、驚きと、また流産になるんだ…という不安の方が大きかったです。

なので、これまでに稽留流産をした週数を過ぎた妊婦健診で、赤ちゃんが手足を元気に動かしている姿を見たときは、涙が止まりませんでした。

自分は子どもを産まない人生を歩むと思ってきました。

それが突然、もしかして母になる人生もあるのかもしれないと感じた。ふと目をやった産婦人科の中庭の緑の木々が、いつもよりキラキラと輝いていました。

もちろん、不安がなくなった訳ではありませんでした。突然の赤ちゃんの心拍停止を何度も経験すると、いつになったら安心して喜んでいいのか、もはやよく分からなくて。37歳で高齢の初産であることも、心配でした。

助産師さんや保健師さんから「嬉しい気持ちはありませんか?」とたびたび聞かれました。正直、不安のほうが大きくて、嬉しい気持ちはよく分かりませんでした。

NIPT(新型出生前診断)を受ける

不育症かつ高齢出産(37歳)なので、NIPT、胎児染色体検査を受けることにしました。

「どんな障害や病気があっても産む」という人は、そもそもNIPTを受けないのではと思います。

私たちがNIPTを受けたのは、この子が最初の子どもですが、もし障害や病気が分かったら、中絶を選ぶと基本的には決めていたからです。

中絶を選んだ後は、次の妊娠はせず、夫婦2人の人生を歩もう、と話していました。

NIPTの検査項目について

NIPT認定施設の検査項目は、次の3種類に限定されています。私たちは、事前に分かることは全て知りたいと、非認定施設での検査を選びました。

・21トリソミー(ダウン症候群)
・18トリソミー(エドワーズ症候群)
・13トリソミー(パトウ症候群)

NIPT非認定施設での検査項目は、次の組み合わせを選びました。

・1番~22番トリソミー検査
・性染色体検査
・微小欠失検査
 (1p36欠失症候群、4p欠失症候群、5p欠失症候群、プラダー・ウィリ症候群、アンジェルマン症候群、22q11.2欠失症候群)
・性別判定

NIPT認可施設だと平日に仕事を休んで病院に行かなければなりませんが、非認定施設なら土日に検査できることもメリットでした。

仮に陽性(高リスク)が確定した場合に備えて、遺伝カウンセラーとの電話相談ができ、かつ羊水検査費用も負担してもらえるクリニックを選びました。

NIPTの費用について

費用はなんと、25万円でした。高い…。
アメリカなら保険適用で3万円くらい、イギリスは日本と同じように保険適用外で全額自費でも約5~10万円。日本のNIPTは高すぎますね。

NIPTはもう保険適用にして、希望者全員に安く提供してほしいと思いました。

生まれる前の血液検査で、遺伝子疾患を持った子どもであることが医学的に分かるのに、NIPT費用がここまで高額だと、子育てする本人が事実を知りづらい気がします。妊婦の知る権利は一体どこへ行ってしまったんでしょうか。

NIPTに対する様々な考えについて

NIPTについて調べていると、様々な考えがネット上で確認できました。

まず、障害の有無によって堕胎してはいけないとNIPTを禁止している国があります。他にも、アメリカの一部では、宗教的な理由から中絶を認めていない病院。イスラムだと受精から4カ月以内の中絶のみ認められています。その国の文化や歴史背景が色濃く影響してくるんでしょうね。

では日本はどうかと言うと。
母体保護法に定められた適応条件「妊娠の継続または分娩が身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」が、NIPTの結果を理由にした中絶にも、広く適用されているようです。

日本で羊水検査が始まったのが1968年、もう50年以上前です。今や産婦人科の妊婦健診でNIPTを含む出生前診断の案内チラシを受け取るので、NIPTは広く一般に普及しているのでしょうね。

NIPTはスクリーニング検査なので、陽性(高リスク)の場合、羊水検査などの確定検査を勧められます。その確定検査後に陽性となった場合の中絶率は、およそ8〜9割だそうです。

「安易な中絶が増える」と批判する人もいますが、安易に中絶する親なんていないと思います。それぞれに、悩みぬいて考えた決断です。

「命の選別だ」と批判する人もいますが、子どもを産むかどうかの判断は、成年であれば100%親の選択だと思います。

その子を育てない周りが「産んであげてほしい」「堕ろしたほうがいい」なんて言わないでほしいのです。それが例え遺伝子疾患を持つ当事者であっても。その言葉は過干渉だと感じます。

