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R6.5.17(金/晴)【農薬使用野菜・グリホサート、ネオニコチノイド】

出典:Facebook『小祝政明』さまのシェア投稿

『眞木優』の所感
BLOF理論の更なる、お勉強と実践を継続します。

日本産は“不合格”──4月2日、台湾のメディアは日本から輸入したいちご約472kgとキンカン約102kgの残留農薬が規定値を超えていたとして、すべて廃棄または積み戻しすることを発表した。

 国内でも、2月に福島県産の小松菜が、3月には高知県産のにらが、残留農薬の規定値を大幅に超過していたとして回収されている。さらに昨年12月には、宮城県気仙沼市で基準値の4倍の量の「カビ毒」が混ざった国産小麦を使った給食を食べた子供たちが嘔吐や腹痛を訴える事件が発生している。

 国産食品が安心・安全を標榜するブランドだったのはいまや昔。われわれが気づかぬうちに、警戒すべき“危険食品”になり始めているのだ。【国産食品の不都合な真実・前後編の前編。後編を読む

日本の農薬使用量は世界でトップクラス

 世界各国が食の安全を担保する方向に舵を切っている中で「日本だけが立ち遅れている状態」だと話すのは、『本当は危ない国産食品』の著書があるジャーナリストの奥野修司さんだ。

「いまや欧米をはじめとしたほとんどの国で、残留農薬や添加物の基準を厳格化しています。そのため、無農薬やオーガニック以外の食品は水際検査でストップがかかり、輸出できなくなることが少なくない。

 それゆえ日本で生産されている緑茶など、海外から需要が高い食品は輸出用だけを有機栽培に切り替え、国内向けには依然として農薬を使用し続けているケースが散見されます」

 現在、日本で認可されている農薬は4000種類以上に及び、使用量も世界的にみてトップクラスだという。立命館大学生命科学部教授の久保幹(もとき)さんが解説する。

「主要国で1haあたり10kg以上も農薬を使用しているのは、中国、韓国、日本だけです。アメリカは4kg以下で、ヨーロッパに至ってはもっと少ない。加えて日本は残留農薬の基準値も低い。例えば昆虫の神経伝達を阻害する薬剤『ネオニコチノイド系農薬』をきゅうりに使う場合、EUでは日本の100分の1の残留量しか認められていません」

 諸外国が厳格な基準を設けるのは、健康被害の研究が進み、リスクが明らかになってきたからだ。

「アメリカの小児科学会は2012年に『子供への農薬の暴露は、発達障害や脳腫瘍のリスクを高める』と発表しました。

 実際、OECD主要国において自閉症の有病率は、データのない中国を除けば、農薬使用量の多い日本と韓国がトップ。韓国はその結果を重く受け止め、国策で学校給食で使用する食品をすべてオーガニックに切り替えました」(奥野さん)

 しかし日本では、「因果関係が認められない」として問題視すらされていないと奥野さんは続ける。

「農薬には医薬品のように発売前の臨床試験が義務付けられていないことも、健康被害が取り上げられにくい原因のひとつだといえるでしょう。しかし、農薬が体内に蓄積し、次世代に“受け継がれる”ことはマウス実験で明らかになっています。

 有名なのは『ネオニコチノイド系農薬』の研究です。与えたマウスの記憶力が大幅に落ちたという結果のほか、認知症との相関関係も指摘されている。何より気がかりなのは胎児への影響です。妊娠した母親マウスに飲ませると、1時間後には胎盤を通って胎児の血液に移行しました。

 ネオニコチノイドをはじめとした最近の農薬は分子レベルが小さく、浸透性が高い。洗浄によって落とすことが難しいうえ、体内に細胞レベルで入り込むため、遺伝子や神経細胞に影響を与える可能性が否定できません」

ペットボトル飲料からも検出される残留農薬

 食品ジャーナリストの郡司和夫さんもネオニコチノイドのリスクをこう指摘する。

「北海道大学の研究チームが、市販されている国産39種の茶葉と9種のペットボトルを調査したところ、すべての商品からネオニコチノイドの成分が検出されました。同時に検査したスリランカ産茶葉からは検出されていません。つまりペットボトル飲料として加工・製造される過程を経ても残留農薬として残るほど強い成分だということ。

 もちろん国が指定する基準値よりは下回っていたものの、その値は諸外国よりもはるかに高い。毎日飲むことを考えれば、体に与える影響は計り知れません」

 健康被害と体内に残りやすい特性が危険視され、複数種類あるネオニコチノイド系農薬のうち、EUやフランスでは一部の使用に規制がかけられている。

「しかし、日本では7種類ほど使用できるのが現状であり、新生児や幼児を含むほぼすべての日本人の尿から検出されています。大量のネオニコチノイドを散布した地域では、頭痛や倦怠感など体の不調を訴える声も少なくない。

 また、日本は先進国の中でもがんによる死亡者が圧倒的に多い。農薬が含有する化学物質が体内に蓄積し、遺伝子変異を起こした結果である可能性は大いにあり得ます」(久保さん)

(後編〈世界中で問題視されている農薬が日本で堂々と使われる背景 食品添加物も世界と比較して規制が甘い現実〉に続く)

