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【雑談】"バディーズ"という単位について考える

GW終盤の雑談🪙

皆さんは"バディーズ"という言葉を聴いたことがあるだろうか。これはスマートフォン向けに2019年より展開されている『ポケモンマスターズEX』(以下「ポケマス」)にて生まれたゲーム内用語だ。

『ポケモンマスターズEX』公式サイト より

ゲーム内用語を説明してくれる「クルティのポケマスガイド」で"バディーズ"は次のように解説されている。

クルティ:トレーナーとポケモンのコンビのことです。きずなの力で結ばれたバディーズはバディストーンを輝かせさまざまな力を発揮することができるんですよ!

「クルティのポケマスガイド」(『ポケモンマスターズEX』)

バディストーンなどの他の用語については本記事では触れない。重要なのはポケマスというゲームの中では「一人」のトレーナーにつき「一体」のポケモンとコンビになって「一組」のバディーズとして扱われるということだ。

ポケモンの原作に則れば、トレーナーは最大六体のポケモンを連れ歩くことが可能であり、実際ポケマスの舞台である「パシオ」に複数体の手持ちを持ち込んでいるトレーナーもいる。しかし、同じトレーナーであっても違うポケモンと組んだらそれは違う"バディーズ"なのだ。

ポケマスでは一組のバディーズにポケモンが使う技(P技)とトレーナーが使う技(T技)がそれぞれ設定されている(原作のようなカスタマイズ性はない)。ポケモンが異なればP技も異なるのは想像しやすいが、T技もバディーズによって異なる。ゲーム上は全くの別キャラとして処理されていると言ってもいいだろう。

パシオで一番バディーズが多いと噂のグリーンさん(画像以外にも沢山いる)

”バディーズ”の元になった"Buddy"は"相棒"を意味する英単語だ。"バディーズ"はトレーナーとポケモンが他の誰でもなくお互いをかけがえのない一対のピースとして規定するための単位の言葉だと言える。

ゲーム上の処理としてはともかく、トレーナーとポケモンをセットにしたイメージ戦略はポケマスの専売特許ではない。「きみにきめた!」から始まった<アニメ「ポケットモンスター」>シリーズはポケモンにおける"バディーズ"の始祖ともいえるコンテンツだ。

数多存在するポケモン/トレーナーの中から「あなた」だけを選ぶ…「きみにきめた!」は時代が下ってもホットなキーワードとして位置づけられている。

2017年に公開された「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」に始まり、2022年に公開された海外制作の映像作品「Bidoof’s Big Stand」の邦訳は「ビッパ、キミにきめた!」となっていた。

2019年にリリースされたポケマスの"バディーズ"もこれらのムーブメントの一環と見做すことができる。トレーナーとポケモンをセットにして一つのキャラクターとして個性を表現する。これは原作・アニメ問わず近年のポケモンコンテンツではよく使われる手法だ。

トレーナー単体で観てもポケモン単体で観てもそれだけで魅力的なキャラクターは沢山いる。ただし、それが一つになる時に生まれる「物語」は単体では表現できない引力を持つ。

オーディエンスの「あのポケモンかわいい」「あのトレーナーかっこいい」という漠然とした印象が、"バディーズ"の物語によって「あのバディーズエモい」というより強度をもった感情へと進化する。

ネオ・チャンピオンイベント「研鑽を重ねし愛情」『ポケモンマスターズEX』

元々のポケモンのゲーム性からすると、ポケモンはデータとして扱われ自由に交換したり逃がしたりすることが出来る存在だったはずだ。特定の個体をかけがえのないものとするのはプレイヤーの思い入れによるものであり、コンテンツによって積極的に規定されるものではなかった。

しかし、それも昔の話…。ポケモンが生まれて28年の時が流れた。

ポケモンは超一流のIPとなり、キャラクタービジネスの最先端を走り続けることとなった。IPが成長する過程でより魅力的なキャラクターを産み育て続けていく必要があった。そんな中で生まれた発明の一つが"バディーズ"なのだろう(多分に妄想を含んでいることは承知している)。

自分がどんなポケモンを捕まえるかに留まらず、とあるトレーナーがとあるポケモンをかけがえのない存在とすることに心を動かす。自分ではない誰かの物語を楽しむ時代が来ている。それは「主人公」であっても例外ではない。

奇しくも現在放映されているアニポケHZシリーズ<テラスタルデビュー>のOP「Will」・ED「Let me battle」では共に"Buddy"がキーワードになっている。

トレーナーとポケモンが織りなす"バディーズ"の物語に心躍らせる準備は出来てる?…To be continued.


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