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障害社会学リサーチ

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障害社会学を軸に、書籍やネットニュースの情報を整理・考察した記事
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記事一覧

障害に関わる親が子離れできない問題

障害のある子どもを育てる親の社会的障壁の1つに親が子離れできない問題がある。 原因は様々だが、子離れできない原因の1つに貧困化がある。貧困は深刻な社会問題の一つであるが、障害に関わる親の場合、育児環境の影響を受けて貧困化へと至るケースがある。 親が子離れできないと、子どもの自立機会が失われる。 一般的に子どもよりも親が先に亡くなるので、親亡き後のことを考えると、子どもが自立できるように、親は出来る限りの支援をする必要がある。きょうだいがいる場合には尚の事である。 この

発達障害の疑いから療育開始までの4つのフェーズと課題

子どもに発達障害の疑いがある場合、医療機関で診断を受け、その診断をもって自治体の窓口にて各種案内を受けることで、必要な支援を受けることができる。 この過程は福祉サービスとして多くの家庭を支援している。 しかし、一つ一つの内訳を見ていくと、親のケア不足や、子どもの特性に合わせた療育施設が案内できていないなど、いくつかの課題が残されており、改善の余地がある。 この記事では、発達障害の疑いから療育開始までの流れを俯瞰して、それぞれの課題点と解決案を考察していく。 発達障害の

障害の自己認識の事例から考える、インタビューの有用性

知的発達症 (知的障害) を抱える人は、自身の障害をどのように認識しているのだろうか。 その疑問に向き合った書籍『知的障害のある人のライフストーリーの語りからみた障害の自己認識』は、現代社会に生きる私たちに多くの示唆を与えてくれる。 この記事では、当事者の自己認識の一端を理解すると共に、インタビューの有用性を考察する。 当事者は自身の障害を「否認」している当事者のことを知るためには、インタビューは有効な手段である。 ただし、インタビューは言葉の交換を必要とするので、万