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「捨てて後悔しませんか?」

「捨てて後悔しませんか?」

捨てられない方からよく聞かれる質問で
ベスト3ぐらいに入るのがこれ。

私の答えは「するときもあるし、しないときもある」かな。
捨てるときはもちろん「後悔しない」と思ってそうしてるけど、
しばらくたって「残しといてもよかったな」って思うことはある。

でも、それは
「まあ、仕方ないよね、捨ててしまったものは」
ですむことだ。
残しとけばよかったと思うきっかけになったものごとも、
それがなければどうにもならない、ということは、ほぼない。
手持ちのもので代用するか、新しいものを購入するかすれば、対応できる。
そして、その軽い後悔は、
これからのモノとの付き合い方の参考になる。
ひとつ成長したというわけだ。

「捨てて後悔しませんか?」と尋ね、
「後悔したくないから捨てられない」という人は、
「後悔」が本人にとって「深刻な悩み」になりうるのだろう。
その質問をする方からは、
既に手放したモノが無いことによる物理的な不便よりも、
「捨てなければよかった」という思考や感情が
自分を苛むことを恐がっていることが伝わってくる。

そこにあるのは、ある種の完璧主義だ。
言いかたを変えれば、
「ほんの少しの失敗も許されない」
というマイルールだ。
そしてその裏には、「私はダメだ」という自己否定が潜んでいる。

それらがある人にとって
「使えるものを捨ててしまった、私は判断を間違えたし、
 お金も無駄にした」
という後悔は、
「取り返しのつかない失敗」のように感じられるようだ。

その人たちにとっての「後悔」は、
「ダメ人間」の烙印を押され、
耐え難い痛みを味わう恐怖の事態である。
その事態に直面するリスクを避けるために、
「絶対に後悔しない」という保証が見つかるまで
捨てられなくなってしまう。
しかし、この世の中に
「絶対後悔しない」保証なんてどこにもない。
必然的に「捨てない」という選択をするしかなくなる。
そして、片づかない。
片づけたいのに。

捨てることが、
自分の価値や評価に関わってくると
どこかで思っているから、
モノとの付き合い方も処分に対する考え方も重くなる。
それがどんどん家にモノを増やし、空間を重くする。
時には家族関係も。

でも残念ながら、
モノを捨てないことで後悔を避け、
自己肯定感を守ろうとしても
自信はどんどん失われていってしまう。

モノを捨てられず散らかった部屋にいると、
家が不快になっていき、
その状態を作った自分を嫌いになっていくからだ。
「モノを捨てられない自分」を情けなく思う気持ち、
「片づけられない自分」をみじめに思う気持ち、
「やろうと思っても行動できない自分」に失望する気持ちなど
ネガティブな気持ちが心にあふれていき、
自分を肯定できなくなってしまう。

結局、捨てるにしろ、捨てないにしろ、
自己否定は強くなっていくばかり。
結果は同じなのである。

捨てて後悔し「ダメな私」と感じるかもしれないリスクをとるか。
捨てないことで後悔のリスクを避けるけど、
「片づけられないダメな私」という自己イメージを抱え続けるか。

どちらも選べないから、身動きが取れなくなる。
それでもなんとかしようとして、
片づけの本を買ったり、講座に通ったりして、
「対策している」風の事実を作るけど、
実際のところは何ひとつ捨てられなくて家は散らかったまま…
というパターンに陥る人も多い。

「捨てて後悔しませんか?」と
片づけが得意な人に聞きたくなる人、特に、
その切実さがとても大きいと自分でも感じる人は、
家の片づけを本格的にやる前に、
自分の中にある「私はダメだ」とか「失敗は許されない」とか、
そういう思いに気がついて、緩めていくことが必要だろう。

最初は、後悔しても大したダメージは受けないと感じるものを、
意識的に毎日手放していくとかどうだろう。
少しずつ「失敗」や「後悔」への意識が変わるので、
そこで自信や安心が育ったら、
少しずつ大物に手を付けて行くといいだろうと思うよ。


家のエネルギーを浄化しています。
心の奥の「後悔を恐れる気持ち」を緩める手助けにもどうぞ。


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