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オンライン対応している子ども向け言語訓練サービス

先日に発表された文部科学省の調査で「通常学級に通う小中学生の8.8%に発達障害の可能性がある」というニュースが注目を浴びていました。

国連から特別支援教育の在り方に関する勧告があったことも記憶に新しいですが、いまの日本はインクルーシブ教育や教師養成支援など様々な方法が模索され、誰もが社会参加できるよう、その環境を整えていくことが求められています。

この領域の問題は山積みですが、比較的解決しやすい問題の一つに、発達障害を持つ子どもと言語聴覚士とのマッチング問題があります。

ASDに見られる言葉の遅れに対しては、粗大運動や微細運動を通じて発語を促す作業療法があり、多くの療育施設で実施されています。しかし「ことば」や「コミュニケーション」の専門家である言語聴覚士との言語訓練を受けられる機会は多くありません。

それもそのはずで、需要に対して供給が追いついていません。そこで本記事は、オンラインで言語訓練を提供している言語聴覚士やその施設をまとめました。

当然ですが保険適用外なのである程度の費用は発生します。しかし、オンラインなので居住地は関係なく、また言語聴覚士に相談できる機会が得られることは利点だと思います。

オンラインでレッスンできる子に限定されてしまう点は心苦しいですが、、中には対面サービス (オフライン) を提供しているところもありますので、初診にてお互いの相性等を確認してみるのも良いと思います。


言語聴覚士と、現状の課題

かんたんに言語聴覚士に触れておくと、言語聴覚士は聞く・話す・読む・書くなどの「ことば」と「コミュニケーション」の訓練やサポートを得意とする職業で、国家資格の一つです。ST (Speech-Language-Hearing Therapist) とも呼ばれ、医療機関や介護施設など、様々なところで大活躍されています。詳しくは日本言語聴覚士協会のサイトに載っていますのでご参考ください。


言語聴覚士の資格保持者は2020年時点で38,200人ですが、需要に対して供給が間に合っていない領域です。2022年には厚生労働省が検討会を実施し、時代のニーズに応じた対策が進められています。


人材不足が叫ばれている言語聴覚士ですが、児童福祉の観点で見ると状況はさらに深刻さを増します。日本言語聴覚士協会の統計によると、福祉関連に従事している言語聴覚士は全体の7.3%、また有資格者のうち小児言語を担当されているのは4,625人なので、単純計算で児童福祉に関わる言語聴覚士は337人だけです。2020年時点の児童発達支援事業者数は8,849なので、児童福祉施設に言語聴覚士が在籍していることの方が珍しい状況です。

一方、医療機関に従事している言語聴覚士は全体の67.0%なので、3,098人と従事者数は一気に増えますが、小児科やリハビリテーション科を備えている施設は限られます。ご自宅の近くの施設や病院に言語聴覚士がいるかどうかを確認したい場合、@tanaharu_STさんが作成された小児ST全国マップがとても役立つので、ぜひご活用ください。


オンラインサービスを提供している言語聴覚士・施設

前置きが長くなりましたが、言語訓練や育児相談をオンライン相談できる言語聴覚士や施設情報を以下に記載していきます。


育児・発達支援室ここん

「こどもの個性に寄り添う」「制度の狭間に埋もれるこどもを守る」「こどもたちが自分らしく生きられる地域社会を創出する」の理念のもと、育児・発達支援をおこなっています。

代表の定金雅子さんはアメリカで作業療法士の経験や、カンボジアで幼稚園の先生の経験を積まれるなど幅広い経験をお持ちで、かかりつけ療法士としてお子さんの発達状況・健康面・心理面に合わせたオーダーメイドの相談ができます。


イロドリ

  • SNSInstagramBlog

  • 所在地 : 北海道札幌市

  • プラン : 発達相談, 言語レッスン, etc

「イロドリ」を運営されている三上愛さんは、言語聴覚士として大学病院に小児専門として9年間勤務されていました。ママとしての育児経験もお持ちで、ママ向けのプランもご用意されています。

言語聴覚士としての豊富なスキルと育児経験から、相談者の家庭事情に合わせたアドバイスやトレーニングの工夫を提案いただけます。


オンラインスピーチセラピー

  • SNS : TwitterFacebook

  • 所在地 : 愛知県豊田市

  • プラン : 言葉のリハビリ相談 (言葉の悩み、遅れ)

訪問リハビリなどで20年以上の歴史を持つリハビリネクスト株式会社が運営する「オンラインスピーチセラピー」には、多くの言語聴覚士が所属されています。

初回は無料カウンセリングなので、ためしにオンライン相談を体験してみて、そこから継続するかどうか判断できます。また、25分コースと50分コースがあり、集中力にあわせてプランを選ぶこともできます。


ことばの相談室ことり

「ことばの相談室ことり」は言語聴覚士の寺田奈々さんが主宰され、数名の言語聴覚士が在籍しています。「ことば」に関する情報を、雑誌やSNSでも様々な発信をされており、Voicyでラジオ配信もされています。

オリジナル教材のコトリドリルや、書籍『ことばをひきだす親子あそび: 子どもとのコミュニケーションがどんどん増える!』は、ご存じの方も多いのではないでしょうか。


ことばの森

言語聴覚士の森山暢彦さんが代表を務められている「ことばの森」は、30年以上の臨床経験があり、子どもから成人まで幅広く相談・訓練に取り組まれています。

いくつかの制約は生じますがオンライン検査を受けることも可能です。土日や平日夜間も対応されており、レッスン時間も30分と60分の2種類あるので、家庭の事情にあわせて相談できます。


リニエ シューレ

  • SNS : InstagramFacebookLINE

  • 所在地 : 東京都中央区, 練馬区, 三鷹市, 武蔵野市, 小金井市, 埼玉県川口市

  • プラン : ことばコース, もぐもぐ相談室

「リニエ シューレ」は認知機能をふまえた子どもの学び・育ちの支援教室です。三輪書店グループに所属する株式会社東京リハビリテーションサービスによって運営されています。

三輪書店グループは医学・看護関連の書籍出版や、介護・リハビリサービスの提供をおこなっています。そのため、言語聴覚士以外の様々な職種のスタッフが在籍し、教育研修制度を整えてスタッフの人材育成に取り組まれています。



それぞれの情報やコメントはウェブサイトの情報を元にしていますが、不備のご指摘や、ほかにオンライン対応している施設等の情報がございましたら@waterl_o_oまでご連絡ください。


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