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【ファジサポ日誌】88.J2の頂へ「第2章」始動~ファジアーノ岡山新体制発表より~

令和6年1月13日土曜日。
昨日はファジアーノ岡山の新体制発表会の日でした。
今年は既にチームは始動済、各選手の背番号も発表され、ユニフォームの販売も始まっています。

近年はチームに関わるすべてのことが新体制発表に併せて始まっていましたので、例年とは少々異なるシーズンスタートです。
今年の新体制発表会は久々のサポーター来場スタイルで行われました。
本格的にコロナを脱し、成長期へと向かっていくためのクラブ側の決意ともとれそうです。サポーターとの一体感醸成のためにも良い試みであったと思います。

筆者は昨日午前中は仕事があり、その後用事で発表会場のイオンモール(未来ホール)付近にいましたので、発表会に参加されるらしいユニやグッズを身につけたサポーターの姿も目にしていました。発表会自体はyoutube配信にて視聴しました。

今年は自分自身の中でテーマを持って発表会をみました。

そのひとつが「新スタジアム」に関すること、そしてもうひとつが今シーズンのサッカーに関することです。
この2点に更に発表会で気になった点を踏まえて今回の記事にまとめようと思いましたが、「新スタジアム」に関しては「今年仕掛けていく」というコメントに止まったことから、次回の記事で独自の観点からまとめてみたいと思います。

ということで、今回は新体制発表から浮き彫りになった今シーズンのファジアーノ岡山のサッカーの中身について触れていきます。

一昨年3位から昨年は10位と大幅に成績を落としてしまったファジアーノ岡山ですが、今年は「雉の再飛翔」の年となるのでしょうか?

1.全体目標

・J2の頂へ⇒J2優勝
・勝点76⇒優勝に必要な勝点は試合数×2(38試合×2)
・J1昇格⇒自動昇格でもプレーオフでも、何がなんでも。

昨シーズンの新体制発表会ではかなり細部にわたる強化方針等の説明がありましたが、今シーズンは非常にシンプルな内容であったと思います。
昨シーズンも掲げたJ2優勝の目標に再チャレンジする。再チャレンジにあたり、昨シーズンの反省を踏まえた編成を行ったという内容でした。

ではJ2リーグ他クラブの編成も踏まえて、現時点で岡山が圧倒的な優勝候補かというと、そこまでとはいえないというのが筆者の見解なのですが、だからこそチャレンジする意義がありますし、大多数の試合をねらいどおりにしっかり戦えれば、プレーオフ圏内には十分入ってくる戦力であると考えています。

2.選手編成について

ファジアーノ岡山2023~2024選手動向

まずは全体的な編成について、おさらいも含めてみていきます。
2023シーズンは「実力ある若手の勢い」で頂へ昇り詰めたいシーズンでしたが、若さの悪い面、例えば試合運び等の面で経験不足を露呈し、また一体感に欠く場面も散見される等、若手の良さを引き出すマネジメントも不足していました。
この点に加え、レギュラークラスに怪我人、コンディションが整わない選手がシーズンを通して発生した点も痛かったといえます。

こうした反省を踏まえて、若手のレンタル選手の半分が退団、また稼働率が低いベテラン選手の多くが退団しました。

そして新たに加入したのが、J1昇格等の経験が豊富な選手です。
新加入選手のうち、GK(49)スベンド・ブローダーセン、DF(18)田上大地、MF(7)竹内涼、MF(24)藤田息吹、FW(8)ガブリエル・シャビエルにはJ1昇格経験があります。
またMF(19)岩渕弘人はいわきFCでJ2昇格を経験、新人ではFW(11)太田龍之介も先日のインカレ優勝など、J1昇格という点以外においても「勝利」経験が豊富な選手が集まりました。

もう一点の課題である稼働率の向上という点については、補強状況をみる限りでは改善とまでは言い切れない印象です。
上述しました経験豊富な選手たちも、昨シーズンは前所属クラブで出番を失っていた選手もいますし、過去に怪我による長期離脱を強いられた選手もいます。

一方で、FW(9)グレイソンのように昨シーズンK2リーグで34試合に出場した選手を前線に確保できた点は大きく、FW(99)ルカオも含めて外国籍選手全員がトレーニング初日から参加出来ている点は好材料です。
報道によりますと、現在怪我人は2人とのことですので、このまま各選手のコンディションアップに期待していますし、出来るだけ怪我人を出さずに開幕を迎えたいものです。

仮に昨シーズンのように、シーズン半分近くを怪我で棒に振る選手が出てしまっても、今シーズンは全選手がスタメンに入れそうな実力を持っていますので、編成全体では、各試合のメンバーレベルに変動なく戦える戦力は整えられたのではないか?と感じています。

3.2024シーズン「岡山スタイル」の発展

さてここからは、より発表内容とリンクしていきます。

(1)「負けないチーム」から「勝つチーム」への転換

2022年 3位 勝点72 20勝12分10敗
2023年10位 勝点58 13勝19分10敗

2022シーズンと2023シーズンでは、成績に大きな開きがあるものの、共に10敗しかしていないという点から「負けないチーム」を構築出来ているとクラブは評価しています。
順位に開きが出た差はやはり引き分けの多さということで、この19分を勝利に転換することが、今シーズンの具体的な目標のひとつになるのでしょう。

