LGBTの背後にジョージ・ソロス?
笙野頼子という小説家がいまして、少し前にFemale Liberation Jpなるところで興味深い記事を書いていました。
特になんの説明もなく「ジョージ・ソロス」という名前が出てきて、詳しくないひとはピンとこないかもしれません。
ジョージ・ソロスというのは、ウォーレン・バフェット、ジム・ロジャーズとともに世界三大投資家といわれる(?)投資家です。
またジョージ・ソロスは慈善活動家でもあり、「オープンソサイエティ財団」という財団を作って慈善活動を行っている人物です。おそらく冒頭で紹介した笙野頼子の記事で唐突にジョージ・ソロスを出してきたのはオープンソサイエティ財団がLGBT団体の支援も行っているからでしょう。
このジョージ・ソロスは、人権という価値観を大切にする自由主義者であり、アメリカの民主党の支援もしていたりする存在です。これが共和党の癪に障るらしく、以前よりトランプ支持者(というかQAnon系の陰謀論者)から目の敵にされてさまざまな攻撃を受けていました。
トランピストの中にはジョージ・ソロスがナチスだとか言う主張をし「ソロスがナチスに所属していた」という捏造をするひとまでいますが、ジョージ・ソロス自身がユダヤ人であることを考えるとそのような主張は荒唐無稽であり便所の落書き以下であると言わざるを得ません。
むしろそのようなアホな差別主義者がたくさんいるからジョージ・ソロスはそれらに対抗するために慈善活動を行っているのではないでしょうか。
じつは「LGBTの背後にジョージ・ソロスがいる」という陰謀論を流しているのは笙野頼子が最初ではありません。陰謀論者は長年にわたってこの陰謀論をたれながしてきました。がしかしオープンソサエティ財団がLGBT団体に具体的にどのように関与していてその影響力がどれほどあるかなどは陰謀論者の皆様も良くわかっていません。
一つ確かなことは統一教会系の新聞である「ワシントン・タイムズ」がこの陰謀論を記事にしているということです。
なんとこれ2016年の記事なんですね。統一教会がいかにしつこくLGBTを攻撃し続けているか、ワシントン・タイムズを見ればわかると思います。
ここまで読んで「でもオープンソサイエティ財団がLGBT団体を支援しているのはまじじゃん?」と思う人もいるかも知れませんが、オープンソサイエティ財団は女性団体やウクライナの支援も行っている財団です。
https://jp.reuters.com/article/soros-ukrane-idJPKBN0MR0A320150331
先程も書いたようにジョージ・ソロスは人権という概念を尊重する慈善活動家であり、女性団体を始めとして様々な社会活動を支援しています。「ウクライナや女性団体の背後にジョージ・ソロスがいる」とかいう陰謀論が流れていたらどのように感じるでしょうか。「アホらしい」とならないでしょうか。
ジョージ・ソロスがすべての女性団体を支援しているわけではないように、すべてのLGBT団体がジョージ・ソロスの支援を受けているわけではありません。アメリカならともかくとして日本のLGBTの殆どは「ジョージ・ソロス??誰それ???」となっているでしょう。
たとえジョージ・ソロスが女性団体に投資していようが、その女性団体が女性の権利を訴えることになんの不正もないですし、それはLGBT団体も同じことです。
もっとも、いまのトランスヘイターの皆様はQAnonとの融合が進んでいるので「やっぱりウクライナの背後にはジョージ・ソロスがいたんだな!!」となるかもしれませんが。
ところでこの「LGBTの背後にはジョージ・ソロスが!!」という記事を書いた統一教会の背後にはジョージ・ソロスのライバルであるジム・ロジャーズがいたりします。
はたして資本に踊らされているのは誰なのでしょうか。私には規模が大きすぎてわかりません。
ほんとうに「女性スペースの心配をしているだけであり、トランスを攻撃したいわけではない。」と思っている皆様は、トランスヘイターの中に紛れ込んでいる宗教右翼に注意して、このようなアホな陰謀論に染まらないようにしてほしいですね。
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