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【おやこでSDGs】小1の息子の夏休みの自由研究に本気で取り組んでみたらとんでもなく視野が広がった|田舎暮らし日記

こんにちは、輸入文具のネットショップをしながら岐阜県恵那市で田舎暮らしをしているあやみです。


我が家の息子、愛称ちーくんは、とにかくなんにでも興味があります。
生き物を筆頭に、パソコン、ロボットプログラミング、地図記号、宇宙、料理、海、森、川、人類の起源、経済、社会、方言などなど。
興味がないことがないくらい。

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小学校1年生になり勉強できる範囲もどんどん増えて余裕が出てきたので、本人がやりたい!といったロボットプログラミング教室に通うほか、
科学や地理などを楽しく学べる探究学舎という「オンライン探究」をやる(東京ではリアル教室もあり)教室の授業受けています。

ロボットプログラミングはPythonという言語を使ったプログラミングをしていて、はじめのほうこそなんとなく言語の意味がわかっていたものの、いまちーくんはかーちゃんがもう付いていけないレベルまでプログラミング知識が達しています。

このnoteではアフリカ一人旅、登山用具店勤務などを経て、現在はECサイト経営をしつつ恵那市笠置町にUターンし里山暮らしをしているわたし(佐藤あやみ)が、子育てのことや自然のこと、学んだこと、経験したことをアウトプットしています。テーマは「ともに生きる」。どうやったらともに生きるコミュニティを形成できるのか?ということを考えながら活動しています。

探究学舎さんのほうは、この多岐にわたるちーくんの好奇心を深く掘り下げてあげたい、専門的な知識が身に付けばいいなと思って、いろんな範囲のことを勉強できる教室と知り、ぜひに!と前のめりで受け始めました。
このご時世なのでオフ会は参加したことがありませんが、いつか興味をともにする仲間と会わせてあげたいし、わたしもみんなに会ってみたいなと思っています。

さらにさらにちーくんの通う地元のでは百人一首や俳句に力をいれてるのもあって、学校の授業で扱ううちに国語方面にも興味が出て、一時、会話が川柳になりました(笑)。

ある日ロボットつくる→探求学舎受ける→ご飯食べながら短歌を作る
っていうのを1日でやっていたらその日の晩に高熱が出たということがあるくらい(寝たら熱が下がったのでいわゆる知恵熱)好奇心が爆発しています。
よくしゃべりよく書き、よく読みよく観察しよく伝える子で…
私は本気でちーくんは令和の立花隆だと思っています。(笑)(大声)

好奇心旺盛な息子が環境問題に興味を示した

そんな彼がいま一番興味あるのが地球温暖化をはじめとする環境問題。
大好きな生き物の図鑑や番組で、避けて通れない話題なので気になったようです。

彼は猛烈な勢いで図書館へ行ったりして環境問題の本を漁り、驚くほどのスピードで自然科学の知識と環境問題、さらにはSDGs全体の知識を飲み込んでいきました。

子どもって夢中になれるとすごいんだ。という当たり前の事実が、親という視点で目前に迫ってきます。


ここで息子が田舎暮らしをしている子ならではだな~と思うことがいくつかありました。

まず、うちは里山中の里山で、庭に蛍が舞うくらいの日本の原風景のなかに暮らしています。田舎暮らしなので自然が近い、それはつまり子供にとって実践・観察・研究の場が近いということ。

実は、自然科学分野、特に生き物について詳しい子というのはよくテレビに出たりしますし、歴史がすごく詳しい子、というびっくり小学生とかもよく聞きます。しかし、そういう子たちというのは興味の対象であること以外の、大切な自然環境のことや文化的側面のことは全然知識が無かったり興味が無かったりする。
例えばクワガタにはめっちゃ詳しいけど、つかまえたり育てたりすることはできるけど、里山のこと、自然環境全体などには詳しくない。とか。

(これは自然写真家さんたちが小学生向けのワークショップなどで実感することだそう。もちろん例外はあるだろうけど、こういう子が多いということ)