そこで昨シーズンの19分の内容をみますと、先制された試合が7試合追いつかれた試合が8試合あります。ちなみに、この両要素が同時に発生したのが(先制された後、途中で逆転したが、再び追いつかれた試合)は1試合で、これが第39節のアウェイ山口戦でした。

「追いつかれた試合」を減らす、リードを守る試合運びが出来るようになれば、昨年の成績に換算すると、勝点2×8試合=勝点16を上積めた計算となります。昨年の勝点58に16を加えると74。
自動昇格圏内2位ジュビロ磐田の75には届きませんが、やはり十分上位争いが出来たという計算にはなります。
更に先制される試合を減らせば、益々引き分けを勝利に転換する可能性は高まります。「先制される試合を減らす」=「先制する試合を増やす」ことです。

つまり、2024シーズンは「先行逃げ切り」のゲームを増やすことが必要となるのです。木山監督が述べていました「力強く勝つ」のイメージを推し量るなら、「何とか勝つ」のではなく「盤石に勝つ」ことを指すのかもしれません。試合終了間際の劇的なゴールで勝つ試合もサポーターとしては魅力的ですが、もっと安定した勝ち方を求める、先行逃げ切り型の展開をより意識したチームづくりを行うのではないかと想像しています。

(2)今シーズンのサッカーの原点はアノ試合?

「先行逃げ切り」型のチームをつくるためには、早い時間帯での先制点が必要です。早い時間に先制する為にも試合序盤からボールを握って、チャンスを増やし決定機を増やさなくてはなりません。新体制発表では近年の昇格クラブの傾向としてのボール保持について触れられていましたが、具体的には「先行逃げ切り型」のゲームプランを遂行するためにボールを保持することが必要といえるのです。

そこで筆者が注目しましたのが、新体制発表で「前からボールを奪う」ことについて改めて言及されていた点です。

J2上位6チームと岡山のボール奪取順位・敵陣ポゼッション数値
~Football labより引用~

これは以前のレビューで用いた図なのですが、昨シーズンも岡山はボール奪取の数値自体は悪くはないのです。
一方で上位クラブと比べると、敵陣でのポゼッション数値が低くなっています。
つまりボールを奪う位置を高くする、「前から奪う」ことによって敵陣でもボールを握るサッカーを志向してくるのではないかと筆者は予想します。

昨シーズンは、FWの主軸であったチアゴ・アウベス、坂本一彩、櫻川ソロモンの3選手ともプレスの強度・頻度共に十分ではなかったと思います。
逆に前線からのプレスが売りの永井龍はシーズンを通して故障に苦しみました。このため、本来MFのステファン・ムークを2トップの一角で起用していました。

今シーズンは(11)太田、(9)グレイソン、(19)岩渕、(29)齋藤恵太とプレスについて計算ができる選手が多く、また後方にも判断力とボールキープ力に長けた中盤が控えることから、相手陣内でのポゼッション数値は上がってくるものと予想します。

上の表で述べますなら、数値60台には乗せたいところです。
そうなりますと、今シーズンの岡山が目指すサッカーはあのチームに非常に似てくるイメージが湧きあがります。

そうです。ジェフ千葉です。

振り返りますと、昨シーズン自動昇格の可能性が消え、目標をプレーオフに切り替えた際に「千葉にリベンジ」との言葉が木山監督から発せられていたと記憶していますし、各選手が昨シーズンを振り返った際にもこの千葉戦の悔しさが滲み出ていたと思います。

千葉が今進めているサッカーがインテンシティの高さという部分で、今のサッカーの代名詞になっているという点から、自然とこうした形に近づいていくのかもしれませんが、やはりあの0ー5で大敗を喫したホーム千葉戦が「リニューアル木山ファジ」の原点になっているような気がするのです。

このインテンシティの高いサッカーを模索するうえで、いわきFCをJ2昇格に導いた村主博正元監督が今シーズンからコーチに就任した点は、チームの大きな力になると思います。

いわきFCさんの村主コーチに関する記事を貼っておきます。

(3)若干懸念を感じる自陣からのボール運び

2023シーズンの岡山ビルドアップの一例

(2)では相手陣内での保持について考えてみましたので、ここでは自陣での保持について考えてみます。雑な図で恐縮なのですが、昨シーズンの自陣からのビルドアップをイメージしてみました。
新体制発表を聴いた限りでは「スタイルの継続」についても打ち出されていますので、おそらく3バックのRCB、LCBがボールを持ち運ぶスタイルは継続されるものと考えます。図では(15)本山遥が持ち運んでいますが、左では(43)鈴木喜丈が行う役割です。