障害や病気で人を差別するべきではないという意見には、全面的に賛成です。でも例えばNIPTでダウン症児を中絶する親は、決してダウン症児を差別している人じゃないと思います。

「NIPTが障害児を排除する動きにつながる」という批判は、私にはよく分かりませんでした。

障害者福祉と出生前診断が別々の話だと思う理由は、福祉の国、スウェーデンです。障害者福祉は世界でトップクラスに充実していて、かつ出生前診断は当たり前に普及しています。

スウェーデンでは、例え障害を持っていても、持っていない人と同じように生活ができる環境作りを、行政は最優先にすることが法律で決まっていて、支援も多岐に渡ります。税金も高いですけどね…

スウェーデンでは超音波検査と母体血清マーカー検査(クアトロ検査)が35歳以上無料で、そこで異常があった場合にNIPTを受けられます。(約7万〜9万)中絶費用は無料。

スウェーデンも国家ですから、医療費抑制の観点はあると思います。医療費助成を国が多くしているほど、生まれてきた子どもには手厚い保証を、医療ケアが必要になる遺伝子疾患の胎児は生まれる前に中絶を認める。前述の、その国の文化や歴史背景によって、在り方が作られてきたんでしょうね。

日本は今、新生児医療の発展もあり、医療ケア児がどんどん増えています。にも関わらず、受入施設は少なく、家族による絶え間ない介護が行われています。ハンディを持っていない人と同じように生活ができる環境が整っているかと問われたら、どうでしょうか。

私は障害や病気を持つ子どもの親の「この子より先に死ねない」という言葉が、日本の福祉の弱さをよく表していると思います。

子どもが医療ケア児や障害を持っていたら、家族がいろいろなものを犠牲にしてでも面倒を見るのが普通?それって本当に「普通」なんでしょうか。

それは結局、障害を持っていても、持っていない人と同じように生活ができる環境作りやサポートが、国の福祉として十分に整っていないのでは。

この現状は紛れもなく、出生前診断を経て、親がハンディのある子どもを産むか産まないかの判断軸のひとつになっていると思います。

NIPTでターナー症候群 陽性(高リスク)と判定される

妊娠12週、NIPTの結果がメールで届きました。

パスワードを入力して、診断結果のPDFを開くと、ひとつだけ「高リスク」と書かれた項目が。

それが「性染色体  X0」でした。NIPT陽性のショックよりも、X0って何だっけ…と、ネット検索を開始しました。

NIPTを受ける前に、検査項目にはある程度目を通してはいましたが、何しろ30項目もあるので、ひとつひとつの疾患の詳細まで把握していませんでした。

ターナー症候群について

ターナー症候群について、特に分かりやすいと思ったサイトが3つありますのでご紹介します。

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●ターナー症候群とは
https://www.hiro-clinic.or.jp/nipt/turner-syndrome/

NIPT非認定施設、ヒロクリニックのサイトです。ターナー症候群の概要を、分かりやすい文章でカンタンに理解できるので、特に、第三者(祖父母など)に説明を求められたときに、シェアするのに便利かな、と思います。

●胎児がターナー症候群と診断された方(PDF)
https://www.prenatal-diagnosis.org/%E5%8F%82%E8%80%83-%E8%A7%A3%E8%AA%AC/

NIPT認定施設、兵庫医科大学病院のサイトです。
ターナー症候群の娘さんを育てておられる家族会の方から、紹介していただきました。

主な合併症やその頻度、治療法(成長ホルモンGH、女性ホルモン)についても書かれています。産婦人科の先生と話すときに、手元に持っておくと便利だと思いました。もし医師がターナー症候群について専門的な知識を持っていない場合の、補完資料にもなると思います。

●米国ターナー症候群協会
https://www.turnersyndrome.org/about-turnersyndrome

米国ターナー症候群協会のサイト(英語)です。特に注目して読んだのは、医療情報です。定期検査が必要な頻度や、何歳から医療機関を受診すると良いなど、実際にターナー症候群の子どもを育てるための情報が充実していると思いました。

