見出し画像

子どもに伝える「保育園へ通う理由」

保育園へ通い始めることとなった、当時2歳の息子に「保育園へ通う理由」をどう伝えたらよいか?迷っていた。

泣かれるのは覚悟の上。
本人が少しでも前向きに登園できるような、誠実な声がけについて、ある保育園の先生へ相談したことがある。

「保育園は楽しい場所だと伝えるのはどうでしょうか?」
と尋ねると、
「保育園は楽しいよ、と伝えるご両親がいますが、
保育園にいる子どもたちは、全員、家庭の事情により保育園で過ごしています。だから、安全な場所として、保育園があるということを伝えてあげてほしいです。」
という答えが返ってきた。

正確で偽りのない答えだが、私の求めていた答えではなかった。
子どもにとっても、この言葉のどこが救いになるのか、分からなかった。

また、”本来は自宅で過ごすべき時期であるにも関わらず、母親が子育てできない家庭(の事情)”であると脳内変換をしてしまい、
こぼれそうな涙を必死にこらえた記憶もある。

この日から何日も、息子が入園した後も
「家庭の事情で保育園に通っている」という事実について、息子はもちろん、私自身が腹落ち出来るような回答はないかと考えていたが、長年見つけることができないまま、月日が過ぎていった。

数年後、娘を出産。
娘が1歳2か月のとき、2度目の復職をすることになった。

よちよち歩きの娘を連れ、新たにお世話になる保育園の面談へ向かった。
「何か心配なことはありますか?」と園長先生から聞かれたとき、
長年、心の奥でつかえていた、”家庭の事情により保育園にいる子どもたち”問題について、伝えることにした。

急な環境変化に、可能な限りスムーズに、適応してもらえるように、登園を控えた娘にどのような言葉をかけるべきか?を尋ねてみた。

その時の回答は、以下である。

  • お母さんには楽しいと思う仕事があり、娘を産む前からずっと続けていること

  • 保育園は、楽しく、安全な場所としてお母さんが選んだので、安心して過ごしてほしいこと

  • 不安なとき、寂しいとき、困ったときは先生に伝えること

  • お母さんは〇時になったら、必ず迎えに来ること

これなら娘の目を見て、きちんと伝えられると感じた。
1歳の娘にとっても、安心感につながる言葉だと想像できた。
安心したからだろうか、私の目からは涙があふれていた。

その涙を見て、園長先生は、以下のようにも伝えてくださった。

日本以外の多くの国では、母親も当たり前に働いています。
子育ては一人でするものではないのだから、お母さんも罪悪感をもたなくていいんです。
子どもたちが大人になるころには、男も女も関係なく、好きなことを仕事にしている時代が来るかもしれません。
それに、子どもは、社会の中で育つんです。かわいそうな子なんかじゃ、決してありません。」

私は、子育てと仕事のバランスで悩んだとき、この言葉を思い出す。
”母親なのに○○できない”というネガティブな思考にとらわれそうになった時、フラットな思考へと引き戻してくれる。

4月からの復職予定のママたちと、新生活が始まる多くのかわいい子どもたちに、この園長先生の言葉が届くことをと心から祈っている。

この記事が参加している募集

育児日記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?