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がんばり屋さんのSHEメイトさんへ。日々が愛おしくなる「自分を甘やかす」のススメ


わたしたちを縛る、「こうでなくては」の呪い。本当にそうなの?


ああ、今日もできなかった。

今日はSHEの受講を進めようと思っていたのに。
もっと早く課題を終わらせているはずだったのに。

「自分って、だめだな」

Twitterを開けば、「課題を◯日で仕上げた!」「コンペ提出しました!」「こんなお仕事もらえました!」というツイートが目につく。
ほかのSHEメイトのみんなは、色々なことをこなしていて、すごいな。いいな。やっぱり自分は……。

もっと、がんばらなくちゃ。

こんな風に、自分を責めてしまうことはありませんか。

何かを叶えたい!と想いを持ってSHEに飛び込んだからこそ、「こうでなくてはならない」「これをやらなくてはならない」そんな風に苦しくなる。

がんばり屋さんなあなたなら、きっとSHEに限らず、会社でも、学校でも、家庭でも自分を追い込んでしまっているのではないでしょうか。

がんばらなくちゃいけない。
めっちゃ努力しないといけない。

わたしもそう思ってしまう日がしょっちゅうありますが、その息苦しさに気付いたとき、いつも手に取る本があります。

その本は、夏生さえりさんの『今日は、自分を甘やかす』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2017年)。
「がんばらなきゃ」と気張ってしまう肩をトントンと叩いて、「それってほんとうにそうなの?」と声をかけ、大切なことに気付かせてくれるお守りのような本です。

がんばり方は知っている。でも、がんばらない方法は意外と知らない。

そんなあなたに読んでほしい一冊、『今日は、自分を甘やかす』をご紹介します。


みんな頑張っている(ように見える)。わたしなんて、と苛まれた就活時代


わたしがこの本に出会ったのは、就活をしていたころ。
「インターンに行ってきた!」「面接練習もOB訪問もした!」「内定貰えそう!」
意気揚々と語る同期達と比べて、わたしは全然がんばれていない……。
高い意識を持って就職活動をがんばる同期と自分を比べて、自己嫌悪と劣等感の渦に飲み込まれそうになっていたときでした。

もちろんわたしもがんばっていたし、今になって「彼らはがんばっているように見せるのが上手かっただけだよな」と思えます。

でも、がんばりたいときほど、あでやかに輝いている人が目につくもの。

「みんなの方ががんばっているように見える。わたしはもっとがんばらなきゃいけない。あれも、これもしなきゃ……」と自分の気持ちを追い込んでいました。
さらには同じ時期に辛い恋愛をしていたことも相まって、自己肯定感はどん底。

あまりにも息苦しく、なんのためにがんばっているのか分からなくなったとある日のこと。
わたしはその日あった面接をすべてキャンセルし、ふらりと彷徨いこんだ本屋さんで、この本に出合いました。

「自分を甘やかす」というフレーズのあるタイトルと印象的な青い表紙に惹かれ、気がつけば手に取り、すぐさま近くのカフェへ。
大切に表紙を開き、読み進めていくうちに、拍子抜けしました。

そこに書いてあるのは「休もう」「たまには自分にご褒美を」といった、ありきたりなヒントではなく、

「すべての動作をゆっくりにする」
「アンジェリーナ・ジョリーと比べない」
「世界に自分で色を塗る」
「ポジティブな言葉で悪口を言う」
「『いいことが起こるday』をあらかじめ設ける」
「小説の主人公になりきる」……

もっとたのしく、愉快で、それでいて本質的なものだったのです。


48の「日々を愛するコツ」が詰まった本


著者の夏生さえりさんは、フリーライター。
新卒で出版社に入社し、その後転職先の会社で編集のお仕事をする中で、発信していた妄想ツイートで話題の人となりました。
それをきっかけに、個人のライティングのお仕事が増え、2016年に独立されました。
現在は子育てをしながら、エッセイ・脚本・コピーなど、多岐にわたる言葉のお仕事をされています。

輝かしく見えるその人生ですが、彼女もまた、がんばりすぎによる挫折を経験した一人です。

“「まだがんばれる」「こんなことでめげるわけにはいかない」「わたしは平気」。こんなふうに唱えて心の警告を無視し続けて、ある日ぷっつり糸が切れたようにがんばれなくなってしまったのです。"

(夏生さえり『今日は、自分を甘やかす』あとがきより)

