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技術者派遣は誰でも稼ぐことができるのか

はじめに


結論を最初に述べます。

NO!

です。
誰でも稼げるわけではありません。
技術者派遣のことや派遣会社の方針を勘違いして入社したり、そもそも仕事についていけなかったりと理由はさまざまですが、入社2~3年で辞めてしまう方を多くみてきました。

振り返ってみると私の派遣元の話ではあるが、技術者派遣をやめて行った方や技術者派遣(派遣元)に不満を言っていた方の不満の内容として、

・思っていた仕事ができなかった
・派遣先の地域を考慮してくれなかった
・派遣先を変えたいと営業に伝えたが何も変わらなかった
・休みの日に研修に出ても手当が出ない
・業務について行けずに心が折れた
・彼女のお父さんが転職しないと結婚させてくれない

などが多かったと思います。

思っていた仕事ができなかった


これは私も経験があります。
新卒として技術系派遣会社に入社した1社目の業務が実験業務でした。
私は設計が出来ると言われたので入社したのであって、実験業務なんて現場の仕事をしたかったわけではなかったのです。
私はわりと思ったことを言える正確なので、営業担当には「設計がやりたかったし設計がやれるというからこの会社に入ったのになぜ実験業務なのか、設計出来るところに変えてください」と言ったことがあります。
その時の営業担当の返しは「何もできないのにいきなり設計なんてできるわけないだろう、実力を付けてから言ってこい」でした。
これはカチンと来ました。確かに何の実績もない新人なので実績を積もうと頑張って、入社4年くらいで工程設計(生産技術)ができる会社に変更してもらいました。
最初は、馬鹿にしていた実験業務ですが、学ぶことは多くありました。
各種測定器を自分で使えるようになったことで、設計で製品の寸法保証をどうするか議論したり説明したりする時に説得力が増します。設計で自分で設計した試作品のちょっとした評価も自分でやっちゃえます。

思っていた仕事ができなかったと思われるのは、派遣会社の採用担当の責任が大きいと思っています。
「最初からやりたいことが出来るわけではなく、例えば機械系技術者なら最初からCADが使える業務に就く人もいれば、実験などの現場に近いところから業務が始まる人もいる。実験から始めた人でも最初からCADを始めた人よりもモノに触る機会が多いため設計業務の派遣先になった時は有利になる場合がある。」
ということを伝えるべきでしょう。

一方で、高専で3D CADの経験がなかった私にとって機械設計業務に移行するのは相当苦労しました。中堅〜ベテランの技術者はCADを使えることと設計ができることは違うと言う方が多いですが、機械設計の1歩目はやはりCADを使えることです。このあたりの話はまた別の記事で述べたいと思います。

派遣先の地域を考慮してくれなかった


これは、残念な話です。
これも採用担当の責任は大きいです。
例えば私の派遣元は全国に拠点があり所属拠点で派遣先が決まらなかったら全国対応です。
私が入社した頃は、面接で「うちの会社は全国どこに行くか分からないけど大丈夫?」と聞かれて合意して入社したので違和感はなかったのですが、今の派遣元は地域を考慮するなんて言っています。
派遣先が多くある地域ならまだしも、派遣先がない地域がほとんどでしょう。考慮すると言われたら期待もするでしょう。
いま正社員雇用の技術派遣の道を考えている方で、地域を考慮してほしい方は、その地域に派遣先がありそうか採用担当の人に確認をしてください。
派遣会社によって得意不得意があるので、複数の派遣会社に聞いた方が良いでしょう。
とは言え、稼ぎたかったら全国対応を覚悟しないとダメでしょう。というのが私の考えです。世の中そんなにあまくありません。

派遣先を変えたいと営業に伝えたが何も変わらなかった

営業さんにキャリアアップのために派遣先を変えてほしいと相談したけど1年たっても何も変わらないという理由で転職していった後輩がいました。結果としてメーカに正社員の技術者として転職できたので本当に良かったと思っています。
ただ、優秀な人材であった彼を手放したのは派遣会社としては、痛手だったと思います。私は拠点長に彼のためになぜ動かなかったのか聞いてみました。
拠点長は、彼が転職先が決定して辞めることを決めてから、彼が派遣先を変更したいと営業に言っていたことを知ったそうで、営業担当者にはそういう大事なことはしっかりと報告し行動に移すように伝えたと聞きました。
単価3,800円(業界平均)のエンジニアで年間700万超の売り上げを上げることを考えれば、一人の技術者がいなくなるとこの700万が売上げから飛ぶので拠点責任者としては心中穏やかではないでしょう。

自分の思い通りに営業が動いてくれるかは、営業の技量や自信の実力にもよると思います。
私の派遣元はわりと技術者の横のつながりを大事にしており、私自身が後輩から相談されたり、話を聞いて気になったことがあれば相談者に断りを入れたうえで営業に話をすることもあります。
営業が動いてくれなければ先輩エンジニアに相談して営業に話しをしてもらうのも良いでしょう。