日本のサイトだと「人によります」とリスクを曖昧にしていることも多いのですが、米国ターナー症候群協会のサイトは、知的障害、発達障害などの脳機能についても、リスクが詳しく解説されています。子どもを産み育てるための、妊婦の知る権利を尊重している印象を受けました。

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その他

●ターナー症候群のお子さんを育てられた親御さん達からの体験談
http://lilac-kai.work/w/?page_id=1185

北海道ターナー症候群家族会ライラックの会のサイトです。
乳児期や幼児期などの成長過程別に「母乳を吸う力が弱い」「幼稚園などでの団体行動が苦手」など、親から寄せられたコメントを一覧で見ることができます。子どもの成長過程に沿って、より子育てのイメージがわきやすいと思いました。

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NIPT遺伝カウンセラーの電話相談を受ける


NIPTで陽性(高リスク)と判定されてすぐに、遺伝カウンセリングを予約しました。

事前に遺伝カウンセリングを行う施設もあるようですが、私としては、検査できる遺伝子疾患の数はとても多く、今後も増えて行くと思うので、どの疾患で陽性(高リスク)なのか分かった後に受けるほうが良いと思いました。

まず、NIPTでターナー陽性になった場合の陽性的中率は、13,18,21トリソミーの3種類より、はるかに低いことを事前に調べていました。ただ、いろいろな論文を読んでも、陽性的中率は70〜9%までバラツキがあり、よく分かりません。

遺伝カウンセラーに尋ねると「ターナー症候群の陽性的中率などの実績統計は行っていない」とのこと。

私は、例えn数が少なくても、NIPTターナー症候群の陽性者には、陽性的中率の実績を公開していただきたいと思いました。それにより陽性的中率が13,18,21トリソミーと同様だと勘違いして、羊水検査を受けずに偽陽性のまま中絶に至る人を防げるのではないでしょうか。

他には、検査結果の「X0」は、モザイクではなく全般性ターナーを示しているのか尋ねました。「NIPTではそこまで分からない、羊水検査でなら基本的には分かる」とのことでした。

モザイクとは、異常な染色体を持つ細胞と正常な細胞が混在する状態のことです。そのため染色体が完全に欠けているモノソミーよりも症状が軽いと言われています。

なお、胎盤モザイクは、胎児の染色体は正常なので、仮にNIPTで陽性と判定されたとしても、羊水検査などを行うと陰性判定となる場合があります。(偽陽性)

https://www.illumina.com

正直、遺伝カウンセラーとの電話面談は、ほぼ事前に調べていたことの確認という感じで、新たに得られた情報はありませんでした。

そして次は、羊水検査に進むことにしました。
NIPTの結果が出てから羊水検査の結果が分かるまで6週間ありました。羊水検査の結果が出てからは、短い期間で中絶するかどうか決めなければなりません。この時間を使って夫婦で悩み、話し合うことになりました。

ターナー症候群の中絶率について

世界中の研究によると、ターナー症候群が分かると平均76%が中絶されています。(https://www.nature.com/articles/gim0b013e31822e57a7

スウェーデンの出生前診断の結果を見ると、ターナー症候群の中絶率は8割を超えていて、それはダウン症、21トリソミーよりも高い確率です。

スウェーデンの出生前診断と障害児教育

一方で日本の場合、ターナー症候群と中絶が結びつかないと考えておられる医療関係者が多い印象を受けました。恐らく、治療を行えば生命を脅かすような重篤な症状があるわけではないためと思われます。

NIPT受付センターの方の対応で「ターナー症候群の症状は軽く、ダウン症もさほど重い遺伝子疾患ではない」とのコメントがあり、正しい説明ではないのでは…と思いました。

産婦人科の先生からは「え?ターナー症候群で羊水検査を受けるの?」と言われました。私のほうが「え?この先生はターナー症候群について詳しくないのかな」と不安になり、それ以降は別の先生を受診しました。

ターナー症候群の家族会に問い合わせ

ターナー症候群は症状の個人差が大きい遺伝子疾患だと思います。モノソミーか、モザイクか、モザイクでもその割合で合併症の種類、重度も変わってくるようです。

実は私が一番知りたかったのはそこで、ターナー症候群の家族会(http://www.club-turner.jp/)に、モノソミーの方を紹介して欲しいと問い合わせをさせていただきました。

