World of Wool

1890年創業の繊維商社がこれまで事業を通して携わってきた「羊毛」についてや、日本が世…

World of Wool

1890年創業の繊維商社がこれまで事業を通して携わってきた「羊毛」についてや、日本が世界を席巻してきた毛織物産業について発進していきます!

最近の記事

素材で選ぶYシャツ

スーツの下に着用するYシャツ、仕事で毎日着用する方も多いと思います。皆さんはYシャツをどんな基準で選んでいますか?一言にYシャツといってもその素材によって機能が大きく異なります。素材は見た目では判断しにくいので意識しない人も多いかもしれません。しかし素材の違いや好みを知れば買い物の失敗が減るかもしれません。そこでYシャツ選びの基準の一つとして素材でYシャツを選ぶ際の知識や特徴を見てみます。 綿天然繊維の代表的な存在の綿。Yシャツの他にもTシャツやタオル等にも幅広く使われてい

    • 羊毛の変化

      羊毛は刈り取られた状態から糸になるまいろんな工程を経て製品になっていきます。工程が進むにつれて当然羊毛の見た目、形状も変わって行き、更には呼び名も変わります。今回は刈りたての羊毛から製品に近づくにつれてどのように見た目が変わり呼び名が変わっていくのを簡単にご紹介したいと思います。 Greasy Wool(グリージーウール) 直訳すると脂付羊毛となります。羊から刈り取った直後の状態の羊毛で羊毛繊維以外に脂、汗、泥、水、藁ゴミなどの夾雑物が含まれています。通常であればこの後

      • ウール以外の獣毛たち

        2019年の年末に新型コロナウイルスが世界中に広まってから1年半が経とうとしています。いろんな業界が被害をうけましたが繊維業界も例外なく大きなダメージを負いました。衣料品消費が大幅に減退したことでアパレル業界に携わる原料を扱う会社、糸を作る会社、生地を作る会社等がドミノ倒しのように業績を落としました。しかしアパレル業界では今年に入り一部で受注の回復の兆しがでてきているという記事を目にしました。意外な傾向として高級糸ほど回復傾向が顕著との声が上がっています。一般的に馴染みのある

        • 繊維のリサイクル

          今回は繊維のリサイクルについて考えたいと思います。現在日本における衣類の廃棄量は年間100万トンとも言われており、これらは埋め立て処分や焼却処分となっている訳ですが、昨今の「サスティナブル」という言葉への関心の高まりによりリサイクルに注目が集まっています。 一般的な衣類のリサイクル方法 ・古着として再利用   用途が変わらないのでとてもお手軽なリサイクル方法。 ・裁断して雑巾やウエスとして使用。   少し手を加えて新たな価値として生まれ変わる。 ・ワタ状に戻して違う製品の原

        素材で選ぶYシャツ

          糸を紡ぐという事

          手芸等で糸を使う時皆さんはどのように糸を調達するでしょうか。おそらく購入するという方が大半だと思います。そう遠くない昔には自分で糸を紡ぎ、布を織り、布で衣類を作るといった事があたり前の事でした。これらすべてが手作業でなされていたので糸という物はとても貴重な物でもありました。現在はいろんな糸が販売されていて欲しければすぐに手に入るとても便利な世の中になっています。原料からわざわざ糸を紡ぐという人はもはや少数派となってしまいました。しかし巣ごもり需要として手芸が見直される中、糸を

          糸を紡ぐという事

          【フェルト手芸】ニードルフェルト

          羊毛を使った趣味の一つ「ニードルフェルト」は羊毛を専用のニードル針でチクチク刺すことによって好きな形に成形し、好きなキャラクターや動物等の作品を作る手芸の事です。原料に羊毛を使用する事によってできあがった作品には羊毛独特の柔らかさや温かみが備わります。最初は誰もがうまくできないとは思いますが、回数を重ねてコツをつかんで上達すれば出来上がった作品を販売したりする方もいらっしゃいます。 ニードルフェルトを始める為に必要な基本道具を紹介します。 ・用品類 ①フェルティングニード

          【フェルト手芸】ニードルフェルト

          羊毛を使った趣味

          人生を日々楽しく、充実した物にしてくれる趣味。皆さんもやっていて楽しいと感じる事を趣味にしていますよね。しかし緊急事態宣言や蔓延防止等による昨今の情勢で外出等が制限される中、趣味の範囲も狭くなってきており、自宅で出来る趣味のニーズが高まっています。そこで今回は羊毛原料専門商社として羊毛を使った自宅で出来る趣味をご紹介いたします。 フェルト手芸 「ニードルフェルト」ニードルフェルトとはニードルという特殊な針で羊毛を何度も抜き刺しして繊維を絡ませ立体的な形を作り上げる手芸です。

          羊毛を使った趣味

          日本の羊毛産業 始動

          以前「日本で羊毛産業が定着しない理由」という記事を書きました。日本の牧場でとれたウールは夾雑物が多い事を除いては外国産のウールと比べても品質的には劣っていないことがわかりました。しかし日本の羊毛を取り巻く環境が整っていない為にこれまで日本の羊毛産業は定着してきませんでした。そういった問題に真正面から取り組み、日本の羊毛を広めようと活動があるのをご存じでしょうか。ジャパンウールプロジェクト(JWP)という活動で、「日本のウールを使い、日本の工場で、日本のツイードを作る」を目標に