休みの日に研修に出ても手当が出ない


私の会社では昇格昇給の基準の1つに自己啓発があります。自己啓発には、同じ技術者が講師をする社内研修、派遣元のeラーニング、通信教育、資格取得、etc いろいろあります。
ただ、派遣元としては技術者が講師をする社内研修をやたら押してきます。外部的に研修が多いと言いたいのが見え見えです。そして、人事制度を理解していない若手や転職してきた人たちがそれを間に受けて、休みの日に研修を強制されたのに手当が出ないと不満がつのってしまいます。
私は、自社の技術者が講師をやる社内研修はほとんどを出ません。営業に出ろと言われても自分が出たくなければ出ません。休日はやりたいことがたくさんあります。自分のためになるか分からない研修に出る意味が分かりません。
研修案内がきて知らない人が講師の場合は、どんなエンジニアか営業に確認し興味が湧いたら出るようにしています。
この業界で生き残っていくには自己啓発は必須です。ただ、役に立たないと意味がありません。私の自己啓発は主に通信教育や書籍による勉強のレポート提出です。
これについても先輩社員に相談し、どう立ち居振る舞いをすれば良いかアドバイスをもらうのが良いでしょう。ただ、気を付けなければいけないのは、先輩社員の中には何を勘違いしたのか社内研修に出ることが目的になってしまっている人がいるので、相談相手を間違えないようにしましょう。

業務について行けずに心が折れた


少なくても私の派遣元から行く派遣先は開発部署が主です。
開発とは設計や試験、評価を受け持つ部署で、いわゆる理系の集まりです。
IT系の技術者の派遣先にはあまり詳しくありませんが、機械、電気系の派遣先は大手や大手系列のメーカがほとんどで、そこで働いている技術系社員の30代前半の大多数が国立大卒、大手メーカだと院卒修士がほとんどです。
そんな中で新卒で突然設計部署に配属されても派遣の使い方に慣れていない派遣先企業だと、こんな事も出来ないのかとクレームになってしまいます。業務に対する要求も業務を依頼した派遣先の上司にとっては簡単なことでも、派遣社員にとっては難しいことかもしれません。

なぜ派遣社員にとっては難しいのか。それは頭が良くないからです。
勉強ができてコミュ力があって即戦力になるような学生はメーカに就職します。派遣会社に新卒で入社する方達のほとんどは失礼な言い方かもしれませんが、メーカに入れないくらいの頭とコミュ力の持ち主がほとんどです。
指示されたことが理解できずに思い込みで業務を進めて上司に注意されて、自分の頭の悪さを棚に上げて陰で文句ばかり言うような人がたまにいます。

自信の実力を冷静に考え、派遣先についていけないのであれば営業に相談して変えてもらうことも大事かもしれません。ただ、営業担当も人間です。努力しない人間より努力した人間を助けたくなるものです。
派遣先でついていけないと感じた時に、自己啓発でどれだけ家に帰って勉強したか、そしてそれを営業に伝えることが大切です。
専門書は読んでも理解出来ないことがたくさんあります。そんな時は派遣先の頭の良い人に聞いてみてください。業務に絡めた考え方で解説してくれて良い方向に進むかもしれません。

彼女のお父さんが転職しないと結婚させてくれない


実際これを理由に派遣元を辞めた方がいました。
まだまだ誤解の多い業界です。
社員と言っても派遣についていない期間は給料が半分しかもらえないだろうとか、ボーナスがないだろうとか、3年で仕事が変わるだろうとか、組合もないだろうとか、いろんな派遣の形態の悪いところばかりが表に出ているのはとても残念です。このあたりの事は別の記事で説明するようにします。

ともかく派遣についていない時に給料が減らされるような派遣会社は辞めてしまいましょう。派遣についていない期間でも基本給は保証されている派遣会社はあります。私の派遣元は残業ゼロの場合、派遣に出ていても派遣に出ていなくても基本給は保証されているので月給は変わらないです。売上を考えると賞与には大きく差が出ますが、これは仕方のないことでしょう。
また、経験者は貴重なのですぐに別の派遣会社に転職できるでしょう。
今はメーカでも機械系の技術者が足りていないので、メーカへの転職も可能かもしれません。

誤解されていることは残念ですが、人それぞれの人生ですから結婚のために転職するのは仕方ないことかと思います。

最後に

誰でも簡単に稼げる、誰でも簡単に専門性の高い仕事ができる、なんてうまい話しはありません。
ここまで述べたことを就職活動や転職活動している方達の参考になればと思い今回記事を書かせて頂きました。
技術派遣業界を気になっている方や今まさにこの業界に飛び込んで苦しんでいる方達にも有意義な記事を発信し情報共有することで少しでも誰かの役に立てればと思っています。

知りたいことがあれば記事にしますので、コメントお待ちしております。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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