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1999年5月8日(土)

【道:前田 法重・中島 一州・原田 公司・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】
「やっぱりちょっと違和感ありますよね」
「水を買うなんて贅沢ですよ」
 飲み会も中盤にさしかかり、流石にペースが少し落ち着いてきた中で、原田 公司が語っていた内容について本田 仁が突っ込みを入れた。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの客が訪れている。前田 法重とそのメンバーたちも、いつもの場所で平常運転の宴会を開いている。今週はゴールデンウィークだったので、各々どこかに行ったり何かをしたりといろいろな話題があったので、先程まで順番に自分のゴールデンウィークライフを話していたが、今は原田が奥さんと一緒に小旅行に行った際に感じたことを話したのである。それは、車で浜線バイパスを通っていた際にガソリンスタンドに寄った原田は、ガソリンを満タンに給油した。浜線バイパスにあるガソリンスタンドは熊本市内でも安い部類に入り、その時は1リットル87円という金額であった。その後、しばらく車を走らせた後、コンビニに寄って飲み物を購入したが、購入した水が100円だったのである。ガソリンは1リットル87円なのに、水は500ミリリットルで100円で販売しているのだ。ちょっとガソリン安過ぎじゃね?という疑問を持ったのである。
「だって、水って蛇口捻ったらただで出てくるんですよ。もちろん売ってる水とは多少違うかもですけど」
 ガソリンが安すぎるのではないかということを原田が熱弁する。これについてはその通りのことなので、別に誰も否定的な意見はないようだ。
「でも原田くん。向こうの人たちからすれば石油は勝手に湧いてくるけど、水を手に入れるのは結構大変なのかもよ。もちろん水が高いのは同意だけど、ガソリンも石油自体は湧いて出るもんだからね」
 この問題の解決となる話を中島 一州が説明し、これに全員が納得の表情を浮かべる。
「もし生ビールが1リットル87円だったましかば、みんなもっとたくさんビールが飲めるまし」
「うーーーーん、反実仮想!・・・ハア」
 思いついたように本田が発した言葉のましかばの時点で何を言うかはわかったが、反実仮想という言葉が瞬時に出て来ずに、突っ込むのがワンテンポ遅れてがっかりする大塚 仁であった。

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