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"付き添い入院"のルール変更が受け入れられた話

娘は、ぜんそくを患っている。
昨年、夜中に発作を起こしたと思ったら、急激に酸素濃度が下がり、10日間入院することになった。

「このまま酸素濃度が低下したら、呼吸が止まります」と夜間救急の医師に言われ、かなりショックを受けたのを覚えている。

受診のタイミングが遅かったせいだ、
「疲れた」ことを理由に寝室のシーツを変えなかったせいだ、
娘の重症化のサインを見逃してしまったせいだ…と自分を責めた。

入院することとなった小児科では、依然としてコロナ禍の対応が残っており、保護者は次の二択を迫られた。

① 1日15分の面会を、期間中1名で行うこと。
②完全付き添い入院。ただし、期間中の交代は不可。

①から②へと、途中で切り替えることも認められなかった。
「なぜ?」「どうしよう?」と悩む間もなく、回答を求められる。

家族看護休暇制度を利用し、私は②を選択した。
「呼吸が止まる可能性がある」と言われた、幼い娘を残して自宅で過ごすという選択はできなかった。
仕事でも重要な締め切りが迫っていたため、子供が寝たすきにこっそりPCを持ち出し、待合室で仕事をこなすことにした。

幼い子供には、体に負担の大きい治療はしにくい。
当初1週間と言われていた入院期間は、10日間に伸びた。我が子が回復したことに安心した瞬間、「退院、早められませんか?」という一言が私の口から飛び出した。

医師は、私をどのような親だと感じただろう?
子供が健康であることより、自分の都合を優先する、自分勝手な親だと思っただろうか。

10日間の入院を終え、スキップする娘に手を引かれ、エントランスに向かうと、”ご意見箱”があった。
”どんなご意見もお寄せください!”という「!」マークに後押しさ
れ、”ご意見”することにした。

「小児科病棟における付き添い入院や面会ルールの改定を希望します」
「病と闘う子供たちに寄り添いたいワーキングマザーの想いを想像していただけないでしょうか」
「両親やそれに準ずるものに限って付き添い入院交代可、など検討いただけないでしょうか」

欄をはみ出すほどに記入した。ダメでもともと。
でも、私以外にも、同じように不安を持っている人は必ずいるはずだ。

それから、2か月後。この病院の看護部長の方から、手紙が送られてきた。
『付き添いルールを見直しました』という内容
だった。

看護部長さんからのお返事

「よし!!!」っと思わず、声を出さずにはいられなかった。
これで娘の咳に敏感にならずに、安心して治療に集中できるし、私も安心して仕事に臨めると思った。
夜中、娘の咳込みにビクついて、睡眠不足の朝を迎える日も減るだろう。

考えてくれて、想像してくれて、ありがとう、と心から思った。

喘息に限らず、子どもが体調を崩すと、親の負担は1.5倍増しになると思う。
子どもの病状や人数などを考えると、1.5倍では済まないかもしれない。

「子どもを理由に仕事を休みすぎでしょ」
「そももそちゃんと子育てしてないから、大病するんじゃない?」

そんな風に思われているのではないか、と感じてしまうこともある。
だけど、X倍増しの負担について、まるで自分事のようにリアルに想像し、共感し、動いてくれる人もいる。

発信したことと、それを受け止めてもらえたこと。
子育てをしていてこそ感じられる、社会の温かみかもしれない。

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