1年間大学を休学し、引きこもりをするほどのガス欠になったさえりさん。
その経験があるからこそ、さえりさんが紡ぎ出す言葉たちは本当にやさしく、ほっと心の糸がゆるみます。

そして、妄想ツイートでも定評のある豊かな想像力が、やわらかでたのしい世界にわたしたちを連れていってくれるのです。

サブタイトルにも記されている「いつもの毎日をちょっと愛せるようになる48のコツ」は、5つの章に分けて紹介されています。

1.どうにもダメな日は、だれにだってやってくる
2.自分をゆるめる 思い込みからときはなつ
3.たのしいことからはじめていいんだ ほがらかに生きていいんだ
4.自分にやさしく 人にやさしく
5.愛すべき日常における 小さなしあわせの見つけ方

自分に優しくしてあげたいときの対処法・人との関わり方・世界への目の向け方などがテーマごとに、ユーモアたっぷりの方法で紹介されており、綴られている言葉たちは、やさしく寄り添うように心に染み入ります。

わたしは寝る前に1日1ページずつ、大切に読み進めました。


大きく変わったことはない、でも世界の見え方が変わりはじめた


この本に出合ってからのわたしはというと……。

よい就職先に内定を貰った!……わけでもなく、
素敵な恋人に出会って超ハッピーになりました!……でもなく。
ドラマの大逆転のような大きな変化はありません。

でも、この本に書いてあることを少しずつ日常に取り入れることで、心の風通しが良くなり、世界が愛おしいと思えるようになりました。
まるで心がストレッチをした後かのように、ほぐれて、のびやかにとんでいけそうな感覚。

具体的には、2つの変化がありました。

ひとつは、「わたしは、これでよい」と思えるようになったこと。
もうひとつは、世界を見る目がやさしくなり、楽しめるようになったこと。

結局、第一志望ではない企業に就職することになったけれど、その会社で働く日々を楽しむことができたのは、この本に出合えたからだなと思います。

もちろん、それからいつも穏やかな状態でい続けられているわけではありません。
今も根拠のない「がんばらなきゃ」に追い込まれて苦しくなる日も、人を見て羨んだり焦ったりすることもあります。

でも、あの頃と違うのは、「またここに戻ってこられる」ということ。

大切なことが何なのか、自分の荷物を降ろしたときの感覚を知っているから、戻ってこられるのです。


肩の力を抜けば、のびのび超えていける


今、少し深呼吸してみてください。
その呼吸が、もう少し軽くなるとしたら。
見えている世界がもう少し明るくなるとしたら。

想像してみてください。
たどり着きたいゴールに向かって歩む道のりを、景色を楽しみ、自分を愛おしいと思いながら軽やかに進めること。

そんな風になったらいいな、と思った人は、ぜひこの本を読んでみてください。

読み方は自由です。
一気に読んでもいいし、毎晩1ページずつ読み進めるのもいい。
パッと開いたページを味わって読むのもいいし、お気に入りのページを音読するのもきっと楽しい。
その中で見つけたお守りになる言葉たちは、きっとあなたの心を支え続けてくれることと思います。

この本を開いたときから、あなたの世界はちょっとだけやさしく、やわらかく、明るくなることでしょう。


“がんばりすぎなみんなへ。そんなに気張るな。
ゆっくり休んでほがらかに生きよう。
きっとそれがしあわせを連れてきてくれる。”

(夏生さえり『今日は、自分を甘やかす』はじめにより)



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この文章は、SHElikes ライティング入門コースLESSON2で提出した課題を、加筆修正したものです。
テーマは「好きな本をおすすめしてください」、
想定読者は「SHEメイトさん」ということで、
これまで出会ったたくさんのSHEメイトさんのお顔を想像しながら書きました。

一緒に暮らす妹に、「ぼろぼろすぎて単語帳かと思ったわ」と笑われるほど読み込んだ大切な本。
自分の思い入れの強さと、SHEメイトさんにうまく届けたい気持ちのバランスを取るのが難しく、書き上げるまでに大変時間がかかってしまいましたが、自分の大きな力になったと思います。

添削してくださったTAの山根 榛夏さん、ありがとうございました!
嬉しいお言葉に、じわじわと溢れ出るような勇気が湧いてきて、同時にとても勉強になりました。

「今日は、自分を甘やかす」
本当におすすめなのでみなさんもぜひ手にとって読んでみてくださいね。


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