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13話 混合合宿1日目

8月4日火曜日。
体育館。
「はい!全員集まったかな!これから出発式を始めます。校長先生のお話!校長先生お願いします」
「はい!みんな、我が校の生徒として恥じぬ行動を取るように心がけてください!そして何事も楽しむように!」
「ありがとうございました」
「それでは、学生代表の言葉!生徒会長の八神咲未」
「はい!皆さん、2年生や3年生にとっては久しぶりの合宿ですが1年生にとっては初めての合宿です。先輩として後輩のお手本になれるような行動をするように心がけてください。私の話は以上です」
「生徒会長、ありがとうございました!それでは各学年名簿が前の人からバスに乗り込んでください」
「はい!」
「えっと、俺の席はここか!隣は相澤か、よろしくな!」
「よろしく!」彼の名前は毛利蓮。1組の生徒だ。
「なぁ、相澤は彼女とかいんの?」
「生憎とまだいないかなぁ」
「そうか、ちなみに気になる子とかいるの?」
「うーん、どうだろう少なくとも同じクラスには居ないかな」
「そうなんだな」
「毛利くんは好きな人いるの?」
「俺は彼女いるからよ」
「へぇ、誰か聞いてもいい?」
「興味あるのか?」
「うん!」
「意外だな」
「そうかな?」
「いいぜ!聞かせてやるよ!」
「ありがとう」
「同じクラスの犬飼彩花だ!」
「犬飼さんか!可愛いよね」
「知ってるのか?」
「うん、可愛いって有名だよね」
「そうなんだよ可愛いんだよ俺の彼女は」
「相澤も彼女できるといいな」
「そうだなぁ」
「まぁ、今のところはいいかな」
「そっか!もう着きそうだからまた話そうぜ」
「うん!またね」
「着いたぞ!周りに寝てる人がいたら起こしてやれ、前からゆっくりバスを出て班ごとに集まって整列!」
「はい!」
「生徒会長、挨拶をお願いします!」
「これから混合合宿が始まります。事前に説明された通りテーマは自由です。仲の良い友達と話すのも良し、これを機に新しい友達と話すのもいいでしょう。何をするのも皆さんの自由ですが、各班ごとに男女で部屋が別れています。まずは部屋に荷物を置いてから何をするか各々決めてください。それでは解散!」
「よーし!部屋行こうぜ!」
「おう!」周りの生徒が騒ぎ出した。
「ねぇ、あやか!何する?」
「うーん、とりま部屋に荷物置きいこ?」
「うん、そうしよ!」
「みんな活発に行動するなぁ」と思いながら僕は動けずにいた。
「なぁ、相澤!お前の班は男子誰いるん?」その場に立ち止まっていると毛利くんが話しかけてきた。
「僕の班は他には男子いないよ」
「え、いいな。ハーレムじゃねぇか」
「そんなことないよ!クラス別でほとんど知らない人だし」これは嘘だ少なくとも半分は知っているが正直に応えると事態がややこしくなるため誤魔化しておく。
「そうだよな!同じクラスの人と一緒の班になる確率低いよな」
「毛利くんは彼女さんとは同じ班になれたの?」
「いや、それがなれなくてさ!まじで悲しいわ」 
「そっか!一緒の班になれたら良かったのにね」
「お前まじ優しいな!」
「そ、そうかな?」
「あぁ!こうして話せたのもなにかの縁だし良かったら、ライムしない?」
「いいよ」
「ありがとう!今度彼女紹介させてくれ!」
「いいの?」
「あぁ!俺たち友達だろ?恋バナしたんだから」
「うん!そうだね。友達だ」
「あ、悪い!同じ班のやつに呼ばれてるからまたな!」
「うん!またね」彼と話しているうちに人が少なくなっていたので僕も移動することにした。
「うわぁ、、この部屋を1人で使うには広すぎるな。とりあえず荷物置くか!」するとライムにメッセージが届いた。もみじからだ。
メッセージには<玄関集合ね!>と書かれていた。
「玄関?なんでまたそんなとこに集合しないとなんだ?」何するんだろうな。何するのか気になったので最低限の荷物を持って玄関前に行くことにした。
「お待たせ!」
「もう遅いよ!ともき!とりあえずともきの部屋行こ!」え!?僕が移動してきた意味あったのか
「歩きながら自己紹介しよか!」
「そうだね、もみじ」
「あっ」僕は今更だが重大なことに気がついた。この班には普段関わりのない人がいるということだ。
「椎名さん、これからどうするの?」
「ともき、どうしていきなり苗字呼びになったの?」
「だって、普段関わらない人がいるから」
「あぁ、大丈夫だよ。この2人は知ってるから私たちが付き合ってること」
「え、そうなの?」
