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手をつなぐ

2013年10月

三人で散歩に行った帰り、もう歩けないと道に座り込んで、
抱っこは無いよと親が先に行きかけるのを泣きながら追いかけて、
まあでも、どこかで抱っこしないとしょうがないなと
こちらが思っていたら、
おもむろ、妻と手をつないで、結局最後まで歩いた。

息子は、苦手なことがいろいろある。
そのひとつが親と手をつないで道を歩くことで、
だからこんな普通のことだがとんでもなく貴重に思えて、
だから僕は写真を撮る。

春、息子が自閉症と診断された時は、
目の前が真っ暗になるような気がした。
受け入れるしかないと頭でわかっていても、やはり受け入れ難かった。

受容。
受容とは、葛藤を制御することだ。

たとえば息子と同じくらいの子どもが、
多くの言葉を使って親と会話しているのを街で見かけるたび、
うちの子はどうして話せないのだろうと、
身を削られるような思いにとらわれる。
そんなふうに思っても何にもならないと自分に言い聞かせても、
どうしても思わずにいられない。
人並みであってほしいのだ。普通であってほしいのだ。
つまらない? いや、つまらなくなんてない。
だからせめて、そういう物思いを認めて、見つめて、制御する。
それが僕にとっての受容だ。

とはいえ、ようやく覚悟も決まってきた。
何があっても、家族を護る。
もういちど春が来る頃には、新しい子も生まれてくる。
いろんなことと、しっかり向き合っていきたい。

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