見出し画像

《現代詩》永遠の眠り

砕け散る 波  泡に紛れて

人魚は 静かに 泣いていた

悲しい歌は 誰のために歌うのだろう

泣いても 涙は 海に溶けてゆく

波間に浮かんだ 真珠は 

すぐに 沈んでしまう

人魚の心は 届かない

夕闇が 訪れる頃

凪は あなたを運ぶのだろうか

見上げると 無数の星が流れてゆく

灯台の光が 水面を照らしている

そして 人魚は

星の砂を 掴み損ね

月明かりを 浴びながら

嘆き 草臥れて眠りに落ちてゆく

海の底へと

永遠に

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?