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【小説Re:01】『君らは選ばれし戦士だ!!』㉑現在の元の世界編

【内閣情報調査室】
親子は通常通り出勤した。
加治「勇作、千夏、せっかく再会できたと思って喜んだのに、ほんとに済まない、出来れば俺が変わりたいよ、ほんと」
勇作「俺たちは、人類が皆幸せになるように、神様に命を与えられたので、こうしてゆうかにまた会えただけでも幸せでしたよ」
千夏「そうね」
勇作「そうだ、あと少しだけの時間をゆうかのために使いたい」
ゆうか「何をするの」
勇作「君も魔法が使えるように特訓する」
ゆうか「そんなの無理だよ」
勇作「無理じゃないよ、無理だと思うから出来ない」「出来ると信じるんだ、やってみよう」
ゆうか「うん」
勇作「それじゃ手を貸して」
ゆうかが勇作に手を差し出す
勇作「目を閉じて」
勇作が魔力をゆうかに移動させた
勇作「目を開けて、まずは、魔法はイメージだ、こうなれとかあーなれとか想像して言葉にしてごらん」 「そうだな、空中に浮かんでごらん」
ゆうか「うーん」
ゆうかの体がスーと 1m ほど浮いた
勇作「おーかなり筋がいいぞ、初めから出来るなんて凄いよ」
ゆうかが元の位置に戻った。
勇作「ゆうか、自分指がピストルだと思って、あのマグカップを撃ってごらん」
ゆうかが腕を伸ばして狙いを定めて
ゆうか「バンっ」
ゆうかの指の先から弾丸が発射されて、カップが砕け飛んだ。
一同「おー!」
勇作がゆうかの頭に手刀を下した。するとゆうかの周りが光に覆われ、勇作の手刀は弾き返された。
ゆうか「お父さん、凄いよ私強くなったみたい」
勇作「ゆうかは筋がいいよ、なんでもすぐできちゃう」 「俺はただ、ゆうかの体の中に魔力が貯まる器のようなものをイメージしただけなんだ」
ゆうか「それじゃ、その器に私が魔力を貯めるイメージをすれば、これからも魔法が使えるのね」
勇作「あーそうさ、訓練次第で器はどんどん大きくなるのさ」
千夏「それじゃ私はヒール魔法を教えるね」
「怪我をしたら、手を当てて治れってイメージするのよ、じゃあの枯れた花で試してみて」
ゆうかが枯れた花に手をかざすと、花がみるみる元気になった。
ゆうか「なんでもできる気がしてきた」
勇作「そー、その自信が大事なんだよ、実際何でも出来るようになる」
 「よーし、ゆうか道場でお父さんと勝負だ」
ゆうか「いいよ、手加減しないからねー」

【道場】
空手着の勇作とゆうかが道場の中央で向き合い、礼をした。
加治「はじめ」
ゆうかがパンチから蹴りを繰り返し勇作を追い詰めて行った。
ゆうかの攻撃はかなり早い、勇作は避けるがやっとのように見えた。
勇作は低い後ろ回し蹴りからジャンプしてかかと落とし、ゆうかが受け身でかわし、振り向いたときに勇作は消えていた。
ゆうかは目をつぶり気配をさぐった。

ゆうか「そこね」
振り返りざま二本の指を突き出した。
勇作「あっはははははは」
 「ゆうかずるい、脇腹を指でつつくなんて」
ゆうか「お父さんが消えるからよ、先にずるしたのはお父さんだよ」
勇作「はい、負けました、ゆうかは強いなぁ、凄く早いし、びっくりしたよ」
ゆうか「でも、このスピードは魔法のおかげ」
 「今までこんなに早くなかったもの」
 「お父さん、ママありがとう」
勇作「たっぷり汗かいたし、シャワー浴びて、ご飯にしようか」
ゆうか「うん、そうしよう、何食べよかな」
千夏「ママは、甘くて冷たくてふわっとしたのがいいな」
ゆうか「あっ、私も私も」
加治は、やがて別れなければならない親子の幸せをじっと目に焼き付けていた。

つづく


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