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【ファジサポ日誌】93.ミニプレビュー~第2節 いわきFCvsファジアーノ岡山~

遅ればせながら、開幕戦の水戸-いわきをじっくり視聴。予習をしていました。気になった点をXにツリーで残そうと思いましたが、長くなりそうなのでこちら(note)にメモを残すことにしました。

なお、今シーズンもプレビューは原則行いません。今回はたまたま筆者のタイミングが合ったとお考えください。

早速ですが、いわきの開幕戦から気になったポイントを4点記します。

1.リトリート型の守り

試合前の田村監督のコメントでは「敵陣でサッカーをしたい」という趣旨のコメントもあり、また今季のチーム目標得点を昨季から+20の65得点に据えていることからも、ハイプレス型のボール奪取も予想されましたが、この水戸との開幕戦では、特に前半、同様にハイプレスを志向する水戸に押し込まれ、最終ラインの設定は非常に低くなりました。両WBのみならずボランチの(40)下田栄祐も最終ラインに吸収される最終ライン6枚のような形で守る時間が長くなりました。

J2第1節 いわき守備時(いわきの守備ブロック)

いわきと水戸のねらいは互いに「ハイプレス&ショートカウンター」と「背後狙い」と似たような感じでしたので、昨年からの継続性により水戸が前半から優位に立ったと筆者は解釈しました。
いわきとしては、自陣でのサッカーを余儀なくされた側面はあったものの、水戸陣内での時間が少ないことに対するストレスを感じさせる訳でもなく、いわゆる「リトリート」を許容しているようにも映りました。

前半終了時のスタッツでは水戸の平均ボール奪取位置は何とハーフウェイ付近の44.7m、一方いわきのボール奪取ゾーンは84%がDT(ディフェンシブサード)という非常に極端な傾向を示していたのです。

仮にいわきが「リトリート」を許容していたならば、その理由は自陣でマイボールにすれば、一気に敵陣に走り込めるスピードと走力を各選手が備えているからと考えられます。

2.(15)加瀬直輝が目立った理由

そのスピードと走力をこの試合で最も体現していたのが、この試合を視た方の中でも評価が高かったRWB(15)加瀬直輝のドリブルによる持ち運びです。
明日の岡山戦でも(15)加瀬が要注意人物となることは間違いないと思いますが、この日の活躍の要因には、水戸の守備のやり方も関係していたと感じました。
それでは、圧巻でした8分6秒の右サイドからのいわきの崩しを振り返ります。

J2第1節 水戸-いわき 8分6秒からのいわきの崩し

いわきのRCB(19)大西悠介は国士館大卒のルーキーで本職はボランチの選手です。流経大柏では10番も背負ったテクニシャンですが、おそらくCBの経験はそこまでなかったものと思われます。
序盤から水戸はこの大西を明らかに狙っている様子でした。

2トップのような(1トップ&1OMF)関係性で動いていた水戸(9)安藤瑞季と(8)落合陸は、いわきボランチを消しながら、いわきの中央(3)照山颯人とフィードに定評がある(22)生駒仁を中心にハイプレスを仕掛けます。
いわきのCBとは2対3の関係になり、1枚余る(19)大西が自然とビルドアップの起点になります。

ここに水戸LSH(13)野瀬龍生が猛プレスを掛けるのですが、この時に野瀬が一列上がるため、いわき(15)加瀬への対応にはLSB(3)大崎航詩やCH(88)長井一真がスライドする必要があるのです。

(13)野瀬のプレスの動きは非常に素早く、この8分6秒の場面では(3)大崎や(88)長井が(13)野瀬のスイッチに間に合っていません。これにより(15)加瀬が水戸の守備網を容易に剥がし、ドリブルで独走することが出来たのです。

前半はこうした水戸の左サイドへの誘導と、いわきの右からのビルドアップの攻防が激しく展開されました。

3.怖いのは逆サイドへの展開

そしてこの8分6秒からの(15)加瀬の攻め上がりの場面でも現れていますが、いわきはゴール前のクロスを逆サイドまで振って中へ折り返すという形が多かったように思います。
これも前述しましたように、味方の敵陣侵入が非常に早いからといえます。
この場面ではLSH(14)山口大輝が折り返し、CF(10)有馬幸太郎がシュートに持ち込みました。水戸の(9)安藤と比べると(10)有馬はポジションをキープしている印象が強かったのですが、おそらくこのボックス内での仕事に集中させるためではないかと推察します。

これは逆サイドでも同様の傾向があり、右で作って左へ、左で作って右へという左右に振る展開は、横幅を圧縮しているっぽい岡山としてはなおさら注意したいところです。

一方、オープンになる後半途中までは中央を使った攻撃はほとんどなく、前述の(40)下田もほとんど目立っていませんでした(途中交代)。

4.(19)大西のビルドアップ

話を(19)大西のビルドアップに戻しますと、この試合の決勝点25分(9)安藤のPK獲得は(19)大西がパスの出し所がなくGK(31)鹿野修平にボールが戻されたことがきっかけとなりました。
明日の試合で再び(19)大西がCBで起用されるなら、どこまでポジションに慣れているかが鍵になりそうです。

5.違いをつくれる(7)西川潤

ある予想記事に今年のいわきは、フィジカルに課題を持つ選手が鍛えるために移籍しているので、ある意味いわきっぽくない選手がいると評されていました。その1人がFW(7)西川潤です。
この試合では64分に(40)下田に代わって登場。LWB(8)嵯峨理久とのパス交換からボックス内に侵入、ループを狙うなど、それまでいわきの他の選手が見せていなかったアイデアを披露します。
(7)西川が入ってからいわきも中央を使え始めたという感じがしましたので、交代選手の中では最も警戒したい選手です。

5.まとめ

以上(1)~(4)を踏まえまして、明日のいわき戦のポイントをまとめますと、いわきの右サイドが活性化するか否かはRCBに(19)大西を起用してくるかどうか、またその(19)大西のビルドアップのデキがポイントになりそうです。水戸がSHを上げてプレスに走らせたのに対して、岡山は3トップで挑みます。つまり、いわきが仮に明日も3CBで来るなら、岡山は同数でプレスを掛けることができます。
開幕戦と同じ配置ならば、(19)大西にプレッシャーを掛けるのは(19)岩渕弘人の役目になりそうですね。
そして岡山の守備面では逆サイドのスペースをどの程度使われるのか?
これも大きな焦点になると筆者は予想します。

なかなか見どころの多い試合になりそうです。

唐突なプレビューでしたが、お読みいただきありがとうございました。

【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
地元のサッカー好き社会保険労務士
日常に追われる日々を送っている。

JFL時代2008シーズンからのファジアーノ岡山サポ。
得点で喜び、失点で悲しむ、単純明快なサポーターであったが、ある日「ボランチが落ちてくる」の意味が分からなかったことをきっかけに戦術に興味を持ちだす。

2018シーズン後半戦の得点力不足は自身にとっても「修行」であったが、この頃の観戦経験が現在のサッカー観に繋がっている。
レビュアー3年目に突入。今年こそ歓喜の場を描きたい。

鉄道旅(独り乗り鉄)をこよなく愛する叙情派。

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