ところが、家族会の方によると「産まれてから検査をしてターナー症候群の診断を受けた人ばかりで、欠失構造まで把握していない」とのこと。紹介は叶いませんでした。

その方はターナー症候群の娘さんを育てておられ、患者会の方の印象について、以下の通りコメントくださいました。

「言えることとして、障害程度が大きい人はあまりいないという印象です。発達、発育には紆余曲折があるのは事実で、病院にも月1程度で通う方が多いです。ただ、就労に関しては多くの方が一般就労されています。ただし、それもすべてはなく、就労支援を利用されている方もいらっしゃいます。 」

ターナー症候群の情報があまりないため、教えていただけたことに感謝の気持ちでした。それに、もし無事に娘を出産した場合、同じターナー症候群の家族との交流の機会はとてもありがたいと思いました。

他には、合併症の症状とその割合は、遺伝性疾患の解説サイトなども参考にしました。ただやはり、おなかの子がどの程度の合併症となるのか、明確には分からないものですね。

産むかどうか

私たち夫婦は、羊水検査の結果によって、以下の通り決断を分類しました。とは言うものの、本当にこの選択で良いのだろうかと、毎日悩みます。

●偽陽性の場合‥産む、健常児
●全般性ターナーの場合‥中絶、人工死産
●モザイクターナーの場合‥産む、ターナー児

これは完全に私の独断ですが、偽陽性の確率は30%、全般性ターナー30%、モザイクターナー40%と仮定しました。

推測ですが、全般性ターナーで、重度であればあるほど、産まれてこれる確率は低く、99%が流産となり1%の確率で産まれてくるターナー出生児はモザイクである可能性のほうが高いのではと思いました。

成長ホルモン注射について

モザイクターナー症候群の子どもを産むことになった場合の調べものを開始しました。具体的には、成長ホルモン治療、療育、ベビーシッターについてです。

●成長ホルモン注射

小児期には成長ホルモン、思春期から更年期までは女性ホルモンの投与が必要になるので、まず成長ホルモンから調べました。

成長ホルモンって、かなり高額な薬なんですね。費用は年間約100~700万円と出てきて驚きました。

ただ、ターナー症候群の場合「小児慢性特定疾患」という医療費助成制度があります。(https://www.shouman.jp/assist/hormone/)所得によって月々の負担額は違いますが、我が家だと月1.5万円、年間18万円くらいですかね。

医療ケア児を育てておられる、さゆちゃんねるさんのYou Tube。ペンタイプではないですが、成長ホルモン注射をどんな風に打つのか、動画で詳しく説明してくださっていて、分かりやすかったです。

最近では、成長ホルモン注射の頻度を従来の1日1回から週1回に減らせる薬も出ましたね。

●療育、ベビーシッター
こちらは自治体によって異なるので、あまり参考にならないかもしれず、省きます。

羊水検査を受ける

15週4日目に、羊水検査を受けました。

羊水検査の痛みがどのくらいなのか、気になる方も多いと思います。羊水検査を受けた経験がある妊婦さんを対象にしたアンケートがこちらです。

【体験談】羊水検査ってどんな感じ?痛みはある?いつまで続く?

私の場合、すごく痛かったです。

そもそも私は、体質的に痛みを感じやすく、注射も苦手なんですよね。採血は終わってから5分は横になって休まないと、ふらついて歩けないです。何かの治療で点滴をした際には、注射針が刺さった自分の手をうっかり見てしまい、吐き気で倒れました。

そんな私なので、羊水検査も夫に立ち会ってもらおうとしたら「旦那さんは待合室でお待ち下さい」と言われ。えっ、一緒にいたらダメですか?と聞くと

「奥さんの痛みを想像して、失神される場合があるので…」と。‥私じゃあるまいし。でも仕方がないので、夫は診察室からいなくなり一人ぼっちに。

医師2人に看護師2人、4人掛かりでした。私は、うっかり針を見ると困るので、目をふさいでいました。

「消毒しますね」と言われ、腰まで垂れてくるほどの液体がおなか周りに塗られました。エコーで赤ちゃんの位置を確認。ぐりぐりされて痛い。「ここに刺すのが良さそうです」と位置が決まります。