※女性セブン2024年5月23日号


 4月2日、台湾のメディアは日本から輸入したいちご約472kgとキンカン約102kgの残留農薬が規定値を超えていたとして、すべて廃棄または積み戻しすることを発表した。国内でも、2月に福島県産の小松菜が、3月には高知県産のにらが、残留農薬の規定値を大幅に超過していたとして回収されている。

 現在、日本で認可されている農薬は4000種類以上に及び、使用量も世界的にみてトップクラスだという。国産食品が安心・安全を標榜するブランドだったのはいまや昔。われわれが気づかぬうちに、警戒すべき“危険食品”になり始めているのだ。

農薬が多い作物は病気になりやすい

 世界各国が危険視しているにもかかわらず、日本では漫然と使用されている農薬のひとつとして、『本当は危ない国産食品』の著書があるジャーナリストの奥野修司さんは、除草剤「グリホサート」をあげる。

「アメリカでは健康被害に関する訴訟がいくつも起きており、今年に入ってからも、グリホサートでがんになったと主張する人に対して、企業側に約23億ドルの支払いを命じる評決が出ました。日本では一部の団体が残留基準の見直しを要請しているものの使用規制はありません」

 日本が“寛容”なのは基準値だけに留まらない。立命館大学生命科学部教授の久保幹(もとき)さんが解説する。

「農薬の扱いについても、諸外国よりかなり緩い。例えば塩素系の殺虫剤『クロルピクリン』はアメリカでは扱える人が限られているうえ、防護服に専用のマスクをつけてまくことが義務付けられていますが、日本では現状、厳しい制約なしに使うことができる。それゆえ使用法を誤って救急車で運ばれたり、命を落とすような事故も起きています」(久保さん・以下同)

 農薬まみれの作物は、外からの害にも弱い。

「私たちの調査によって、農作物全体から抗酸化物質である『ファイトケミカル』が減っていることが明らかになっています。

 植物がファイトケミカルを作るのは、害虫などから身を守ることが目的であるため、農薬によって駆逐されれば生成する必要がなくなります。

しかし、ファイトケミカルの少ない農作物は病気になりやすく、収穫後も腐りやすい。給食の国産小麦から基準値を超えたカビ毒が検出されたのも、農薬や化学肥料で育ったことも一因と考えられます」

 農作物をも弱らせ、世界中で問題視されている農薬が、なぜ日本では堂々と使われているのか。

「日本における農業の発展は、農薬を作る化学メーカーのバックアップなしには実現しなかった。官民一体となって成長してきており、切っても切れない関係です。

加えて、いちごやメロンなどにブランド名をつけて出荷するためには、定められた農薬を規定通りに使う必要があるのです。

 加えて日本人は見た目が整った虫のついていない野菜や果物を好む傾向にあり、有機栽培であっても形の悪い農作物には買い手が付きづらい。消費者のニーズに応えるためにも農薬が必要と考える作り手も少なくありません」

 世界と比較して規制が甘いのは食品添加物も同様。食品ジャーナリストの郡司和夫さんが語る。

「インスタント食品や総菜パンなど手軽に手に入る食べ物の多くに、諸外国が“NO”をつきつけた添加物が使われています。

その中でも特に危険視されているのは、保湿剤の『プロピレングリコール』。生麺や餃子の皮などに使われますが、ドイツでは腎臓障害を起こすリスクがあるので使用に規制がかけられています。

 パンのふくらみを増すために利用される『臭素酸カリウム』も、発がん性が指摘され、EUでは使用が禁じられています」(郡司さん・以下同)

 危険な添加物が使われ続ける理由は、日本における添加物対策に「予防的視点」が抜け落ちているためだと郡司さんは指摘する。

「EUでは、リスクがあると明らかになった時点で実際に健康被害が出る前段階であっても禁止しますが、日本では被害がない限り、代替品が見つかるまで使い続ける。

パーム油などに使用される酸化防止剤のBHAも、1982年に名古屋市立大学の実験でラットに発がん性が認められました。

しかし人間への被害が確認できていないことを理由に、いまだに使われています。

 さらにやっかいなのは日本の食品表示では、『香料』『調味料』といった形で、食品添加物の『一括表示』が認められていて、複数の添加物が組み合わされていても個別の名称を表示しなくていい仕組みになっていること。そのため、見抜くことができないケースも少なくありません」

安全な食品を売っている場所で買う

 農作物も加工食品も“国産”が安全を担保するブランドではなくなったいまの日本で、少しでも体にいい食品を手に入れるためにはどう行動すべきか。

「国産食品すべてが危険というわけではありません。無農薬栽培をしている農家や、添加物を使用していないメーカーは数多くある。

心がけるべきは、安全な食品を売っている場所で買うこと。例えば野菜や果物は、商業施設などのマルシェを利用したり、近隣の農家と直接取引したりするといい。生協などでも、農薬や化学肥料の使用を減らした食品を販売しています」

 久保さんは「残留農薬の多い食品から切り替えるべし」とアドバイスする。

「お茶やきゅうりなど、農薬が残りやすいものから、無農薬を選ぶように意識するといい。

また、農薬や化学肥料で育った葉物野菜ほど緑の色が濃く、安全で栄養価が高いものほど色が薄い。見分ける際の一助としてください。

 形が多少いびつでも、農薬にまみれていないものを積極的に選ぶ消費者が増えれば、使用制限へ大きなうねりが起こるかもしれません」(久保さん)

 あなたの選ぶ食品が、未来を変えるかもしれない。



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