          日本の羊毛産業 始動

          イギリスの羊たち: 英国の羊 「Medium」

          それでは前回の続きです。 英国羊毛「MEDIUM」に分類される羊達です。 FRIESLAND 起源 1953年に初めてオランダから英国に輸入されてきた品種です。 特徴 人気のある乳用雌羊で多産性のある品種です。体格が大きくて角のない細い頭と長くて毛の無い尻尾が特徴です。 主な用途 ニット生地のブレンド材 手触り: ミディアム/ソフト     色: 白 フリース重量: 2.75-3.5kg      ステープル長: 10-15㎝ 太さ: 33-34.5ミクロン HA

          イギリスの羊たち: 英国の羊 「Medium」

          イギリスの羊たち: 英国の羊 「Medium」

          少し前に英国にいる羊の品種について書きました。軽くおさらいすると、英国全体の羊は大きく分けて下記の7種類に分類されます。 Fine / Medium / Cross / Luster / Hill / Mountain / Naturally Coloured 前回はこの7種の中の「Fine」に分類される羊を紹介しました。 今回は「Medium」に分類される羊を紹介します。全部で13種です。 BELTEX 起源 ベルギーで開発された羊で1989年に英国に輸入されました。

          イギリスの羊たち: 英国の羊 「Medium」

          ウールとアクリルの違い

          暖かいセーターは冬に欠かせないアイテムです。セーターの素材にも様々な物が有りますが代表的な素材にウールとアクリルがあります。ウールは羊の毛でできている天然繊維だという事はおわかりだと思います。その特徴はざっくり言うとふっくらとした仕上がりでとても暖かい繊維です。 アクリルはそんなウールに近づけようと人工的に作り出した合繊繊維です。最近はアクリルもとても良くできていて見た目だけではどちらがウールでどちらがアクリルかわからないくらいです。なのでその違いについて少し詳しく見ていきま

          ウールとアクリルの違い

          ウールのチクチク感

          日に日に寒さが増し、朝晩はもうすっかり季節は冬という感じです。セーター、コート、ニット帽、マフラー、手袋など衣料品店にもウール製品のラインナップが増えてきました。本格的なウールの季節到来です。 冬物衣類でウールと言えばセーターを思い浮かべる方も多いのでしょう。ウールのセーターと言えば?と聞いて出てくる意見で必ずあるのがチクチクするという感想です。このチクチク感は何故起こるのか?また対策は?について今回は触れていきたいと思います。 チクチクの原因 繊維の太さ 人がチクチクを

          ウールのチクチク感

          環境問題 私たちができる事

          前回SDGsについて繊維業界・アパレル業界からの視点で考えてみました。今回はアパレルという分野の中で個人の視点からどういった事ができるのかを考えてみます。 SDGsの目標も非常に幅広いですが今回は目標項目の中で  12.つくる責任 つかう責任 13.気候変動に具体的な対策を の項目に沿って考えればイメージしやすいかもしれません。 繊維業界・アパレル業界が問題視するCO2の大量排出・水の大量廃水の根本は「多量生産・大量消費・大量廃棄」の社会的な構造にあります。ここに私達個人が

          環境問題 私たちができる事

          繊維・アパレル業界におけるSDGs2

          理想の環境を実現する為、地球規模で取り組んでいる持続可能な開発目標「SDGs」。(内容は前回参照。)非常に大きな課題への取り組みなので他人任せではなく国、企業、個人が各々の立場から意識して行動し一丸とならなければ達成できない目標です。 繊維業界が取り組むべき大きな課題は環境問題です。 ・CO2排出量の削減繊維の生産によるCO2の排出量は全世界の排出量の10%。地球温暖化防止の為これを減らす努力が求められます。 繊維業界は例えば衣類を作る為の生地の元となる糸の素材となる分

          繊維・アパレル業界におけるSDGs2

          繊維・アパレル業界におけるSDGs1

          2015年9月25日ニューヨーク国連本部にて「国連持続可能な開発サミット」が開催され、150を超える加盟国首脳参加のもとその成果文書として「我々の世界を変革する:持続可能な開発の為の2030アジェンダ」が採択されました。アジェンダは人間、地球及び繁栄の為の行動計画として宣言・目標を掲げました。これが17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」です。 目標17項目 1.貧困をなくそう 2.飢餓を0に 3.すべての人に健康と福祉を 4.質の高い教育を

          繊維・アパレル業界におけるSDGs1

          ウール製品のフェルト化について

          ウール製品がフェルト化(縮む)する事は割と広く知られているます。このフェルト化の特性を活かした様々なフェルト製品もありますが、衣類に関して言えばこのフェルト化はデメリットとして捉えられています。そこで今回は「なぜフェルト化するのか」「フェルト化した衣類は戻せるのか」「フェルト化させない為の注意点」について考えたいと思います。 ・フェルト化するメカニズム このフェルト化はウールを濡らした状態、更にその状態から強く揉む、擦る、押すなどの外側からの力をかける事で起こります。 繊維

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