そして「刺しますね」と言われた瞬間に…

「痛い、痛い〜」と叫んでいました。皮膚とか膜とか何層も突き破ってくる感覚。インフルエンザとかコロナの予防接種の比じゃないくらい痛いです。しかも、刺した後も痛い。

「いま半分くらいです」
「ええっ?!まだ半分ですか…」

体感としては、1分くらい針が刺さっていて、羊水をとるのも痛いし「じゃあ抜きますね」と言われた後の、針を抜く作業もまた痛くて「痛い〜」と叫んでました。注射跡にガーゼを貼って、ようやく終了しました。

万が一破水した場合の電話連絡先を確認後、別の部屋で2時間は横になって安静にしていました。寝ようと思っていたのですが、針を刺した場所がちくちく痛み、眠れませんでした。 

薬は張り止めと抗生物質が処方されました。翌日から仕事だったので、テレワークにしてもらったものの、薬の副作用でふらつきや気持ち悪さがあって辛かったです。食事制限はないですが、おなかの張りが怖いので、あまりおなかいっぱい食べずに過ごそう、と思いました。

後は羊水検査の結果を待つばかりです。

羊水検査の結果が出る2日前

おなかの中で赤ちゃんが「もにゅ」と動くのを感じるようになりました。胎動です。この元気な子を、中絶するかもしれないと思うと、心が痛みました。

改めて、自分自身に問いかけてみました。私は、何が一番怖いのか。

  • 子どもの頃から成長ホルモン注射を打ち続けないといけないこと?

  • 思春期になっても二次性徴や月経が始まらず、不妊であること?

  • 更年期まで女性ホルモンの薬をのみ続けないといけないこと?

  • 心臓の手術を受けるかもしれないこと?

  • 知的障害、あるいは発達障害で、就労支援を受けるかもしれないこと?

それはある意味YESですが、一番ではなかったんです。

私にとって一番怖いこと。

それは、生まれてきた子どもに「産んで欲しくなかった」と言われ、人生に失望されることでした。もう生きていたくないと思われることでした。でも、それを考えたときに、それくらいこの子は、私にとって、もう、かけがえのない大切な存在なのではと思えたのです。

「全般性ターナー(モノソミー)でも、産みたい」夫とそう話しました。

私たち夫婦は、ターナー症候群という障害を受け止め、産むことを決めました。

羊水検査の結果

分析したコロニー数:15
【検査結果】染色体異常は認められませんでした。

偽陽性でした。つまり、ターナー症候群ではありませんでした。もうすっかり、ターナー症候群の子どもを産んで育てる気持ちでいたので、肩の力が抜けてしまいました。

そして、初めて夫に言えました。「パパ、おめでとう」

この一言を、結婚して7年目に言うことになるとは、思ってもみませんでした。もちろんこの先も、出産に絶対なんてありません。それでも改めて、母になる人生を、私は歩むんだ、そう思いました。

私は、結婚しなくても、しても、子どもを産まなくても、日々幸せを感じながら生きてきました。これから先、1人家族が増えても、ずっとそうであれるよう、歩んでいきたいと思いました。

最後に

これまでターナー症候群は、出生後に低身長をきっかけに診断されることが多かったと思います。

ですがNIPTの普及に伴い、出生前診断でターナー症候群の陽性(高リスク)と判定される場合も増えているのかなと感じます。

医療の進化は、必然です。
だからこそ、新たに悩むこと、過去の価値観では判断できないこと、難しい決断が必要なことが、この先も増えていくのかもしれません。

結局、正しい答えなんてなくて、その時点で集められるだけの情報の中から、決断することになる。私は少なくとも、それが最善の選択だったと思えるようにしたい。

NIPTでターナー症候群 陽性(高リスク)になったとき、同じ状況の方がいないか、ブログやSNSを検索しまくりました。そこで得た情報のひとつひとつもまた、私の悩みに寄り添ってくれました。

結果的に私は偽陽性でしたが、この記事は、同じように悩まれている方のために、少しでも参考になればと、書きました。

補足:
上記はあくまで私個人の見解や執筆時点で調べた内容です。医療情報は特にアップデートが早いので、常に最新情報をご確認ください。

2022年12月 ひつじ


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