この時、大事になってくるのがGKの関与です。
相手を2トップと仮定した時に、CBの1人の位置を上げさせる為にはGKがビルドアップに関与して、相手に対して数的優位をつくる必要があります。足元に定評がある(1)堀田の場合、この役割をしっかりこなせるのですが、キックの精度といった足元に弱点があるといわれている(49)ブローダーセンがこの役割を担えるのかが、大きなポイントになります。
この点は、試合運び全体の「うったて」となる部分でもありますので、若干の懸念を感じます。

(3)前提3~それでも守備には強さが求められる~

では、守備陣にはビルドアップに長けた選手を迎えればよいのかというと一概にそうとも言い切れません。

今シーズンの岡山は49失点のうち、セットプレーからは14失点(約30%)、こぼれ球からは5失点(約10%)を喫しています。

昨シーズンは42失点のうち、セットプレーからは11失点(約26%)、こぼれ球からは0失点でしたので、失点数、失点割合共に増加していることがわかります。

この点を服部GMは連携面に求めており、その点は同感なのですが、筆者は守備時の単純な強さ不足も感じたシーズンでした。
(23)ヨルディ・バイス選手の不調、(15)ミッチェル・デューク選手の流出、身長が低い選手ばかりで構成される中盤、セットプレーに関しては(5)柳育崇選手を外せば何とかなると他チームに思われていても不思議ではなかったと思います。

【ファジサポ日誌】84.捲土重来~2024ファジアーノ岡山 編成予想~より

編成予想記事からの引用です。
相手セットプレー等でいわゆる「やらさない」、「押し込まれない」守備を復活させることも今オフの補強テーマでした。前述の(49)ブローダーセンを獲得したのはそのためですし、(18)田上の獲得や(4)阿部海大の復帰も同様の理由によるものといえます。
この自陣からのビルドアップの質の維持と最終ラインの強度の両立が開幕までのチームづくりにおいて、大きなテーマのひとつになるのではないでしょうか?

(4)現時点での予想システム

それでは(1)~(3)を踏まえまして現時点での予想システムを考えてみたいと思います。

2024ファジアーノ岡山予想メンバー

3-4-2-1または3-4-3を予想してみました。前の3枚はについては相手の守備に応じて2トップでもいいですし、(8)GXの動きに合わせて流動的にポジションチェンジするようなイメージです。

ポイントは「強度と保持の両立」です。
特に(3)で述べました点については、強度をやや優先の構成にしています。(49)ブローダーセンのビルドアップ関与具合によっては、確実にフリーのCHが落ちる必要があるので、ダブルボランチにしてボランチが縦関係になるような配置をイメージしています。

ボックス内での高さ、強度と自陣からの持ち運びでも力を発揮しそうな(88)柳貴博をWBではなく、RCBに配置した点もポイントです。

サブには斜め後方からのクロスに合わせるのが上手そうな(9)グレイソンとクロッサー(16)河野はやはりセットで置いておきたい。スピードの(29)齋藤に(99)ルカオのパワー、(44)仙波のユーティリティ性に(18)田上のロングスローとどんな試合展開にも対応できそうなメンバーを選出してみました。

この想定ですと(13)金山隼樹、(19)岩渕、(4)阿部、(15)本山、(27)木村太哉、(7)竹内涼、(14)田部井涼、(20)井川空、(25)吉尾虹樹といった有力選手がメンバー外になってしまいます。大変悩ましいですね。

4.勝利文化の構築とは

そして最後に、「勝利文化の構築」について、しっかりクラブとして定義づけした点は良かったと思います。

勝利文化の構築≠勝利至上主義

平たく述べますなら、勝利から逆算してクラブに関わる全員が勝つために出来る限りの努力を尽くして、敗れた場合はその原因を追究し反映させていく、それでも及ばなかった時は相手を称える、と解釈しました。

ということは、サポーターが勝利のためにやるべきことは応援、叱咤激励であったり、グッズの購入や街や職場・学校でファジアーノ岡山を話題にすることであったりします。

勝てない、結果が出ないからと言って、誹謗中傷はクラブのためにならないという事を改めて言われているのだと思います。
選手・スタッフが伸び伸びと実力を発揮するため、更にその先のクラブの価値を高めるためには再認識する必要があると感じました。

以上、昨日の2024シーズン新体制発表会から、筆者なりの解釈を含めまして内容をまとめてみました。
今後のトレーニング、キャンプとシーズンが進むにつれ、更に新たな観点も出てくると思います。楽しみです。

秋には木山監督が胴上げされるシーンを観たいですね。

今回もお読みいただきまして、ありがとうございました。

※敬称略

【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
地元のサッカー好き社会保険労務士
日常に追われる日々を送っている。

JFL時代2008シーズンからのファジアーノ岡山サポ。
得点で喜び、失点で悲しむ、単純明快なサポーターであったが、ある日「ボランチが落ちてくる」の意味が分からなかったことをきっかけに戦術に興味を持ちだす。

2018シーズン後半戦の得点力不足は自身にとっても「修行」であったが、この頃の観戦経験が現在のサッカー観に繋がっている。
レビュアー3年目に突入。今年こそ歓喜の場を描きたい。

鉄道旅(独り乗り鉄)をこよなく愛する叙情派。

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