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004 労災保険 通勤災害編(変)

労災保険から通勤途中のケガについても給付が受けられるケースについては前回説明しました。
要は、通勤中にケガをしたら労災保険から給付を受けられる、といった単純なものではなくて、一定の基準を満たす必要があるということでした。

では、このようなケースではどうでしょうか?
Aさんは集合住宅(アパート)3階に住んでおり、会社までは電車で通勤しています。朝、出社するために自宅玄関を出たAさんは、アパート内の階段を下りている時に階段を踏み外して転倒し骨折してしまいました。
このケースでは、Aさんは通勤災害として労災保険から給付を受けられると考えられます。

次に、同じようなケースですが、今度は「持ち家」からの通勤です。
Bさんは実家の一軒家に住んでいて、自宅からバス停まで歩き、そこからバスに乗って通勤していました。Bさんが出社するために家の玄関を出て、自宅の門扉までの階段を下りているときに転倒して骨折してしまいました。状況はAさんとほぼ同じです。
しかしながら、このケースでは通勤災害として労災保険から給付を受けることはできません。

なぜでしょう?

行政の考え方としては、集合住宅の場合、玄関ドアを出た場所(廊下や階段など)は共用部分であって不特定多数の人が通るから通勤経路にあたるが、自宅敷地内であれば不特定多数の人が通らないので通勤経路とならない、という判断をしています(いまのところ)。

でも、なんかおかしくないですか?
もちろん、出社準備のための自宅居室内でのケガまで労災給付を認めてほしいとは思いませんが、上記AさんとBさんの違いって納得できますか?
Bさんがケガをしながらも門扉を出て、もう一度転倒して更にケガをしたら給付を受けられるか知りたいものです。

前回も言った通り、一定の基準はありますがそれは絶対的基準ではなく状況によっては基準外でも認められる場合があります。また、そのような基準外のケースが増えてくれば、法改正や取扱いの変更も行われる場合があるので、おかしいと思ったら諦めずに請求してみることです。

世の中を良くしようと思えば、今までのやり方や慣習を変えていかなければなりません。

日本は民主主義の国です。それは、つまり「自分たちのことは自分たちで決める」ことができる国、ということです。

不合理と思われるような法律の扱い(行政処分)を受ける場合には、声を上げることが大事だと思いませんか。




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