しかし、目の前が山、谷、川…の暮らしをしているちーくんにとっては、環境であるとか里山の文化というのは、一枚の布のようにつながっていて、片隅をひっぱればもう片方が歪む…全体をぴんとひっぱればしわが無くなる…というのは感覚で理解しているのです。風が吹くことと、蝶が花の蜜を吸うこと、カラスが畑のトマトをかじること、自分のお腹が痛くなること、お山まで墓参りしにいき祈ることを同じ事象として捉えているわけです。

「点と点をつなげて、線になる…」
風呂場で服を脱ぎながら自然科学の話をしていたときに、わたしの問いかけに呼応してちーくんがハッとして言ったことばです。これを聞いてわたしは驚きました。点と点をつなげる…こんな感覚、私は最近知ったことだったから、その感覚がすでにあるということにびっくりしたのです。

点と点をつなげて、線になる ーこれは、おそらく探究学舎で学んだことだと思いますが、目をキラキラさせてこのせりふを言ったので、彼の中のシナプスがぴぴんとつながった瞬間なのだろうと思います。

これって間違いなく一生の宝で、五感で環境と自分と社会のつながりをひとえにかんじられるということは、現代社会に生きる私たち人間に大いに欠けているものであり、早急に取り戻すべき感覚でしょう。

手始めに夏休みの自由研究を本気でやることにした

それで、いまちーくんが思っていることとしては、自分で研究を続けていき、地球温暖化とか生態系の崩壊とかを食い止めたいということ。

私自身も中学生のときから社会問題(とくに環境問題と貧困問題、食料自給率の問題、平和活動)について興味がありましたし、それについて何かアクションを起こせないかといろいろ自問自答してきました。
そんな中で、いろいろと出会いがあり、ネットショップをしながら有機農業を細々と実践するというところに現段階ではおります。

そもそも、夫氏の体力と強みから考えても、農業ばりばりやるという感じではないと思っていました。(夫氏は研究者肌でもくもくと考えて観察して書くのが得意なタイプ、肉体派ではない)
じゃあネットショップ一本でいけばいいじゃないか、と思われるかもしれませんが、自然と関わることで何かアクションを起こしていたかった。
ですので、ネットショップと兼業農家…みたいなところに現段階では落ち着いているのですが、このままでは農家としての影響力もちっぽけだし物足りない。

将来的にそういった社会問題に対してアクションがなにかしら起こせるようになりたい、と思いつつも、ずっとコレジャナイ感がありました。

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▶ちーくんが撮影した庭。


で、ちーくんの好奇心に戻りますと、父ちゃん母ちゃんとして出した答えは、「ちーくんの研究へのわくわくにとことん付き合ってみよう」でした。そこに答えが、道しるべがあるような気がしたのです。
では今、そんなに時間と余裕はないけど、なにが手伝いできるかな?と夫婦で考えましてひとまず手始めに夏休みの研究を本気で手伝うことにしました。

探究学舎の植物編という授業でミツバチの話が出てきました。植物の生存戦略の話だったのですが、ミツバチは花にとって、虫の中でも特に都合の良い存在である、ということでした。それをアニメーションでとてもわかりやすく説明されていて、大人のわたしたちでも「知らなかった!へ~!」
ちーくんははちみつを食べるのがとても好きというのもあり、また環境問題とも関わる分野(植物の多様性や、農薬によるミツバチの減少など)なので研究をミツバチに設定。

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▶さとはちさんに頂いた資料写真

まず、どんなことを知りたいかをちーくんにヒアリングしました。

子どもらしい、面白い質問の数々でした。

例えば、「ミツバチは何時間働くの?」「ミツバチはどこまで遠くへ飛べるの?」「ミツバチは夏に働いて暑くないの?何度まで耐えられるの?」など。はあ、確かに知らないな。ということばかり。

環境問題にどうつなげるか、小学生1年生の自由研究でどこまでできるかはわからなかったのですが、ひとまずちーくんの興味が続く範囲で、と決めました。まず自分の調査でどこまで調べられるかを知ることが大事だと思いました。(農薬のミツバチへの影響など、親が知りたいことはあえて省きました。余計なバイアスがかかるとちーくんの興味が逸れると思ったからです)

NPO法人さとはちさんにご協力いただき、ミツバチの観察、撮影をさせてもらい巣箱のようすや、どんな動きをミツバチがしているのか見せていただきました。
安藤美咲ちゃん、どうもありがとうございました!

