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グローバリズムvs自由貿易 反グローバリズムvs保護主義

『反グローバリズム』という言葉が、広まってきた。良い事ではあるが、保守派と左翼で意味が異なる点に注意が必要だ。グローバリズムと自由貿易、反グローバリズムと保護主義。これらは似ているように見えるが全く異なるものなのだが、これらをゴチャまぜにし、便乗して自分に都合の良いように利用する者がいる。
だから、今回は、この件について話したい。

まず、保護貿易とは、外国との貿易で、自国の産業の保護や国際収支の改善を目的に、関税や輸入制限などで貿易に制限を加える政策だ。これが、悪魔の政策である事は、歴史が証明している。1929年の世界恐慌で、世界中が保護主義に走り、自国の産業を保護した結果が、第二次世界大戦だった。
日本にとっても、各国が保護政策を取る事は悪夢でしかなく、日本製品を売れないばかりか、原油など資源を輸入できなくなる。1935年ごろ、日本は原油を中東ではなく、アメリカから8割も輸入していて、保護政策は日本の破滅でしかなかった。世界中は、保護主義が第二次大戦を引き起こした事を周知の事実として認識していて、先進各国は保護主義に陥らないよう注意を払っている。だから過剰に貿易に関税をかける事は許されない事なのだ。

自由貿易とは、ご存じの通り、お互いの貿易に制限を設けずに自由に貿易しましょうという考えだ。『各国が得意な分野に特化した方が、どちらの国も栄える』という理屈に沿った考えなのだ。これは一理あって、脆弱な自動車メーカーしかない国が、多額の税金を使って自国の自動車メーカーを保護するより、得意な産業に力を入れて、その生産物を相手国に売った方が栄えるはずだ。脆弱な産業を保護する事に税金を使っていては、税金は決して増えやしないからだ。輸入商品によって倒産していく日本の会社を見て、『政府は保護すべきだ!』と保守層でさえ言う事があるのだが、それでは日本経済にはプラスにならない。ある意味、自由貿易とは、歴史的背景や自国への経済的影響から多少の保護は認めるが、輸入に押されて自国の企業が倒産する事も認める考え方なのだ。しかし、その結果、余剰人員や資金を成長分野に投入し、さらに発展する事を目指しているのだ。
この理念に沿った貿易を行う事を可能にするのが、EUやTPP、個別の経済協定なのだ。とは言うものの、完全自由化にはできず、自国の産業保護のために多少の制限は設定している。だから、現状は、保護主義は否定すべきだが、『多少の保護を設けた上での自由貿易』というのが、現代の先進各国で行われている事だ。しかし…

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