『ワンダリング・ノート』 Episode.6
ダン:今日のテレビ番組『ユニーク彼氏と長電話』ふ〜む、昭和の特番か・・・これは見たいな。おやおや、主題歌は『AIと筋トレと私』これは名曲の予感。
ルナ:・・・ポテンシャル計測不能。ヴィジョン不確定。周囲250mにおいて、あらゆる事象の保証はできない。
ダン:日曜日の公園は活気があっていい。ここは普段とても静かで、一人でワークアウトしていると孤独を感じる。
ルナ:何を言っているのか、理解できない。
ダン:ん? いや、筋トレの話だ。ただひたすらに己の限界を信じて取り組む、孤独の中の唯一の光だと思わんか?
ルナ:あなたはこの「絵本世界」のマスターマインドか?
ダン:mastermind・・・それはどちらの意味だ?
(A): ずば抜けた知性
(B): 黒幕
ルナ:・・・。
ダン:まあ、どちらも正解だ。そう構えるな。俺が知りたいのは、あの小僧とお前の「関係」だ。次から選べ。
(A): friend
(B): lover
ルナ:・・・どちらでもない。私はただの監視役。個人的な感情は持たない。
ダン:ほう、そうか。だが、そこの鏡に映っているのは何だ?
ルナ:!?
「セカンド・ミラー」
ルナ:ぐっ!!!!? 体が・・・!!
ダン:小娘・・・嘘の代償はでかいぞ。鏡は嘘をつかない・・・それはお前自身がよくわかっているはずだが?
ルナ:なぜ・・・この世界に・・・「鏡」が!? あなた・・・は、何者・・・!?
ダン:"mastermind" だろ?お前が言ったんだ。
ルナ:・・・トム・・・!!
トム:さて、ブランコも見つけたし、途中の売店でおにぎりも買った。ルナのところへ戻ろう。ん? 何だあれは・・・バナナの山!?
チャーリー:私は自分の行動パターンを把握している。それは過去においても、未来においても変わりはしない。
シルク:ちっ・・・バナナとバナナの隙間に、上手く逃げ込んだってか。だがここには、おっさんの「記憶エネルギー」になるようなものはないぜ。さっきの「タイム・ホイール」だっけか? そう何回も使えないのは知ってるさ。
トム:・・・チャーリーさん!? 大丈夫ですか? 赤いマントが見えたので、中を覗いたら・・・何をしているんですか?
チャーリー:トムか、待っていたよ。いや、正確には来るのがわかっていたと言うべきか。すまないが君の、その手に持っている牛乳瓶をくれないか・・・喉がカラカラなんだ。
シルク:あ? 誰と喋ってるんだ? こっちからじゃよく見えないな・・・。何をしてるんだ?
チャーリー:トム、さっきはすまなかった。君の「恋人」に対する私の振る舞いを許してくれ。そして・・・どうやらあまり時間がないようだ。早く助け出さないと。
シルク:助け出す? 助けて欲しいのはおっさんだろ〜が?? くそっ!何かしてやがるな?
トム:いいんです、僕もなぜかあの時は・・・自分の感情が抑えられなくて。でも、僕とルナは別にそんな関係じゃ・・・
チャーリー:いいや、君たちは「LOVER」だった。そして私はもう、同じ過ちを繰り返さない!
チャーリー:牛乳を飲んで「チャージ完了」改めて「タイム・ホイール!!」
トム:バナナが消えて、空間が・・・入れ替わっていく・・・!?
シルク:うっ!!・・・ここはどこだ!!? 何だこの牛の群れは!?
チャーリー:私はどうやら牛に好かれる体質のようでな。この場所で私が「牛と戯れている並行世界」へと記憶の上書きをした。これが時転車の真髄「ライディング -Wriding-(write + ride)」だ。
シルク:うわっ・・・やめろ!!牛が全身を舐めてくる〜!?? ぐあっ!!!
トム:また、タブレット「Mill」が鳴っている!
チャーリー:急ごう! 「ルナ」の元へ!!
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