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残念ながら雨でミツバチは巣箱周辺しか飛んでいなかったのですが、暑い日の雨だったので、ミツバチが巣箱を冷やすために風を羽で送る動作をみたり、スズメバチ対策を観察することができました。

家に帰って、情報をまとめました。

知りたかったことをQ&A形式でまとめて

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探究学舎で教わった、ミツバチが同じ種類の花の蜜ばかりを吸いに行くという「訪花の一定性」を図で表したり

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ちーくんの食レポが冴えわたるはちみつの味比べをしたり(香りの広がり方を縦横ななめで表現していておもしろい)

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▶全部味が違うのは「訪花の一定性」のため。はちみつをとる時期によって咲いている花、ミツバチが訪問する花が全然違うため味が違う

はたまた探究学舎の「きみの仕事編」で学んだ
「仕事の対価円グラフ」をNPO法人さとはちの安藤さんに書いてもらったり…

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それをレジュメのような感じでレイアウトしました。

内容としてはかなり情報を詰め込んだ内容になりました。

研究の基礎を学びたくなった

正直、なにもわからないところから始めたのですごく拙い指導になってしまったと思いますし、これからちーくんの自然科学の研究を手伝うにしても、わたし理系がさっぱりわからないので、「研究ってどう進めるのが良いの?」と、改めて0からスタートというのを実感することになってしまいました。

いやしかしこの改めて0スタート、というのがわかっただけ、よかったでしょう。

研究の進め方はいろいろあるかと思いますが、

仮説をたてる→実験方法・調査方法を決める→実験・調査をする→結果をまとめる

こんな感じでしょうか。

今回ミツバチの自由研究に関しては情報をまとめる、ということではありましたが、一応仮説も事前に立ててさとはちさんの見学に臨みました。

本格的なフィールドワークになったら、調査方法の基礎知識などもないといけないでしょう。

自然科学、地図読み、化学、研究方法…などとにかく自分の人生にいままで無かったことを、ちーくんと一緒に学ぶ必要がありそうです。

こどもと一緒に研究して、親のことばが増えた

そういえば、10年ほど前、森林インストラクターの資格を取ろうと思って、辞めたことがありました。環境問題へのアクションのために(イベントとかやるときに役立つかなと思い)取ったほうが良いだろうとチャレンジしてみたものの、自然科学の基礎知識が無かったのでなかなか身にしみず断念しました。

しかし、いまは違います。
ちーくんと3歳から、いろいろな図鑑を読んでいます。自然科学に関しても小さい子向けのすごくかんたんな説明からちーくんと一緒に(つまりほぼ0から)学んできて、基礎知識がつきました。今ではちーくんのおかげで自然科学系の大人向けの本も読めるようになりましたし、気になっていたけど恥ずかしながら読めなかった環境学に関する勉強もわくわくとした良い気分ですすめることができます。環境学や、環境問題を解決する社会学系の本などもとにかく読み漁っています。


最近驚いたことがあります。

10年以上前に買った小説で、「シェルコレクター」というO・ヘンリー賞を獲ったという海外の文学がありまして、ケニアに住む老貝類研究者の話です。昔古本屋でみかけて表紙がきれいだったので買ってみましたが…残念ながら長い間、私は読むことができませんでした。どうしても2ページ目以降に進めない。

