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技術派遣は専門性の高い仕事ができるのか

はじめに


はじめに結論を述べると、
技術派遣は専門性の高い仕事ができない人もいれば、できる人もいる。
こうやって平然と文書にしてしまうと当たり前のようだが、派遣元の採用担当者が言う技術派遣で専門性の高い業務に従事できると言った謳い文句を信じて技術派遣業界に入ってくる方がいます。
その結果として、専門性の高い仕事ができなくて派遣元や技術派遣そのものに不満が出てしまう結果になるのではと考えています。

そもそも専門性の高い仕事とはどういう仕事のことを言うのかを冷静に考えてみました。

それでは、”専門性の高い仕事とは何か”、専門性の高い仕事が”できない人”と”できる人”のそれぞれについて詳しく述べていきます。

専門性の高い仕事とは何か


専門性の高い仕事とは何か。私の結論としては「人による」です。

本来は何らかの業務を基準におきそれに対して専門性が高い低いを判断するべきでしょう。
しかし今回考察する状況は、就職活動や転職活動など各個人の経験、頭の良さ、人間力、仕事力により専門性のレベルが変わってくるでしょう。
特に専門性の低い仕事の定義付けが難しいと思います。

例えば私の専門分野である機械系技術者の業務で考えてみます。
製品設計の業務のなかでその製品に衝撃が掛かった時に折れたり曲がったりしないかを確認するためにCAEによる強度解析を行うことがあります。

ある片持ち梁先端に梁が折れない程度の負荷が掛かっており、この時の根本の応力をCAEにより算出する業務があったとします。
これは、専門性が高いでしょうか、低いでしょうか。

機械系の学問を学んでこなかった人、機械系の学問を学んできたがCAEにほとんど触れてこなかった人には専門性の高い業務に感じるかもしれません。

しかし、機械設計で強度検討を経験する人からすると非常に専門性の低い業務と感じるでしょう。
片持ち梁の根本の応力くらいならCADソフトにオプションでついている解析ツールを使用すれば、誰でも簡単に算出できます。技術者によっては、このくらいの計算は手計算でやれるだろうと言うかもしれません。CAEの専門家に依頼するまでもない業務です。

誤解がないように述べておきますが、CAE解析が簡単と言っているわけではありません。大手メーカの多くにはCAEの専門部署があり高学歴の物凄く頭が良い人たちが実現象をCAEで再現し、机上であらゆる事象を予測することで開発期間の短縮に貢献しています。こういう業務は専門性が高いと言えるでしょう。

ここまで記載した通り、専門性の高さは個人の力量によるものなので定義付けが難しいですが、専門性の高い仕事ができない人とできる人の明確な違いもあると思いますので、次に述べていきます。

専門性の高い仕事ができない人


専門性の高い仕事ができない人は、今から飛び込もうとしている技術派遣の専門分野の勉強をしてこなかった人、または勉強が身に付かなかった人たちです。

私が新卒で入社して一発目の派遣先の業務は、実験業務でした。
業務の流れとしては、
試験用サンプルの試験前測定⇒試験治具に組付け⇒試験機に組付け⇒試験⇒試験機からサンプル取り外し⇒試験後測定⇒分解調査⇒報告書作成
で業務をこなします。

この業務、誰でもできます。2年目以降は、同じ派遣元の後輩が毎年入ってきて私が後輩たちに指導していたのですが、その時には中学生でも出来る仕事だと伝えていました。ただの作業で、報告書も報告する内容は毎回同じようなことしか書かないので別の人が書いた報告書をちょっと数値を変えれば出来上がってしまうのです。

私にはこの派遣先に同じ派遣元の同期が数人いました。
その中の一人は、この派遣先が居心地が良く機械いじりが好きだったこともあり、10年以上この派遣先にお世話になっていました。
途中リーマンショックで派遣が終了になるも、客先の業績が回復し技術派遣の受入を再開した後もご指名があり、同じ派遣先に技術派遣として戻っていきました。
その結果、その技術派遣の技術者は、35歳くらいで実験業務の中でもほぼ単純作業の業務しかできませんでした。昇格昇給のため単価を上げる必要があるのでもっとレベルの高い業務の派遣先に配属されましたが、設計未経験で3D-CADも使いこなせない中で言われた業務すらできずにクレームとなり、本人もつらくなって派遣会社を辞めてしまいました。

これは、新卒で技術派遣となった人がよく陥る状況です。
簡単な業務で単価がそこそこ高いところにいると、ある程度の給料まではあがるのですが、そこそこ高い単価のまま他の派遣先を探すと急にレベルの高い、専門性の高い業務しかなくなって、専門性の高い業務にありつけても、ついていけずにやめてしまいます。

また、派遣元によっては、そもそも専門性の高い業務ができる派遣先がない可能性もあるので注意が必要です。

専門性の高い仕事ができる人


専門性の高い仕事ができない人にならないように本来は、2~3年したら次の業務レベルの派遣先に移動して単価とスキルを上げるというのを繰り返していき専門性も給料も上げていくべきなのです。
または、同一派遣先で丁稚奉公から初めて少しずつ専門性の高い業務に移行していくのも良いです。ただ、これは派遣先で自分が何をやりたいか自己アピールが必要となるため、大変でうまくいくとも限らないです。
私のおススメはやはり2~3年くらいで派遣先を変えて専門性を上げていくことをおススメしますし、そういう成長のし方をさせてくれる派遣会社を選ぶべきでしょう。
技術派遣で専門性の高い仕事ができる人というのは、上記のような新卒の頃からコツコツとスキルとキャリアを高めてきた人が一例です。

もう一つのパターンとしては、技術派遣会社に入社した時から実力がある人です。
新卒の人だと、国立大学工学部卒、または国立大学工学部の院卒の人がこれにあたる人が多いです。頭が良くコミュ力もあるのにメーカに行かなかった変り者や激烈頭が良いけど就活の面接でメーカを落とされて技術派遣会社に流れてくる人がたまにいるんです。
こういう人たちはかなりの確率で数年でメーカに転職したりします。
このような人たちを参考にしてはいけません。我々のような新卒で技術派遣会社を選んだ大多数の人は凡人で元々メーカに入る実力がなかったことを忘れてはいけません。最初は易しい専門性の低い仕事から始めて、数年かけて専門性の高い仕事ができるようになれば良いのかなと思います。

キャリア(中途)採用の人については、当然専門性があって技術派遣会社に入っていると思いますので、論じるのはやめておきます。
多少の技術系の経歴で専門性もそんなに高くなく若くして技術派遣に転職してきた方は、新人のつもりになってキャリアを積んでいくしかないでしょう。

最後に
技術派遣は専門性の高い仕事ができるのかについては以上です。
工学系の就職活動や転職活動している方たちの参考になればと思い今回記事を書かせて頂きました。
技術派遣業界が気になっている方や今まさにこの業界に飛び込んで苦しんでいる方たちにも有意義な記事を発信し情報共有することで少しでも誰かの役に立てればと思っています。

知りたいことがあれば記事にしますので、コメントお待ちしております。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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