「相澤智樹さん、こうして面と向かってお話するのは初めてですよね」と2人はそういい自己紹介を始めた。
「私は奥智子、めあの友達です。あなたが弟くんね?よろしく」
「姉さんの友達でしたか!こちらこそよろしくお願いします」
「タメでいいわよ!私の方がちょっと早く生まれただけでそんなに差はないから」
「分かった!ありがとう」
「え、あんためあの弟くんだったの?」
「はい!えっとあなたは?」
「うちは戌亥美奈!めあの彼女!」
「はい、よろしくお願いしまーーえ!?」
「今彼女って言いました?」
「あぁ、言ったな」
「どういうこと?姉さん」
「どういうことって言われてもねぇ、なんというか、あたしって身の回りの事するの苦手なのよ?」
「そうなの?」
「うん、知らなかった?」
「全然知らなかったよ」
「そうなのね、それで話戻すけどあたしは苦手なんだけど、みなが得意だって知ってさ。最初はそんなことが理由で近づいたんじゃないよ?単純にみなのことがどんな人なのか気になってさ。最終的にあたしがみなに告白したの」
「そうなんだね。美奈さんはなんで告白OKしようと思ったんですか?」
「さて、部屋に着いたよ!好きなとこに腰掛けて!」
「なんでもみじが指揮とってるんだ!ここは僕の部屋なのに、、まぁいいか話を戻そう!それでなんでokしたんですか?」
「そうですね、細かい事情は省くけど私って今まで他人に必要とされたこと無かったんだよね。勉強も出来るし家事とかもなんなくこなせるんだけど周りはそういったところが気に入らなかったみたいで落ち込んでたの。そんな時にめあと出会って私の人生は変わったかな。ありがとうね!めあ」
「こちらこそだよ」
「美奈さん、姉さんのことお願いしますね」
「タメでいいよ!ともきくん」
「ありがとう美奈、姉弟共によろしく」
「さて、自己紹介も終わったしこれから何するの?班長」
「そうねぇ、といっても今日は入浴して寝るだけなのだけれど」
「もうそんな時間か」
「入浴は女子からだったよね」
「それじゃあ、ともき。先にお風呂頂くね」
「行ってらっしゃい」女子たちが言ってしばらくするとこんこんとノックが聞こえてきた。
「はーい」
「俺だ!ともき」
「なんだ、蓮か!どうしたの?」
「お前、女子とは話せてるか?」
「まぁ、それなりには。それで何か用なの?」
「実はお前に勇気を貰いたいんだ」
「勇気?」
「あぁ、実はこれから彩花と散歩するんだよ。だから何話せばいいのか教えて欲しくてだな」
「なるほどね。付き合ってどれくらいになるの?」
「半年かな」
「蓮が話したいと思ったことを話せばいいんだよ!相手の好きなものを探ってみるのもいいかもね!」
「なるほどな、ありがとう!行ってくるわ!」
「頑張れ!」そう励ますと彼は自信に満ちたように待ち合わせ場所へと向かっていった。
「僕ももみじとデートしたいな」そう思っていたら入浴を済ませたと連絡が入り、僕もお風呂場に向かった。
皆が寝静まったころ。僕はある人物にライムで僕の部屋に来るようにとメッセージを送った。その人物とはもちろん彼女であるもみじだ。なぜ場所を僕の部屋にしたかというと僕と彼女の部屋は廊下を挟んで正面。向かい合っているためすぐに部屋に戻ることができるからである。
「どうしたの?ともき、ライムで呼び出すなんて」
「あぁ、仲良くなった男友達が今日彼女と散歩デートするって言ってたからさ。僕ももみじと2人きりで話したいなと思って連絡したんだ。遅い時間になっちゃったのはごめん」
「いいよ、私も皆が起きてる間だと色々気遣っちゃって楽しく話せないと思うから夜中で助かったしさ」
「なら良かった」
「それにしても、2人きりで話したの久しぶりだよね」
「確かに、全ては僕がもみじを助けたことから始まったんだよね」
「そうだよね、あの時はほんとありがとう。今でも感謝してるんだから」
「そんなに嬉しかったの?」
「それもあるけど、周りが見て見ぬふりをしてる中ともきだけが私を助けるために行動してくれたからさ」
「なるほどね。困った時はお互い様だから気にしなくていいよ」
「ほんとにありがとうね」
「いいよ!あと、帰ったら一緒にゲームしない?」
「ゲームか!最近やってないなぁ」
「僕、通信出来るやつ持ってるから一緒にやろうよ!」
「そうね!じゃあ、今日はもう遅いから部屋に戻って休むことにするわ。おやすみなさい!ともき」
「分かった。おやすみ!もみじ」彼女が部屋に戻ってから少し考え事をしてから僕は寝た。









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