なんでなんだろう?読めるはずなのに。難しい言葉は出てきていないし…きれいな文体なのに残念だなと思っていたのです。

けれど最近、急に読んでみようと思って本を開くと、すらすらと読めるではありませんか。こんな簡単なことだったけ?というくらいに。

なぜだろう、と考えてみたら、これはちーくんのおかげなのでした。

ちーくんの図鑑読みにつき合ったり、海へ行ったときに貝を拾ったりするのをみているうちに、わたしも貝類の名前を少し覚えていました。

小説の中には貝類の名前や、魚類の名前がそれはそれはたくさん出てきます。わたしはそれらが以前はひとつもわからなくて、ちゃんと小説の世界を理解したい私の脳みそは拒否反応を起こしていたのです。
でも、いまはイモガイ、アンボイナ、ミノカサゴが理解できますし、その画も想像できるので読み進めて小説の世界に浸ることがすんなりできたのでした。

ちーくんと一緒に図鑑を見たりフィールドワークしているうちに、わたしの世界はもっともっと色とりどりになっていったのです。

この植物にも名前がある。この貝にも名前がある。この気象現象にも名前がある…というように。

これはちーくんを育てないとみることができない世界でした。

言葉が増えると、世界も広がる。学ぶと、視野がひらける。

こんな体験をさせてくれたちーくんに感謝です。


と、同時に、この環境下ならこどものうちに五感を総動員して自然科学はじめ、多岐にわたることを楽しく学ぶことができる!という体験を、みんなにシェアしたいなという思いも募ってきました。

本格的に自然科学とSDGsを学べる場をつくりたい

そもそも、田舎って習い事のバリエーションがありません。

スポーツ系はありますが学問系になると、塾系になってしまう。アウトドア系はボーイ・ガールスカウト。少子化なのでしょうがないのですが、もうちょっと多様な習い事があるといいなと思ったりします。

うちの息子は運良くロボットプログラミングと探究学舎に入り込めたものの、田舎にいるとちーくんみたいなスポーツより学問が好き、という子の習える習い事があまりないのが残念でした。(探究学舎を知ったのもラッキーなことに東京在住の旦那さんの友だちがFacebookで紹介していたから…たぶんそれを見なかったらいまでも知らないと思う)

それとともに、わたし自身、SDGsに関する活動をしたいと思っていて独学で学んでいるものの、「科学・数学」という視点がごっそり抜けていることが気になっていました。

例えば、いま我が町でも問題になっているメガソーラーの問題。
山が切り開かれて、メガソーラーが一面に置かれ、景観や土砂崩れなどの問題が懸念されています。

でもさ、原子力もむり、メガソーラーもむり、水力発電ではすべての電力はまかなえないんだったら、これからの電力問題どうしたらいいの?

ってこと、わたしは説明できません。

嫌な気持ちはわかるのです。原子力もメガソーラーも、どうやら、なんか嫌だ。その「なんか嫌だ」は大切にしたい。でも、理論的に説明できるかと言ったらできない。理論・データで説明できないうちは感情論にしかならない。そして代替案も提示できない。これでは反対を論ずることはできない。

そんなことで、私はもっとちゃんと環境学について、SDGs全体について、論理的にデータに基づいて、しかもフラットな立場として「なんで」を解決してから、反対するなら反対したいし、反対するならちゃんと政策提言をしたい。そしてどういう活動をしたら保全につながるのかも学びたい。

そんなわけで。

まだ、構想段階ではあるし、知識もなにもない状態なので声たかだかと言うのもはばかられるのですが、はばからずに言うと、まず有志で子供向けにSDGs研究部みたいなのができたらいいなと思っていて。
実際にフィールドワークをして、生態系のことを調べたり水質調査したり、それをまとめて発表したり、保全活動も一緒にやったり。
というのがしたいな~と。

自然科学に興味のある子供たちはたくさんいるはず。

実際にどう動いていくのか、というのはやってみないと分からない部分もあるけれど、もしうちの子興味があるよ!とかこういう知識があるから手伝えるよ!または近所にいるから参加したいという方がいらしたら、ぜひ連絡してください。

わたしのFacebook↓
https://www.facebook.com/ayami.wada.39

そんなわけで、私の人生も大きく変えてくれた夏休みの自由研究。
最後に愛するちーくんにビッグラブを。らぶ!ちーくん!




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