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『ワンダリング・ノート』 Episode.10

チャーリー:・・・い、・・・おい! トム! しっかりしろ!!


トム:はっ!!


チャーリー:目覚めたか! ・・・事態は一転してしまったが・・・。



トム:・・・記憶が・・・よくわからない・・・ここはどこ?

チャーリー:ああ、大丈夫だ。とりあえず場所を移そう。危機的状況からは抜け出せたようだ。

トム:僕は、何をしていたんですか? 大声で・・・何か、誰かを呼んでいたような気がする・・・。


チャーリー:・・・すまない・・・。

トム:何が・・・ですか?


チャーリー:君の「記憶データ」の破損は、一過性のものだと信じたいが・・・いや、信じなければダメだ。同じ過ちは繰り返さない。


トム:チャーリーさん? さっきから、何を・・・痛っ!!


チャーリー:おい! 君の腕に・・・何か文字のようなものが出ているぞ!!


トム:うわっ・・・何だこれは?? きっ、消えない!?

チャーリー:トム、君のタブレット「Mill」で、それを解析してもらうんだ。それにはあらゆる言語を翻訳できる機能がある。

トム:タブレット・・・そうか、僕はそんなものを持っていたんだ。・・・あれ? ないぞ?? どこかに落としてしまったのか??


チャーリー:!!


トム:チャーリーさん、どこかその辺りに落ちていないですか?大きいから、すぐに見つかるとおも・・・

チャーリー:トム・・・ あそこに見える、あのブランコまで歩けるか?


トム:? 何ですか? 突然。


チャーリー:座標軸は合っている。タイム・ホイールが間に合ったのか、君の感情が生み出した「記憶データの崩壊」の力のせいなのかは不明だが・・・空間に歪みが発生している。あとは君が行動を起こして、並行世界を変えるんだ。


トム:さっきから何を言って・・・

チャーリー:行くんだ、トム!! 今行かなければ、間に合わない!!


トム:・・・よくわかりませんが、ブランコまで行けばいいんですね?



トム:おや、声がする。誰かいるぞ・・・。



"Surely our hands, surely in a dream"




"Surely, Baby girl, you are my shining star."




トム:素敵な詩だね・・・。君が作ったのかい?


:!?


トム:隣、いいかな? 僕はトム。君が今、口ずさんでいた・・・


:Who are you?


トム:え?ああ、ごめん。いきなり過ぎたよね? 何だかわからないけれど、自然と話しかけちゃったんだ。


:Did you come here to hit on me?


トム:え? ごめん、よく聞き取れなかっ・・・


:「私をナンパしに来たの?」って聞いてるの。


トム:え? いや、そんなんじゃないんだ! たまたまというか、何というか・・・そうだ、僕はタブレットを探しているんだけれど・・・そう、僕の手のひらより少し大きいサイズで、その・・・見かけなかったかな?


:タブレットって、これの事? 今、この画面に出ていた文章を読んでいたの。私が作った詩じゃないわ。


トム:あっ! それ!! 僕のタブレットだよ!! 君が拾ってくれたのか、ありがとう。それはとても大切なもので・・・


:How important is this? As important as I am to you?


トム:え? ごめん。僕はその、英会話が苦手で・・・(おかしいな、聞き取れない・・・?)


:冗談よ。それよりこのタブレット、私が見つけたんだから、私のものよ。

トム:え? ちょっと待って! 意味がわからないんだけど。


:これって、最新型のAI端末でしょ? 英会話アプリまで入っている・・・私の勉強にちょうどいいわね。

トム:君、何言って・・・

:これがあなたのタブレットだっていう証拠はあるの? それに、あなたの拙い英語力には、これは宝の持ち腐れされだわ。

トム:何だって!? 君は随分と失礼なヤツだな! そんなトゲのある口調で言わなくて・・・も・・・








"To think that I, of all people, would be thrown back... I underestimated that young girl."

この俺が、逆に彼方へ飛ばされるとはな・・・あの小娘を侮っていた。



Dan: "From the scars on this face, I'll track you down and bury you and that brat in darkness... 'The Golden Axe' begins then."

ダン:この顔に付けられた傷跡からお前を探知し、あの小僧もろとも闇に葬ってやる・・・。「金色の斧」はそれからだ。

第2章〜完

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