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うたたね【ショートストーリー】【今日の短歌】× #色のある風景


山頂のうぐいすの声そよぐ風誘われるまま夢の世界へ


たまに森林浴がしたくなる。
緑が多くて空気がきれいで、人が少ない場所でホッと一息つきたくなる。
山に囲まれた一級過疎地で生まれ育った父は、田舎での暮らしが嫌いで、私たちが東京で生まれ育ったことに対して感謝しろと言っていた。
でもその子ども二人は東京での生活に疲れ、一人は自然豊かな地に移住を決めた。
地元に残っている私も人混みが苦手で、電車も苦手で、数ヵ月おきに緑に囲まれた場所で「何もしない」をしたくなる。
なにかと忙しい年度末と年度初めが過ぎ、ちょっとのんびりしたくなった。
けっこう疲れていた。

家から車で約三時間。山の上まで車で上れる展望台。
見晴らしが良く、芝の上に座ってぼーっとできる場所。
木々の緑の中にあるツツジ花の赤紫、ヤマブキの黄色、ドウダンツツジの白などが鮮やかだ。
山頂の手前の分岐を山頂とは逆に行くと宿泊施設や食事処がある。
「何もしない」をするにはいい場所で、自然のエネルギーをチャージしに行こうと決めていた。
運良く天気も良くて、暑くも寒くもない過ごしやすい陽気。
休日だったから人は少し多くて、そういえば前回来た時は平日だったんだと思い返した。
いくつかあるベンチの中で、空いていた端っこの石造りのベンチに座る。
少し吹く風が心地よかった。
時折、ウグイスの声が聞こえる。

のどかだった。

音や人の声に敏感で、日常生活では耳栓を持ち歩いているのだけれど、ここではそんな必要がない。
目を閉じて風を感じる。穏やかな時間。

気がついたら、少し寝てしまっていた。

寝ていたことに気がついて、少し驚いた。
東京ではまず、屋外で寝るということはないから。
それだけ疲れていたのと、それだけリラックスできたということだろう。
あまり無防備になるのは良くないかもしれないけど。
常に気を張っていないといけない環境は疲れるから。
外でうたた寝できるくらいの場所はいいなと、ちょっと思った。


こんにちは。羽根宮です。
芝生に寝っ転がってお昼寝したいモードです。
近くの公園で読書はできても、寝っ転がることはできません。
外で安心してお昼寝ができる場所があれば良いのに。

三羽烏さまの「色のある風景」にも参加しました。


今までの短歌、川柳など詩歌系はこちら


読んで下さってありがとうございます。
好きな色は紫系の羽根宮でした。

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